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第2章 学園入学編

第6話 実力テスト

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 残念ながら(?)、特に絡まれるような事もなく、寮に入る事ができた。べ、別に絡まれなくて寂しくなんてないんだからねっ!

 ・・・。気を取り直して、寮の管理人に色々と説明してもらってから部屋に入ると、そこは一人部屋になっていて、10畳くらいの広さに生活するのに必要最小限の物が揃っていた。あくまでも必要最低限の物なので、足りない物は買い揃えないとな。ある程度は【収納】に入れてあるけど、流石に足りない。あ、もちろん男女は別の棟になっていた。

 最初の日は到着が夕方だった事もあり、食堂で夕飯を食べた後、そのまま就寝した。

 後で知ったが、貴族や金持ちの子が多く居る事もあり、この寮には大浴場があるそうだ。『清浄』の魔法があるとは言え、元日本人としては疲れた時は風呂に入りたいので、入れば良かったかな。残念だ。

 因みに、この学園は基本的に全寮制であり、全ての生徒が寮に入る。更に最初の3ヶ月は学園生活に慣れる為と言う名目で外出も制限され、中々外に出られないらしい。古い慣習ってやつかな?

 まだ学園が始まるまでは外出も問題ないとの事なので、着いた翌日は街に繰り出して不足している物を買い集めた。

 そして、その翌日は冒険者ギルドで依頼達成の報告をした。当然、昨日の今日では追加報酬の連絡は来ていないとの事だったので、連絡が来たらギルド口座に振り込んでもらうようにお願いしておいた。

 当然、この歳でAランクな事に驚かれ、少し騒ぎになった事を追記しておく。

 そう言えば、蛇足だがレベルは138になったので、ギルドカードには38と表示されている。平均的にはレベル40でBランク相当なのでギルドカードに表示されたレベル的に言えば、俺はレベル以上のギルドランクと言う事になる。レベルに見合わない高ランク冒険者だ。本当は+100だけど。

 さて、その次の日はいよいよ待ちに待った(待ってないけど)クラス分けの実力テストの日だ。支給された体操服を着て集合場所の運動場に向かう。

「新入生の子ね? これが番号札だから、持ってあっちに集まってね」

 運動場の入口に着くと、上級生と思われる女の子が受付をやっていた。俺もその内こう言う場に借り出されるのかな? そんな事を考えながら言われた場所に行く。

 少し出遅れたのか、番号札は125番だ。毎年200人前後が入学するとの事なので、既に半分以上の人は受付を済ませたようだ。

 集合時間までは後10分くらいあるし、暇だなーと思っていたら、横に居た男の子に声をかけられた。金髪で若干髪が長く、平均的な身長、平均的な顔立ちをしている。誰だろう?

「やあ、君一人? 知り合いとか居ないの?」

「どうも。僕はエナンの街から来たので一人です。貴方は?」

「ああ、ごめんごめん。俺はジョージ。俺も離れた街から来て、一人なんだ。
 同じ様に一人で待ってる奴が居たから、声をかけたんだよ」

 そう言われて周りを見ると、大半の人達がグループを作って世間話などをしているようだ。

「ここで知らない子に声をかけるとか、中々行動力ありますね。
 僕はリョーマです。よろしくお願いします」

 適当にタメ口で話しかけて、高位の貴族とかだったらどうするつもりだったんだろう。まあ、そんな人はここに一人で立ってないか。取り巻きが居るだろう。

 詳しく話を聞くと、ジョージは王都の西にある街の商人の息子との事だった。当然、入学金を払って入った口だ。

「ところで、俺に丁寧な言葉を使う必要はないぜ? 同い年だろ?」

「あ、そうか、今まで僕は年上と接する事の方が多くて、ついつい丁寧になるんだ。これで良いかい?」

「ああ、改めてよろしくな」

 手を差し出して来たので、握手する。

「ええ、よろしく」

「年上と接してたって何をしてたんだ?」

「冒険者をちょっと・・・ね」

 ちょっとじゃない気もするけど、まあいいや。

「はぁ!? 俺と同い年だろ? それで冒険者とか! 未成年特例ってやつか? それにしても就学前から冒険者か・・・。お前実はすごく強いのか!?」

「さ、さあどうだろうね?」

 余りの気迫に押されまくってちょっとのけ反ってしまった。ジョージ君近い、近いって!

「まあ、実力テストが始まれば分かるか・・・っと、始まるみたいだぞ?」

 俺たちがそんな感じで話をしていると、運動場の中央に置かれていた台の上に1人の教師と思われる人が上る。40代くらいのおじさんだ。ちょっとオデコが広くなりかけている。

「ようこそ、新入生の諸君。私はこの学園の教師で、新入生の学年主任を任されたスコットと言う。
 知っての通り、本日君たちには実力テストを受けてもらう。その結果でこの先1年のクラスが決定するので、頑張るように。
 それでは、まずはレベルの確認だ。事前に申告はしてもらっているが、たまに虚偽の申告をする子もいるからね。受付普段の100番までは右手側、それ以降は左手側に並んでくれたまえ」

 因みに、レベルチェックの後は学力テストを行い、午後からは魔法や剣術など戦闘力のテストがあるそうだ。この国の最高峰の学園なだけはあり、戦闘面も優れていて、卒業までに最低でもレベル20を目指すそうだ。

 前にも述べた通り、この世界の平均レベルは意外と低く10台前半だ。それを考えたら、この学園の凄さが分かるだろう。

 俺は言われた通り、学年主任の先生の左手側に並ぶ。特に受付順で並ぶ必要とかはないらしい。

「リョーマは何番だ? 俺は112番だ」

 どうやらジョージも100番以降だったらしく、一緒に並んで順番を待った。

「どうやってレベルを調べるんだろうね?」

「なんだ? リョーマお前知らないのか? アレだよ。冒険者ギルドのギルドカードと同じ仕組みで、学生証を作るんだ。そしたらレベルも表示されるだろ?」

 ああ、なるほど。納得。本当のレベルがバレたら大騒ぎだと思ったけど、それなら2桁しか表示されないし大丈夫だ。最悪はギルドカードを提示しようかと思っていた。

「もうすぐだな。リョーマ、俺のレベルを見て驚くなよ!?」

 そんなにレベルが高いんだろうか? ちょっと気になったから【鑑定】してみよう。

・基本情報
 種族:人
 名前:ジョージ・ワトソン
 年齢:6歳
 レベル:20

 20か、確かに一般人にしては高い方だ。因みにどんなスキルを持ってるんだろう。そう思ってもう1段階【鑑定】しようとしたが、常にヘラヘラした顔をしていたジョージが急に真顔になる。

「リョーマ、お前今俺を【鑑定】したか!?」

 あ、ばれてーら。

「ご、ごめん。自慢するくらいだからどんなに凄いんだろうと思って。でも【鑑定】に気付いたって事はジョージも【鑑定】を持ってるんだね」

「ああ、まあ俺のは養殖だけどな」

「え? それってスキル書で覚えたって事?」

「親父が、お前は将来俺の後を継いで商人になるんだから【鑑定】くらい使えないとなって覚えさせてくれたんだ」

 スキル書とは、ごく稀にダンジョン等で入手できるお宝で、使い捨てだが使用するとそのスキル書に記載されたスキルを取得できる物だ。【鑑定】のスキル書なんてそれだけでひと財産だろうに、ジョージは結構凄い商人の子なのかも知れない。
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