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第1章 幼少期編
従話 ポチの冒険(4)前編
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結論から言うのだ。
我輩の一方的な蹂躙は始まらなかったのだ。期待して読んでたみんな、ごめんなさいなのだ! ん? 我輩は誰に向かって謝ってるのだ?
とりあえず状況を説明すると、ピンクの悪魔を倒してから、残りの4人はスイッチが入ったかのように強くなった。いや、油断が無くなり、本気を出してきたのだ? ピンクは完全に油断してたからサクッと倒せただけだったようなのだ。
本気を出した悪魔達は息の合った連携で、ステータスが大きく上回る我輩と互角の戦いを繰り広げているのだ。
前にご主人が観ていたテレビで、戦力は人数の二乗に比例するとか言っている人が居たけど、それは言い過ぎだとしても、相手が4人と言う事は単純に考えて、あちらが我輩に与えるダメージは4倍、一人が受けるダメージは4分の1になるのだ。
そうなると、互角の戦いをしてる今、良くやってるのは寧ろ我輩の方かも知れないのだ。
我輩は生来の回復力の高さに加えて、ご主人のスキルの影響で回復力が大幅に強化されているのだ。少しぐらいのキズは直ぐに治るし、魔力も使ったそばから回復していく。実質無尽蔵なのだ。
だけど、いくら回復力が大幅に強化されている我輩でも、体感で10時間以上は戦い続けているので、精神的な疲労が溜まってきたのだ。うう、そろそろ休みたいのだ。
「ヒッヒッヒ。どうしました? 少し動きが悪くなってきましたよ? そろそろ降参ですか?」
「我輩には、待っている人がいる。降参はしないのだ。でも我輩にシリアスな展開は似合わないのだ。もう少しギャグに走ってくれても良いのだ? ギャグは見た目だけなのだ?」
「この崇高なスーツがギャグだとか、見え透いた挑発ですね。私はそんな挑発には乗りませんよ?」
この悪魔達、見た目はご主人の好きだった戦隊シリーズみたいな格好で巫山戯ているのかと思ったら、意外とギャグは通じないのだ。心底カッコ良いと思ってるのだ!?
見た目はギャグでも、ちょっとの油断が命取りになる厳しい戦いなのだ。ただそれはあちらも同じ、互いにフォローし合っているけど、少しでも隙を見せたら、順に倒して一気に人数を減らしてやるのだ。
それにしても、【鑑定】が効かない同レベルの相手がここまで厄介だとは思わなかったのだ。相手の役割や、切り札も分からない状況が、こんなに大変だとは知らなかったのだ。
生まれてから今まで、【鑑定】に頼り切っていたのが良く分かったのだ。今後の戒めにするのだ。その為にも、この場を何とか切り抜けないといけないのだ。
「どうせ次のお客様がこの階層にやって来るのは、今までの傾向から言えば何百年も後なんです。もっともっと楽しませて下さい。私達もこの階層に縛られていて、意外と退屈しているんです。
さあ、我々の連携に翻弄されて下さい」
因みに、長時間戦って相手の役割は何となく分かってきたのだ。見た目の通り、赤い奴はリーダー的な存在で戦闘に特化している。剣と魔法を上手く使って来るのだ。他の悪魔への指示も的確なのだ。ご主人のやっていたゲームに例えるとしたら勇者なのだ。
黄色は最初も我輩に【鑑定】を使ってきたし、索敵担当なのか感知系のスキルも色々と持っている。状況判断も中々上手いのだ。職業的には盗賊なのだ。
緑は回復と弱体魔法重視で、あまり前には出てこない。先に倒そうと思ったけど、それぞれのフォローが上手くて中々切り崩せないのだ。何度か近づいても、体術が上手くて受け流されたりもしたのだ。こいつは肉弾戦もできる僧侶、モンクなのだ。
紫は防御と強化魔法重視で非常に硬い。我輩の高速移動からの切り裂きも上手く捌かれて、決定打にならないのだ。こちらの職業は重戦士と言ったところなのだ。
消去法でいくと多分ピンクは、攻撃魔法重視な魔法使いとかだったと思われるのだ。だから我輩の急な高速移動に付いて来れず、不意打ちのような形で何とか先に倒せたのだ。全員が最初から本気の状態だったら、きっと今頃我輩もヤバかったのだ。
それにしても、役割がハッキリしている4人組と戦う魔物。コレではこっちが悪者のようなのだ。おかしいのだ。
よし、ちょっとカッコいい事を言って流れを変えるのだ!
「我輩はこんな所でのんびりしている程、暇ではないのだ! 命を賭してでもやらないといけない事があるのだ! 命を掛けて、共に生きると決めたご主人の元に行かないと行けないのだ!」
命を賭して、命を掛けて、共に生きる? 自分で言ってて矛盾してる気がするのだ。哲学なのだ。
「その心意気、素晴らしいわね。だけど、我々を倒せなければ、意味がないわ」
そう言いながら、紫が大きな盾を掲げて前に出る。紫が喋ったのは初めてだけど、女性だったのだ。知らなかったのだ。と言うか、悪魔に性別はあるのか? なのだ。
「私達は召喚主との契約により、この階層の守護を任されているわ。
ワンちゃんがどれだけ情に訴えようとも、我らが自らの意思でここを退く事はありえない。
先に進みたくば、我らを倒しその力を示しなさい!」
あれ? なんかこの紫、カッコいいのだ。
───────────────
すみません。調子に乗って書いていたら、長くなったので、一旦ここで分割させて頂きます。
続きは昼に更新させて頂きます。お待ち頂けたら幸いです。
我輩の一方的な蹂躙は始まらなかったのだ。期待して読んでたみんな、ごめんなさいなのだ! ん? 我輩は誰に向かって謝ってるのだ?
とりあえず状況を説明すると、ピンクの悪魔を倒してから、残りの4人はスイッチが入ったかのように強くなった。いや、油断が無くなり、本気を出してきたのだ? ピンクは完全に油断してたからサクッと倒せただけだったようなのだ。
本気を出した悪魔達は息の合った連携で、ステータスが大きく上回る我輩と互角の戦いを繰り広げているのだ。
前にご主人が観ていたテレビで、戦力は人数の二乗に比例するとか言っている人が居たけど、それは言い過ぎだとしても、相手が4人と言う事は単純に考えて、あちらが我輩に与えるダメージは4倍、一人が受けるダメージは4分の1になるのだ。
そうなると、互角の戦いをしてる今、良くやってるのは寧ろ我輩の方かも知れないのだ。
我輩は生来の回復力の高さに加えて、ご主人のスキルの影響で回復力が大幅に強化されているのだ。少しぐらいのキズは直ぐに治るし、魔力も使ったそばから回復していく。実質無尽蔵なのだ。
だけど、いくら回復力が大幅に強化されている我輩でも、体感で10時間以上は戦い続けているので、精神的な疲労が溜まってきたのだ。うう、そろそろ休みたいのだ。
「ヒッヒッヒ。どうしました? 少し動きが悪くなってきましたよ? そろそろ降参ですか?」
「我輩には、待っている人がいる。降参はしないのだ。でも我輩にシリアスな展開は似合わないのだ。もう少しギャグに走ってくれても良いのだ? ギャグは見た目だけなのだ?」
「この崇高なスーツがギャグだとか、見え透いた挑発ですね。私はそんな挑発には乗りませんよ?」
この悪魔達、見た目はご主人の好きだった戦隊シリーズみたいな格好で巫山戯ているのかと思ったら、意外とギャグは通じないのだ。心底カッコ良いと思ってるのだ!?
見た目はギャグでも、ちょっとの油断が命取りになる厳しい戦いなのだ。ただそれはあちらも同じ、互いにフォローし合っているけど、少しでも隙を見せたら、順に倒して一気に人数を減らしてやるのだ。
それにしても、【鑑定】が効かない同レベルの相手がここまで厄介だとは思わなかったのだ。相手の役割や、切り札も分からない状況が、こんなに大変だとは知らなかったのだ。
生まれてから今まで、【鑑定】に頼り切っていたのが良く分かったのだ。今後の戒めにするのだ。その為にも、この場を何とか切り抜けないといけないのだ。
「どうせ次のお客様がこの階層にやって来るのは、今までの傾向から言えば何百年も後なんです。もっともっと楽しませて下さい。私達もこの階層に縛られていて、意外と退屈しているんです。
さあ、我々の連携に翻弄されて下さい」
因みに、長時間戦って相手の役割は何となく分かってきたのだ。見た目の通り、赤い奴はリーダー的な存在で戦闘に特化している。剣と魔法を上手く使って来るのだ。他の悪魔への指示も的確なのだ。ご主人のやっていたゲームに例えるとしたら勇者なのだ。
黄色は最初も我輩に【鑑定】を使ってきたし、索敵担当なのか感知系のスキルも色々と持っている。状況判断も中々上手いのだ。職業的には盗賊なのだ。
緑は回復と弱体魔法重視で、あまり前には出てこない。先に倒そうと思ったけど、それぞれのフォローが上手くて中々切り崩せないのだ。何度か近づいても、体術が上手くて受け流されたりもしたのだ。こいつは肉弾戦もできる僧侶、モンクなのだ。
紫は防御と強化魔法重視で非常に硬い。我輩の高速移動からの切り裂きも上手く捌かれて、決定打にならないのだ。こちらの職業は重戦士と言ったところなのだ。
消去法でいくと多分ピンクは、攻撃魔法重視な魔法使いとかだったと思われるのだ。だから我輩の急な高速移動に付いて来れず、不意打ちのような形で何とか先に倒せたのだ。全員が最初から本気の状態だったら、きっと今頃我輩もヤバかったのだ。
それにしても、役割がハッキリしている4人組と戦う魔物。コレではこっちが悪者のようなのだ。おかしいのだ。
よし、ちょっとカッコいい事を言って流れを変えるのだ!
「我輩はこんな所でのんびりしている程、暇ではないのだ! 命を賭してでもやらないといけない事があるのだ! 命を掛けて、共に生きると決めたご主人の元に行かないと行けないのだ!」
命を賭して、命を掛けて、共に生きる? 自分で言ってて矛盾してる気がするのだ。哲学なのだ。
「その心意気、素晴らしいわね。だけど、我々を倒せなければ、意味がないわ」
そう言いながら、紫が大きな盾を掲げて前に出る。紫が喋ったのは初めてだけど、女性だったのだ。知らなかったのだ。と言うか、悪魔に性別はあるのか? なのだ。
「私達は召喚主との契約により、この階層の守護を任されているわ。
ワンちゃんがどれだけ情に訴えようとも、我らが自らの意思でここを退く事はありえない。
先に進みたくば、我らを倒しその力を示しなさい!」
あれ? なんかこの紫、カッコいいのだ。
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すみません。調子に乗って書いていたら、長くなったので、一旦ここで分割させて頂きます。
続きは昼に更新させて頂きます。お待ち頂けたら幸いです。
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