上 下
19 / 23
第1章 地方都市ガメル(仮

第13話 依頼をうけました

しおりを挟む
 ギルドカードを発行してもらった俺は、早速依頼を受ける事にした。

「質問ばかりですみません。最初はどんな依頼を受けたら良いでしょうか?」

「そうだね! 最初はあっちの依頼ボードの左端、Fランクの依頼を確認すると良いよ!」

「はい! ありがとうございます」

 相変わらず元気の良いギルド職員のチールさんに教えて貰うと、早速依頼ボードに向かう。

 えっと、Fランクの依頼はっと。お、この辺りかな?

 俺は順に貼り出されている依頼書を見て行く。間、間で歯抜けになっているのは既に誰かが受けてしまったんだろう。

 何々、「迷子になったペットを探して下さい」「引越しの手伝い急募」「荷物を届けて下さい」。

 ・・・予想はしてたけど、Fランクは本当に雑用係のようだね。

 もう少し見ていると、Fランクの端の方に常設コーナーというのがあった。

 ん? この常設って何だろう? 

《常設依頼と言うのは、年中貼り出されている依頼ですね。薬草から、魔物の素材まで汎用性の高い物を持ってきて納品すると依頼達成になります》

 なるほど、さすが知識の泉。詳しいね。で、Fランクの常設は・・・「薬草の採取」。これだけだ。傷薬用の薬草とか、解熱用の薬草とか何種類かあるけど、全部薬草の採取だね。

 まあ、Fランク初心者にいきなり戦闘はさせられないだろうから、採取だけなのも仕方ないか。

 薬草の採取については、明日の訓練でもレクチャーしてもらえるとの事だったので、今日はやめておこう。採り方を間違えたら二束三文で買い叩かれるとかありそうだしね。

 そうなると、どの雑用を受けるかな。何て考えていたら、新しい依頼書が貼り出された。

《マスター、その依頼にしましょう》

 その依頼? 今貼り出されたやつかな?

《はい。そうです。ご確認下さい》

 えっと、「部屋に溢れた荷物の整理を手伝って下さい」。他の依頼とそんなに変わらないと思うけど?

《依頼者の住所を見て下さい。教会の近くなので移動が楽ですよ》

 おー、なるほどね。ここは広い街では無いけど、それでも端から端まで歩くと数時間はかかる。教会に近いにこしたことはないよね。知識の泉さん、ありがとう。

 心の中で知識の泉にお礼を言いつつ、依頼書を依頼ボードから外して受付に向かう。

「すみません。この依頼を受けたいのですが?」

「お! 決まったかい? ふむふむ。お片付けの手伝いか! 良いんじゃないか? さすがに片付けなら依頼失敗もないだろう!」

 そして問題なく依頼を受けると、依頼者の元に向かうのであった。

 ☆

 さて、書いてあった住所だとこの辺りだと思うけど・・・。

 俺は依頼書に書かれていた住所。俺の住む教会から通りを何個か挟んだ路地裏に来ている。

 近所ではあるけど、この辺りは足を運んだ事がないのでイマイチ分からない。

《依頼者の名前で検索を行いますか?》

 ああ、そうか。知識の泉なら見えていない情報でも検索できるんだっけ? お願いしようかな。

《依頼者ココを検索します。
 検索中です・・・。
 ヒットしました。2軒隣の建物です》

 すごいな。検索時間わずか1秒。某検索サイト並みだね。今回は近場で絞り込んだから早かったのかな?

《この街の中くらいなら、今と同じ速度で検索可能です》

 知識の泉が優秀過ぎた。嬉しい限りだね。

 本来なら、まず依頼者に会うのに近所の聞き込みが必要だ。住所も前世のようにしっかりと分かるわけじゃなく、結構曖昧だから意外と大変なんだよ。

 とりあえず、2軒隣に向かうとそこには古びた小屋が建っていた。そして、看板が出ている。

「えっと、占いの館ココ・・・」

 そのまんまでした。占い師さんなんだね。

 この世界は天職があるので、前世の占いより精度が高いと思われる。本当に未来が垣間見えたりするのかな?

《高位の天職を持つ者でしたら、その通りです。一般的な占い師でしたら所持スキルも予感程度で、当たるも八卦、当らぬも八卦と言った感じですね》

 前世とそんなに変わりませんでした。それでも勘とかではなく、予感スキルを使う分まだマシなのかな?

 そんな事を考えながら、占いの館(と言う名の小屋)に入る。

 薄暗い小屋の中は、ただでさえ狭そうなのに、所狭しと荷物が積み上がっていた。うわー、これを片付ける手伝いか・・・。思ったより大変かも。

「こんにちはー。誰かいますか?」

 人影が見当たらなかったので挨拶をしてみる。

「おや? お客さんかの?」

 そう言って荷物の陰から出てきて出迎えてくれたのは、お婆さんっぽい話し方のお姉さんだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~

桜井正宗
ファンタジー
 元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。  仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。  気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。 しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。 探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。 だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。 ――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。 Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。 Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。 それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。 失意の内に意識を失った一馬の脳裏に ――チュートリアルが完了しました。 と、いうシステムメッセージが流れる。 それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

【書籍化決定】神様お願い!〜神様のトバッチリを受けた定年おっさんは異世界に転生して心穏やかにスローライフを送りたい〜

きのこのこ
ファンタジー
突然白い発光体の強い光を浴びせられ異世界転移?した俺事、石原那由多(55)は安住の地を求めて異世界を冒険する…? え?謎の子供の体?謎の都市?魔法?剣?魔獣??何それ美味しいの?? 俺は心穏やかに過ごしたいだけなんだ! ____________________________________________ 突然謎の白い発光体の強い光を浴びせられ強制的に魂だけで異世界転移した石原那由多(55)は、よちよち捨て子幼児の身体に入っちゃった! 那由多は左眼に居座っている神様のカケラのツクヨミを頼りに異世界で生きていく。 しかし左眼の相棒、ツクヨミの暴走を阻止できず、チート?な棲家を得て、チート?能力を次々開花させ異世界をイージーモードで過ごす那由多。「こいつ《ツクヨミ》は勝手に俺の記憶を見るプライバシークラッシャーな奴なんだ!」 そんな異世界は優しさで満ち溢れていた(え?本当に?) 呪われてもっふもふになっちゃったママン(産みの親)と御親戚一行様(やっとこ呪いがどうにか出来そう?!)に、異世界のめくるめくグルメ(やっと片鱗が見えて作者も安心)でも突然真夜中に食べたくなっちゃう日本食も完全完備(どこに?!)!異世界日本発福利厚生は完璧(ばっちり)です!(うまい話ほど裏がある!) 謎のアイテム御朱印帳を胸に(え?)今日も平穏?無事に那由多は異世界で日々を暮らします。 ※一つの目的にどんどん事を突っ込むのでスローな展開が大丈夫な方向けです。 ※他サイト先行にて配信してますが、他サイトと気が付かない程度に微妙に変えてます。 ※昭和〜平成の頭ら辺のアレコレ入ってます。わかる方だけアハ体験⭐︎ ⭐︎第16回ファンタジー小説大賞にて奨励賞受賞を頂きました!読んで投票して下さった読者様、並びに選考してくださったスタッフ様に御礼申し上げますm(_ _)m今後とも宜しくお願い致します。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

処理中です...