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第3章 王都騒乱編
第46話 王城へ
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とりあえず王都の外に待機させていた魔物に「森へお帰り」と命令した後、俺はゼムスさんの屋敷に帰ってきた。
いや、まぁ実際には前と同じように『他の生き物をできるだけ避けて、森の奥で暮らせ』って命令したんだけどね。
ゼムスさんの屋敷に戻ると、みんなが待っていた。
みんなとは異邦人の5人、リーナさん、ゼムスさん、鈴木さん、ジョージ、太郎さん、それと王様とレミとソラ、そしてシーラ様だ。ちなみに、アクモン、ミルク、シルクの従魔3人組は別室で新作アイスを食べている。
そして代表して王様が口を開いた。
「リョーマ君。今朝は本当にお疲れ様。色々と助かったよ。痛い思いをさせてすまなかった」
そう言って、頭を下げる。
「いえ、頭を上げて下さい。ケガをしたのは自己管理が出来ていなかった自分の責任です。
まさか、寝不足であそこまでフラフラだとは自分でも気付いていませんでした」
一国の王が、そんな簡単に頭を下げちゃダメじゃないのかな。
「非公式の場なのだ。少しくらい頭を下げさせてくれ」
「ありがとうございます。謝罪の言葉は十分受け取りました。
それで今後についてなんですが・・・」
「ああ、そうじゃな。ちょうどその相談をしていたところじゃ。
勇者を抑えた今、やる事は1つ。今回の首謀者の確保と王族の救出じゃ」
それ2つになってますよ。因みに、今朝アクモンが倒して、俺が眠らせた勇者2人は現在神殿で幽閉されているらしい。
「そう言えば、勇者の2人は奴隷の首輪を付けられていましたが、外せたんですか?」
俺のその質問に対し、王様が口を開いた。
「それなんだが、あの者たちに付けられていた首輪は宝物庫に入っていた特別製のようで、取り付けた者以外には決して外せないアーティファクトなんだ。
そこも含めて、ミーナたちは早めに捕えてしまいたい。お願いばかりで申し訳ないが、もう少し付き合ってくれるかな?」
詳しく話を聞くと、王様はこれから城に戻る予定らしい。但し、どこまでミーナ王女の手が伸びているか分からないため、護衛として俺たちに付いて来て欲しいとの事だった。
「私もガルムのパートナーにしてもらえたらリョーマ君の恩恵によって強くなれるんだがな」
王様はまだそんな事を言ってたけど、さすがに王様を従魔枠にはできません。
「更にお願いばかりで本当に申し訳ないが、例のエリク・・・ポーションを多めに譲ってもらいたいんだ。
もちろん、相応の対価は支払わせてもらう」
王城の王族たちはみんな王様が飲まされていたのと同じような毒にやられてるんだっけ。またエリクサーって言いかけたけど、言い直してくれたからまあ良いや。
「対価は必要ないですよ。いくらでも出しますので、使って下さい」
そんな感じで打ち合わせが進み、王様と共に神殿からゼムスさんと魔物を追い払った(事になっている)レミと魔王を撃退した(事になっている)真の勇者太郎さん、それと女神様から勇者を授かったリーナさんが城に行く事になった。
俺はアクモン、ミルク、シルクと共に姿を消して付いて行く予定だ。残りのメンバーはお留守番だけど、十分過剰戦力だろう。ゼムスさんと太郎さんはパートナーのガルムボールも持って行くしね。
さあ、お城のどこかで震えてる王女さまに引導を渡しに行こうか。
さっさと勇者の2人を奴隷から解放させて、異邦人7人揃えてダンジョンを解放しないといけないからね!
打ち合わせが終わると早速王城へ向かった。太陽は既に西に傾き、空を赤く染めていた。
ゼムスさんの屋敷は王都の中央付近にあるので王城までも直ぐだが、体裁と言うものがあるらしく馬車で向かう。
何気なく、正面から王城へ入るのは初めてかも知れない。まあ、今回も透明だから非公式なんだけどね。
城門をくぐり、大きな扉の前で馬車が止まった。ここが正門なのかな?
事前に連絡が入っていたらしく、何人もの人が並んで待っていた。
「おかえりなさいませ。お待ちしておりました」
苦労しているのか、非常に髪が薄くなったおじさんが前に出て挨拶をする。あれかな、宰相とかそんな感じの人かな?
「しばらく留守にしてすまなかったな。余はこうして無事に戻った。心配をかけたな」
馬車から降りて、そう応える。王様、公式の場では一人称が余なんだ。王様っぽいね。王様っぽいって言うか王様だった。
「さて、早速だがこのポーションを病に伏せっている者たちに飲ませるのだ」
エリクサーを大量に入れた収納袋から1本を取り出して宰相(仮)にそう命じる。
「これは・・・? 【鑑定】してもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わぬ」
おお、宰相(仮)さんは【鑑定】が使えるんだね。優秀だ。
「こっこれは! エリ・・・「ただのポーションだ」」
エリクサーと言おうとした宰相(仮)・・・もう宰相でいいや。宰相に王様は被せ気味でポーションだとアピールしてくれた。素晴らしい。
「しかし、どう見てもエリク「ただのポーションだ」」
そのやり取り、俺も似たような事を王様としたような覚えが。
「では直ちにお妃様方にお飲み頂きます」
宰相はそう言うと、後ろに控えていたメイドたちにポーションを手渡す。
「うむ。よろしく頼むぞ。
それと、ミーナたちはどこだ?」
「ミーナ王女ですか?」
「ああ、そうだ。今回の首謀者ミーナとその取り巻きの2人だ。裏は取れている」
探知系のスキルによるとミーナ王女は直ぐ近くに居るみたいだ。この会話も聞いてるだろう。
「ミーナ王女が、ですか!?」
「待ちなさい! そいつはお父様の名を語る偽物よ!」
堪えきれなくなったのか、そう言いながらミーナ王女と取り巻きの2人が出てきた。
さすがに偽物でゴリ押しは無理があると思いますよ?
いや、まぁ実際には前と同じように『他の生き物をできるだけ避けて、森の奥で暮らせ』って命令したんだけどね。
ゼムスさんの屋敷に戻ると、みんなが待っていた。
みんなとは異邦人の5人、リーナさん、ゼムスさん、鈴木さん、ジョージ、太郎さん、それと王様とレミとソラ、そしてシーラ様だ。ちなみに、アクモン、ミルク、シルクの従魔3人組は別室で新作アイスを食べている。
そして代表して王様が口を開いた。
「リョーマ君。今朝は本当にお疲れ様。色々と助かったよ。痛い思いをさせてすまなかった」
そう言って、頭を下げる。
「いえ、頭を上げて下さい。ケガをしたのは自己管理が出来ていなかった自分の責任です。
まさか、寝不足であそこまでフラフラだとは自分でも気付いていませんでした」
一国の王が、そんな簡単に頭を下げちゃダメじゃないのかな。
「非公式の場なのだ。少しくらい頭を下げさせてくれ」
「ありがとうございます。謝罪の言葉は十分受け取りました。
それで今後についてなんですが・・・」
「ああ、そうじゃな。ちょうどその相談をしていたところじゃ。
勇者を抑えた今、やる事は1つ。今回の首謀者の確保と王族の救出じゃ」
それ2つになってますよ。因みに、今朝アクモンが倒して、俺が眠らせた勇者2人は現在神殿で幽閉されているらしい。
「そう言えば、勇者の2人は奴隷の首輪を付けられていましたが、外せたんですか?」
俺のその質問に対し、王様が口を開いた。
「それなんだが、あの者たちに付けられていた首輪は宝物庫に入っていた特別製のようで、取り付けた者以外には決して外せないアーティファクトなんだ。
そこも含めて、ミーナたちは早めに捕えてしまいたい。お願いばかりで申し訳ないが、もう少し付き合ってくれるかな?」
詳しく話を聞くと、王様はこれから城に戻る予定らしい。但し、どこまでミーナ王女の手が伸びているか分からないため、護衛として俺たちに付いて来て欲しいとの事だった。
「私もガルムのパートナーにしてもらえたらリョーマ君の恩恵によって強くなれるんだがな」
王様はまだそんな事を言ってたけど、さすがに王様を従魔枠にはできません。
「更にお願いばかりで本当に申し訳ないが、例のエリク・・・ポーションを多めに譲ってもらいたいんだ。
もちろん、相応の対価は支払わせてもらう」
王城の王族たちはみんな王様が飲まされていたのと同じような毒にやられてるんだっけ。またエリクサーって言いかけたけど、言い直してくれたからまあ良いや。
「対価は必要ないですよ。いくらでも出しますので、使って下さい」
そんな感じで打ち合わせが進み、王様と共に神殿からゼムスさんと魔物を追い払った(事になっている)レミと魔王を撃退した(事になっている)真の勇者太郎さん、それと女神様から勇者を授かったリーナさんが城に行く事になった。
俺はアクモン、ミルク、シルクと共に姿を消して付いて行く予定だ。残りのメンバーはお留守番だけど、十分過剰戦力だろう。ゼムスさんと太郎さんはパートナーのガルムボールも持って行くしね。
さあ、お城のどこかで震えてる王女さまに引導を渡しに行こうか。
さっさと勇者の2人を奴隷から解放させて、異邦人7人揃えてダンジョンを解放しないといけないからね!
打ち合わせが終わると早速王城へ向かった。太陽は既に西に傾き、空を赤く染めていた。
ゼムスさんの屋敷は王都の中央付近にあるので王城までも直ぐだが、体裁と言うものがあるらしく馬車で向かう。
何気なく、正面から王城へ入るのは初めてかも知れない。まあ、今回も透明だから非公式なんだけどね。
城門をくぐり、大きな扉の前で馬車が止まった。ここが正門なのかな?
事前に連絡が入っていたらしく、何人もの人が並んで待っていた。
「おかえりなさいませ。お待ちしておりました」
苦労しているのか、非常に髪が薄くなったおじさんが前に出て挨拶をする。あれかな、宰相とかそんな感じの人かな?
「しばらく留守にしてすまなかったな。余はこうして無事に戻った。心配をかけたな」
馬車から降りて、そう応える。王様、公式の場では一人称が余なんだ。王様っぽいね。王様っぽいって言うか王様だった。
「さて、早速だがこのポーションを病に伏せっている者たちに飲ませるのだ」
エリクサーを大量に入れた収納袋から1本を取り出して宰相(仮)にそう命じる。
「これは・・・? 【鑑定】してもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わぬ」
おお、宰相(仮)さんは【鑑定】が使えるんだね。優秀だ。
「こっこれは! エリ・・・「ただのポーションだ」」
エリクサーと言おうとした宰相(仮)・・・もう宰相でいいや。宰相に王様は被せ気味でポーションだとアピールしてくれた。素晴らしい。
「しかし、どう見てもエリク「ただのポーションだ」」
そのやり取り、俺も似たような事を王様としたような覚えが。
「では直ちにお妃様方にお飲み頂きます」
宰相はそう言うと、後ろに控えていたメイドたちにポーションを手渡す。
「うむ。よろしく頼むぞ。
それと、ミーナたちはどこだ?」
「ミーナ王女ですか?」
「ああ、そうだ。今回の首謀者ミーナとその取り巻きの2人だ。裏は取れている」
探知系のスキルによるとミーナ王女は直ぐ近くに居るみたいだ。この会話も聞いてるだろう。
「ミーナ王女が、ですか!?」
「待ちなさい! そいつはお父様の名を語る偽物よ!」
堪えきれなくなったのか、そう言いながらミーナ王女と取り巻きの2人が出てきた。
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