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piece7 青春の共犯者

ホントの友だち

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「……これも、バラしてくか」
そう独りごちると、剛士はフォトブックを開き、ビリビリとページを引き裂き始めた。

ページ数はそれほど多くはないが、普通の紙よりも厚い光沢紙が使われたもの。
それを思い切りよく破る剛士に、彩奈が感心して笑った。
「さすが、力強いですねえ。その紙、結構丈夫でしょ?」
「そうだな。ちょっと、手痛い」
「あっはは、がんばれー!」

そう言いながらも、彩奈は彼の隣にしゃがみ込むと、フォトブックの端を持った。
「はい、シバさんは反対から引っ張って?」
そうして、2人でタイミングを合わせて力を加えると、ピリピリと軽快に切り離していくことができる。

「……おお、楽」
剛士が、ホッとして呟いた。
「ありがとな、彩奈」
「どういたしまして!」


少しずつ、フォトブックのページを分断していきながら、彩奈が躊躇いがちに声を掛ける。
「……シバさん」
「……ん?」

あえて、視線は手元に置いたまま、剛士は、優しい声で続きを促す。
その穏やかな空気感に緊張が解けたのか、彩奈はゆっくりと話し始めた。

「……私さ。今までシバさんのこと、友だちというよりは『悠里の好きな人』って。心のどこかで、一線を引いて接してたと思う」
「……うん」
剛士は、彩奈の言葉を妨げないように、優しく相槌だけを返す。

フォトブックを破る作業に目を落としたまま、彩奈は続けた。
「だからさっき、シバさんが私のこと、大事な友だちだって言ってくれて……すごい嬉しかった」
「……うん」
「……ありがとう」
「ん」

少し緊張しながらも、素直に気持ちを伝えてくれた彩奈に、剛士は静かに微笑んでみせた。
その笑顔につられて、彩奈の口元も柔らかく緩む。
「さっきは、ケンカになっちゃったけど……でもあれで私、シバさんとホントの友だちになれた気もする」

「……ん、俺も」
剛士が、ふっと笑い、クシャクシャと彩奈の頭を撫でた。
「あっはは! 友だちだと、頭クシャクシャするんですか?」
「いや、何となく」
剛士も、ホッとしたのだろう。
気の抜けたような、柔らかな笑い声を上げた。

そんな2人を見守りながら、悠里と拓真も微笑む。
「……雨降って、地固まるって感じ?」
「……うん!」
楽しげに揺れる剛士と彩奈の背を見ていると、悠里の気持ちも自然と安らいでいった。


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