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第4章 魔界編(仮)

従話 ポチの夢冒険(2)

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 我輩はまたカラフルな夢の中で目が覚めたのだ。状況が理解できないのだ。ちょっと整理するのだ。

 1.このカラフルな空間は夢の中。それはほぼ間違いないのだ。

 2.夜になるとご主人が夢の中に現れる。これは仮定なのだ。

 3.そしてさっきの魔界の住人の視界だけを共有した感じ。あれは夢か幻か、はたまた現実か。我輩混乱中なのだ。1つ言える事は、ご主人の出してくれた料理、とても美味しかったのだ。視覚だけじゃなく、味覚も共有できていいたみたいでよかったのだ。

 さて、問題はどうやったらこのカラフルな夢から目覚めるかなのだ。そもそもどうしてこんな状況になったか分かってないから謎が謎を呼ぶのだ。

 まあでも、氷漬けになっていた自称神様。遊戯の女神の仕業と言う可能性が一番高いとは思うのだ。そうだとしたら、何らかの条件を満たしたら目覚めるとか有ると思うのだ。遊戯、つまりゲームなのだ。何らかのルールがあると信じてるのだ。


 そう思って何時間も悩んだんだけど、いくら考えても答えは出なかったのだ。ノーヒントで出る訳がなかったのだ。思考がグルグルなのだ。そしてカラフルな空間をいくら歩き回っても、同じところをグルグルしてるだけなのだ。どちらもグルグルなのだ。

《マスターリョーマにより鬼人のアンナが、グリモールの配下に設定されました》

 我輩が悩んでると、急にそんな【アナウンス】が流れてきたのだ。初めてのパターンなのだ。ご主人が直接従魔を従えたのだ。だけどグリモールの配下なのだ? 我輩からみたら配下の配下だから孫配下なのだ。

《マスターリョーマにより鬼人のカンナが、グリモールの配下に設定されました》

 また同じような【アナウンス】が来たのだ。何が起こってるのだ? 何て考えてたら、その後更に立て続けに【アナウンス】が流れたのだ。そして合計が10人に達した時、

『配下が規定数に達しました。夢空間が拡張されます』

 【アナウンス】とは違う声が聞こえてきたのだ。【アナウンス】は頭の中に響く感じだけど、この声は空間そのものに響く感じだったのだ。と言うか、夢空間って言ってたのだ。やっぱりここは夢なのだ。

 だけど、空間の拡張って何なのだ? そう思いつつ我輩がキョロキョロと辺りを見渡すと、100メートルほど向こうの空間が揺らいでいるようにみえたのだ。

「あそこに何かありそうな【予感】がするのだ」

 ついつい独り言を言いながら、そこに向かうと確かに不思議な感じに空間が歪んでいたのだ。気になった我輩は手を伸ばす。手というか前脚なのだ。

 そこに触れた瞬間、目を開けていられない程の光が広がったのだ。目がー、目がーなのだ。ごめんなのだ。言いたかっただけなのだ。


 しばらくして光が収まると、辺りの景色が一変していたのだ。

 左右は岩の壁、天井も岩。道は奥に続いている、洞窟の中の様な場所なのだ。天井は少し発光していて明るいのだ。そして振り返ると、そこには・・・。

「・・・小屋? なのだ」

 小屋と言っても犬小屋じゃないのだ。人間が住む様な大きさの小屋なのだ。人間小屋なのだ? 木造のログハウスと言った感じなのだ。

 我輩は洞窟を奥に進む前に小屋を探索する事にしたのだ。よく見たら玄関の上に文字が書いてあるのだ。「ポチ」と。やっぱり犬小屋だったのだ!? ちょっと大きな犬小屋だったのだ!?

 名前も書いてあるし、どうやらこれは我輩の為に用意された小屋の様なので遠慮なく入る事にするのだ。そもそも我輩の夢の中だから誰も文句は言わないのだ。

 いざ小屋の中へ! あれ? ・・・大変なのだ。ドアノブを回せないのだ。玄関が開けれないのだ! と思ったらトビラの下側がペットが押して開けれる様なドアになっていたのだ。親切設計だったのだ。

 我輩は押して開けるドアから小屋の中に入る。

 すると小屋の中にはテーブルがあり、1人の少年が座っていたのだ。いや、少年と言うか・・・。

「あれ? ここは?」

 ご主人なのだ。直前まで気配も無かったし、ご主人も今現れた感じなのだ。

「ここは我輩の夢の中なのだ」

 我輩が説明すると、ご主人はコッチを向く。

「ポチ! あれ? 夢? そうか俺は鬼人たちを従魔にしてたら10人を超えたあたりで魔力が尽きて気を失って・・・。今は夢を見てるのかな?」

 やっぱり、ご主人が夢を見ている間は我輩の夢の中に来てくれるのだ?

「また会えて良かったのだ!」

 そう言いながら、我輩はご主人に飛びかかる。ご主人は我輩を優しく抱きしめてくれたのだ。

「ああ、この抱っこされる感覚、とても懐かし・・・くないのだ。あれ? ずっとこうされてるような気がするのだ」

 不思議な感覚なのだ。

「んー、それはね。眠っているポチをリュックに入れて運んでるんだけど、そのまま入れると身体中が痛くなりそうだったからリュックの中を俺の手の形にしたんだよ。リュックの中でもこんな感じで抱き抱えてるわけだね」

 そこまで考えて貰えるのは嬉しいけど、リュックの中にご主人の腕とか、想像したら軽くホラーなのだ。

「あ、ありがとうなのだ。気を使って貰って助かるのだ。
 そうだ。ご主人は昨日の夜にも来たのだ? あれは夢じゃなく現実なのだ? あれ? でも夢の中の出来事で、これは夢だけど実際に夢の中にご主人来たのだ? 現実だったのだ? むー。説明が難しいのだ。これは哲学じゃないのだ」

「昨日の夜? ああ、そう言えば昨日も夢でポチに会ったよね。うんうん。確かに会った!
 あー、でも目を覚ましたら覚えて無かったんだ。何でだろう」

 ご主人が寝ると、我輩の夢に来るのはほぼ確定なのだ。これで毎日会えるのだ。

「ご主人・・・夢の中だけど、毎日会えるのだ。
 うう、嬉しくて涙が出てくるのだ」

「うんうん。俺も嬉しいよ。俺は目が覚めたら忘れちゃうかも知れないけどね・・・」

 そうなのだ。折角ご主人とお話できても、ご主人が現実に戻ると忘れてしまったら意味がないのだ。いや、意味なくはないけどちょっと悲しいのだ。

「あ、意識が遠のいて・・・どうやら目覚めるみたい。また夢で会おうね」

 ご主人はそう言うとそのまま消えてしまったのだ。

───ゴン!

 当然、抱かれていた我輩は落下したのだ。痛いのだ。涙目なのだ。べ、別にご主人が居なくなったから泣いてる訳じゃないのだ。

 前回もだけど、ご主人と話をできる時間はそんなに長くなかったのだ。残念なのだ。

 とにかく我輩はこの夢から目覚める方法を探さないといけないのだ。毎日ご主人には会えそうだから寂しくはないのだ。我輩頑張るのだ!

 ・・・寂しくないというのはウソなのだ。
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