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case3小池幸子『お礼はかつお節踊るたこやきで』
第13話【アセスメント】ひざ丈、フレアのひだひだで!
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「ひどい! それってあまりにもひどい話じゃないですか! 小池さんのつらさを思うと言葉になりません!」
私の話を聞き終わった久能先生がぶんぶんと頭を左右に大きく振ってから、ふぅっとひとつ重い息を吐いた。
白猫さんはそんな彼の隣で静かに目をつむっている。
たこやきの器はすっかり空になっていた。
「アルハラだけでも許しがたいのに! 今回は罪が深すぎます! 犯罪です! 重犯罪です!」
「犯罪……ですか?」
「はい。アルコールハラスメントだけでなく、仕事をなくすぞというパワーハラスメント。さらに薬まで盛っている。これはもう言い逃れできないレベルの犯罪ですよ!」
「犯罪って。警察に捕まるってことですか? でも私、薬なんて飲まされた記憶がないんですけど……」
「いいえ、間違いありません! 男はあなたに水を飲ませました。その後、記憶がなくなっている。いくらアルコールに弱いからと言っても、突然意識を失うようなことにはなりません。飲まされた水の中に薬を入れていたと考えるのが妥当です。しかも今回が初犯ではないでしょう。周りの人間も承知の上だったに違いありません。それがまた腹ただしい!」
久能先生は説明し終ると、再び深いため息を吐いた。
隣に座る白猫さんがゆっくりとまぶたを上げる。
「同意」と言いたげに「ウナア」と低い声で鳴く。
「小池さん。申し訳ありませんが、白夜さんのほうを見てもらってもいいですか?」
「こちらの白猫さんを見ればいいんですか?」
「ええ。今から主人の言葉を伝えますので」
白猫さんに向けようとしていた視線を久能先生に戻す。
冗談を言っているとは思えない、とても真剣な顔だ。
はたして、おかしなことを言っている自覚はあるんだろうか?
飼い猫を主人と呼んでかわいがる猫好きは多い。
だけど、この人の場合はそれ以上だ。
さきほどからのやりとりにしても、まるで猫の言葉を理解しているような感じだ。
ううん。
猫の言葉という表現をすることで私の警戒心を取り除き、話を聞かせようという会話術の一種なのかもしれない。
人の悩みを聞く仕事をしているならば考えられなくもない……か。
「あの……私」
どうしたものだろう。
猫好きなのは間違いない。
だからきっと悪い人ではないと思う。
――でもなあ。
やっぱりちょっとおかしな人なのかもしれない。
人に言えないような悩みを打ち明けておいて今さらな気もするけれど、やはり怖さは残る。
この話をネタにして、課長のように脅迫されはしないかと。
実際、課長は歓迎会の後も私と関係を持とうとしてくる。
言うことを聞かないならば会社中に私の恥ずかしい写真をばらまくとも言われた。
あまりにもつらくて、どうしようもなくて。
会社の帰り道、通りすがったこの公園でひとり泣いてしまったのだけれど――
なかなか白猫さんのほうに顔を向けられない私を気遣ったのか。
久能先生が「そうですよね」と遠慮がちに言った。
「あなたは猫好きだからわかると思うんですが。白夜さんは悩める女子の味方……いえ、あなたの味方ですから! だから絶対に小池さんのこと、だましたり裏切ったりしません!」
そう言われてハッとした。
私は猫が大好きだ。
猫は傷ついた心を癒してくれる大切な存在。
小さな頃からずっと飼ってきた。
田舎から都会に引っ越してきて、ひとり暮らしとなってからは飼えなくなってしまったけど、今も月に一度は猫カフェに通っている。
「あの……なぜ、猫好きってわかったんですか?」
まじまじと久能先生を見つめる。すると彼は白猫さんのしっとりと艶やかな背中を優しく撫でて「だって」と笑った。
「白夜さんがそうおっしゃるんですから」
白猫さん、もとい白夜さんがまっすぐにこちらを見る。
見つめ返すと、白夜さんはふんっと鼻先を空へ向けたあと、横目で私をちらりと見てくるところは、さすが猫!
素直じゃないところがかわいくて、プッと吹き出してしまった。
コホンッと久能先生が小さく咳払いする。
「では、あらためまして。小池幸子、おまえの敵は俺様がバッキバキのボッコボコにしてやる。相手の出方によっては再起不能にだってしてやる――だそうです。って、白夜さん? 相手の出方次第で再起不能はいささかまずいんじゃないですかね? そういう場合はちゃんと保険を用意してからじゃないと、私たちのほうが犯罪者になっちゃうんですよ?」
久能先生が白夜さんを呆れたように見つめた。
途端にパンッと破裂音が響いた。
白夜さんの長いしっぽがベンチを思いっきり叩いたのだ。
「あの……怒っていらっしゃるみたいなんですけど」
「ええ。この方、怒りん坊なんですよ。しっぽをムチみたいにして、すぐに人のことバシバシ殴るんですよ! パワハラもいいところです! 私が忍耐強いからいいものの、普通の人だったら絶対に訴訟案件ですよ、白夜さん!」
そう久能先生が告げた途端、パチンッとムチのようにしなったしっぽが彼の足をひっぱたたいた。
相当痛かったのだろう。
はたかれたほうの久能先生が「いたっ!」と大きな悲鳴を上げた。
「暴力反対! まったくもう、これだからなあ。で、続けろって? え? また条件? こんなにひどい目に遭っている人に条件なんて。人でなし! 根性悪! それでもいいから譲れないって……あなた、バカですか?」
と、言い放つ久能先生を白夜さんがギロリと睨みつけた。
二人のやりとりに自然に笑いが込み上げてくる。
すごく信頼関係ができている、いいパートナーなんだなと胸のあたりがじんわりと温かくなった。
「あの、わかりましたから。条件を伺います」
二人の間に割って入ると、白夜さんがこちらに視線を戻した。
それから「いいぞ」とゆっくりとまばたきをする。
猫がまばたきをしてくれるのは相手に対して心を許しているときだ。
それがすごくうれしかくて、私は白夜さんにまばたきを返した。
「本当に小池さんはお優しいなあ。すみません。では、ええっと。フレアのひだひだスカートがアゲアゲ、だそうです」
「フレアのひだひだ?」
「おそらく、こういうタイプではないかと」
久能先生が懐から取り出したスマホで画像を見せる。
白いフレアのプリーツスカートに「なるほど」とうなずいた。
「たしかにひだひだですね。長さは……ロングなんですか?」
「えっと……膝丈がマストだそうです」
「膝丈ですね。色はなんでもいいんですか?」
「色はホワイトもしくはアクアブルー以外は却下って……完全に白夜さんの趣味じゃないですか? いつぞやもホワイトとブルーはマストバイって……」
そう続けた久能先生がまた苦悶の表情を浮かべた。
今度はしっぽではなく、猫パンチを食らったのだ。
しかも爪が出ていたらしい。
「わかりました。明日、明後日は土日で会社もお休みだから。買ってきますね」
「本当に申し訳ありません。うちの主人ってば、本当にわがままなんで」
「いえ。きっと買い物も気分転換になると思いますから」
そう言って笑い返す私に、久能先生は「実はもうひとつ」と指先でコリコリとあごを掻いた。
「ツヤツヤ、テカテカのピンヒールも履け……だそうです」
遠慮がちに久能先生は小声で私の靴を指さしながら付け足した。
私の話を聞き終わった久能先生がぶんぶんと頭を左右に大きく振ってから、ふぅっとひとつ重い息を吐いた。
白猫さんはそんな彼の隣で静かに目をつむっている。
たこやきの器はすっかり空になっていた。
「アルハラだけでも許しがたいのに! 今回は罪が深すぎます! 犯罪です! 重犯罪です!」
「犯罪……ですか?」
「はい。アルコールハラスメントだけでなく、仕事をなくすぞというパワーハラスメント。さらに薬まで盛っている。これはもう言い逃れできないレベルの犯罪ですよ!」
「犯罪って。警察に捕まるってことですか? でも私、薬なんて飲まされた記憶がないんですけど……」
「いいえ、間違いありません! 男はあなたに水を飲ませました。その後、記憶がなくなっている。いくらアルコールに弱いからと言っても、突然意識を失うようなことにはなりません。飲まされた水の中に薬を入れていたと考えるのが妥当です。しかも今回が初犯ではないでしょう。周りの人間も承知の上だったに違いありません。それがまた腹ただしい!」
久能先生は説明し終ると、再び深いため息を吐いた。
隣に座る白猫さんがゆっくりとまぶたを上げる。
「同意」と言いたげに「ウナア」と低い声で鳴く。
「小池さん。申し訳ありませんが、白夜さんのほうを見てもらってもいいですか?」
「こちらの白猫さんを見ればいいんですか?」
「ええ。今から主人の言葉を伝えますので」
白猫さんに向けようとしていた視線を久能先生に戻す。
冗談を言っているとは思えない、とても真剣な顔だ。
はたして、おかしなことを言っている自覚はあるんだろうか?
飼い猫を主人と呼んでかわいがる猫好きは多い。
だけど、この人の場合はそれ以上だ。
さきほどからのやりとりにしても、まるで猫の言葉を理解しているような感じだ。
ううん。
猫の言葉という表現をすることで私の警戒心を取り除き、話を聞かせようという会話術の一種なのかもしれない。
人の悩みを聞く仕事をしているならば考えられなくもない……か。
「あの……私」
どうしたものだろう。
猫好きなのは間違いない。
だからきっと悪い人ではないと思う。
――でもなあ。
やっぱりちょっとおかしな人なのかもしれない。
人に言えないような悩みを打ち明けておいて今さらな気もするけれど、やはり怖さは残る。
この話をネタにして、課長のように脅迫されはしないかと。
実際、課長は歓迎会の後も私と関係を持とうとしてくる。
言うことを聞かないならば会社中に私の恥ずかしい写真をばらまくとも言われた。
あまりにもつらくて、どうしようもなくて。
会社の帰り道、通りすがったこの公園でひとり泣いてしまったのだけれど――
なかなか白猫さんのほうに顔を向けられない私を気遣ったのか。
久能先生が「そうですよね」と遠慮がちに言った。
「あなたは猫好きだからわかると思うんですが。白夜さんは悩める女子の味方……いえ、あなたの味方ですから! だから絶対に小池さんのこと、だましたり裏切ったりしません!」
そう言われてハッとした。
私は猫が大好きだ。
猫は傷ついた心を癒してくれる大切な存在。
小さな頃からずっと飼ってきた。
田舎から都会に引っ越してきて、ひとり暮らしとなってからは飼えなくなってしまったけど、今も月に一度は猫カフェに通っている。
「あの……なぜ、猫好きってわかったんですか?」
まじまじと久能先生を見つめる。すると彼は白猫さんのしっとりと艶やかな背中を優しく撫でて「だって」と笑った。
「白夜さんがそうおっしゃるんですから」
白猫さん、もとい白夜さんがまっすぐにこちらを見る。
見つめ返すと、白夜さんはふんっと鼻先を空へ向けたあと、横目で私をちらりと見てくるところは、さすが猫!
素直じゃないところがかわいくて、プッと吹き出してしまった。
コホンッと久能先生が小さく咳払いする。
「では、あらためまして。小池幸子、おまえの敵は俺様がバッキバキのボッコボコにしてやる。相手の出方によっては再起不能にだってしてやる――だそうです。って、白夜さん? 相手の出方次第で再起不能はいささかまずいんじゃないですかね? そういう場合はちゃんと保険を用意してからじゃないと、私たちのほうが犯罪者になっちゃうんですよ?」
久能先生が白夜さんを呆れたように見つめた。
途端にパンッと破裂音が響いた。
白夜さんの長いしっぽがベンチを思いっきり叩いたのだ。
「あの……怒っていらっしゃるみたいなんですけど」
「ええ。この方、怒りん坊なんですよ。しっぽをムチみたいにして、すぐに人のことバシバシ殴るんですよ! パワハラもいいところです! 私が忍耐強いからいいものの、普通の人だったら絶対に訴訟案件ですよ、白夜さん!」
そう久能先生が告げた途端、パチンッとムチのようにしなったしっぽが彼の足をひっぱたたいた。
相当痛かったのだろう。
はたかれたほうの久能先生が「いたっ!」と大きな悲鳴を上げた。
「暴力反対! まったくもう、これだからなあ。で、続けろって? え? また条件? こんなにひどい目に遭っている人に条件なんて。人でなし! 根性悪! それでもいいから譲れないって……あなた、バカですか?」
と、言い放つ久能先生を白夜さんがギロリと睨みつけた。
二人のやりとりに自然に笑いが込み上げてくる。
すごく信頼関係ができている、いいパートナーなんだなと胸のあたりがじんわりと温かくなった。
「あの、わかりましたから。条件を伺います」
二人の間に割って入ると、白夜さんがこちらに視線を戻した。
それから「いいぞ」とゆっくりとまばたきをする。
猫がまばたきをしてくれるのは相手に対して心を許しているときだ。
それがすごくうれしかくて、私は白夜さんにまばたきを返した。
「本当に小池さんはお優しいなあ。すみません。では、ええっと。フレアのひだひだスカートがアゲアゲ、だそうです」
「フレアのひだひだ?」
「おそらく、こういうタイプではないかと」
久能先生が懐から取り出したスマホで画像を見せる。
白いフレアのプリーツスカートに「なるほど」とうなずいた。
「たしかにひだひだですね。長さは……ロングなんですか?」
「えっと……膝丈がマストだそうです」
「膝丈ですね。色はなんでもいいんですか?」
「色はホワイトもしくはアクアブルー以外は却下って……完全に白夜さんの趣味じゃないですか? いつぞやもホワイトとブルーはマストバイって……」
そう続けた久能先生がまた苦悶の表情を浮かべた。
今度はしっぽではなく、猫パンチを食らったのだ。
しかも爪が出ていたらしい。
「わかりました。明日、明後日は土日で会社もお休みだから。買ってきますね」
「本当に申し訳ありません。うちの主人ってば、本当にわがままなんで」
「いえ。きっと買い物も気分転換になると思いますから」
そう言って笑い返す私に、久能先生は「実はもうひとつ」と指先でコリコリとあごを掻いた。
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