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プロローグ
プロローグ・後編
しおりを挟む「分かりました。それでは種族は人族とします。そして、最初に説明させて頂いた通り、【テイマー】のスキルを付与させて頂きます。
また、それとは別に前世で助けてあげられなかった補償として便利スキルセットも付与させて頂きます。内容については転生後にご確認下さい。きっと貴方ならすぐに理解して頂けて、テンプレだと思われるはずです」
なるほど、至れり尽くせりだな。死んでしまった訳だけど、ある意味ではポチに感謝だ。早く転生してさがしだしてやらないとな。
「それと、本来予定には無かったのですが、貴方の事を私個人が気に入ったので、レアスキルを一つサービスさせて頂きます。こちらの一覧からお選び下さい」
女神様がそう言うと、また目の前の空間に文字が浮かび上がる。
多種多様なスキルが描かれているが、その中で一つが俺の目に止まる。
【従魔強化】LV1・・・従魔の能力を底上げするパッシブスキル。従魔の全能力が+10%×スキルレベル分向上。スキルランクはレア。
もう、これを見つけてしまったらこれ以外の選択肢はないな。ポチは過酷な環境に生まれる可能性もある。俺のスキルで少しでも強くなるなら、それに越した事はない。
「やはり、そのスキルを選ばれましたか。貴方は本当にポチさんの事が好きな優しい方なのですね。他のスキルを選ばれた場合はそのままのつもりでしたが、そのスキルを選んだ貴方にサービスです」
女神様がそう言うと、目の前に見えていたスキルが変化していく。
【従魔超強化】LV10・・・従魔の能力を底上げするパッシブスキル。従魔の全能力が+10%×スキルレベル分向上。取得経験値が+100%×スキルレベル分増加。回復力が+100%×スキルレベル分増加。スキルランクはユニーク。
いやいや、これはチートじゃないか・・・。スキルレベルも10になってるし! 女神様やり過ぎ! と言うかスキルランクって何だろう?
「スキルランクは入手のし易さです。下から順にノーマル・レア・スーパーレア・レジェンドとなります。ノーマルは誰でも努力したら獲得できる、ごく普通のスキルです。レアになると数百人に一人程度、スーパーレアは数万人に一人、レジェンドになると世界で数人レベルしか取得出来ないようなスキルとなります。そして、ユニークは他に持っている人が居ない唯一のスキルです」
あ、俺専用スキルなんだ。特別扱いすぎてやばい。
「ちなみに【テイマー】のスキルランクはレアです。冒険者になるとたまに見かけるレベルですね。ポチさんと従魔契約する為に、こちらもスキルレベルは最大の10となっています。
スキルレベルは基本的に1から10までありますが、レベルの存在しないスキルもあります。そこは追々学んで頂ければと思います」
やっぱりあるんだ、冒険者。ちょっと気になるから脳内にメモだ。
「何から何まで、本当にありがとうございます」
「いえ、ちょっと私情を挟んでしまったとは言え、基本的にはお仕事ですので、貴方が気になさる事はありませんよ? 転生に関してちょっと無理している代償は、ポチさんと貴方が亡くなる原因を作った女神に請求しますので」
そう言って女神様はニコリと笑う。ただでさえ美人なのに微笑むと破壊力半端ないな。それにしても、チートすぎやしないかと思ったけどやっぱり無理してるんだ。ホント申し訳ない。
「そうですね。無理はしていますが大丈夫ですよ? 気になさらないでと言っても、優しい貴方は気になさると思いますので、こうしましょう。向こうの世界で私を祀る教会を見つけた際はお祈りを捧げて下さい。そしたらまた短時間でもお話出来ると思います。それだけで私は十分ですよ」
「ありがとうございます! 必ずお祈りさせて頂きます」
本当に至れり尽くせりで、申し訳ないから向こうの世界で他に何か、恩返しできる事がないか探してみよう。これも脳内にメモだな。生まれる前から次の人生の目標が何個もある。うん、生き甲斐がありそうだ。
「さて、私にお手伝い出来るのはここまでです。最後に何か聞いておきたい事などはございますか?」
聞きたいことかぁ、パッとは浮かばないな・・・。あ、そうだ!
「では、一つだけ、ポチは何に転生したのでしょうか?」
「ポチさんの種族ですか? それはポチさんから、会った時に驚かせたいので内緒にして欲しいとお願いされているんです。申し訳なありません。ただ、従魔と言うことでお分かりの通り、魔物ではあります。私に言えるのはそこまでですね」
なるほど、残念。残念だけど、あっちの世界での楽しみが増えたと思って諦めるしかないかな。後、もう一つ聞きたい事を思いついた。
「分かりました。それと追加の質問なんですけど、あちらの世界に地球からの転移者や転生者はいるのでしょうか?」
「転生に関しては私の管轄なので詳細までお伝え出来ます。転生者という意味では私の管轄の二つの世界でランダムに自動転生する為、地球でお亡くなりになられた方があちらの世界に転生する事もあります。
ですが、通常は記憶を引き継ぐ事はありません。小さい頃に夢で見る事はあっても物心付く頃には完全に忘れてしまうようになっています。つまり、地球での記憶を持った転生者は基本的には存在しません。貴方のような例外を除いて。
そして現時点で地球の記憶を持っているのは貴方だけだと思います。数百年に一度くらいの周期で極々稀に何かの拍子に前世の記憶を取り戻す人も居ますが、今は居なかったかと。
転移者に関しては稀に他の女神の悪戯などで地球から転移する人も居ます。けれど、今いるかどうかは、私の管轄外なので詳しくは分かりません。すみません」
「いえ、それで十分ですよ。もしかしたら居るかも知れない程度って事ですよね? ありがとうございます」
さて、とりあえず他に聞きたい事は思いつかないし、こんなもんかな? 転生してから思いついたりするかも知れないけど、そうなったらさっきの話で教会を探してお祈りをしたらいいか。
「ええ、また何かありましたら私を祀った教会を探して下さいね?
それでは早速ですが、貴方を転生させて頂きたいと思います」
いよいよか・・・、何か緊張するな。転生先は選べないと言っても、そこそこの家庭だと良いな。
「はい。転生先は選べないとは言え、出来る限り良い環境になるよう、私も祈っています。その為にも、私の加護も付けておきますね。
それでは良い来世をお過ごし下さい・・・」
加護のお礼を言う前に、俺の周りを光が取り囲んで行き、意識が遠のいていく。
あ、性別決めてない気がする。大丈夫かな? そんな事を考えながら、俺の意識は途絶えたのだった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
次に意識が戻った時、俺は知らない部屋で寝ていた。無事に転生できたんだろうか?
とりあえず、テンプレとしてこれだけは言わないといけない。
「あうあうあうあー・・・」
喋れなかった。
知らない天井だ。って言いたかったのに締まらない。でもよく考えたら転生したてって事で赤ん坊だし、喋れる訳がない。
とりあえず、あたりの様子を探ると広い部屋に置かれたベビーベッドに一人で寝ていたようだ。少し離れたところで女性がイスに座ってうたた寝している。母親かな?
それにしても、生まれた瞬間とかではなく、今覚醒したのは女神様のサービスだろうか? 前世の記憶があるまま、産まれる瞬間を体験したくはないからね。
しかし、この部屋の広さは一般人って訳ではなさそうだ。そこそこ裕福な家庭なのか、まず第一関門は突破ってことなのかな? そんな事を考えて居たら、頭の中に声が響いてきた。
《従魔ポチが取得した経験値の一部を獲得しました。
レベルが上がりました。
レベルが上がりました。
レベルが3になりました》
えええええ!?
生まれてすぐに、いきなりレベルが上がったようです。2つも。
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