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piece2 剛士の決意
好きになっちゃった?
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教室に入ると、待ってましたと言わんばかりの拓真に捕まった。
「なあゴウ! お前、彼女できたの?」
「はぁ? なんでだよ」
「クラスの連中が、お前と女の子が一緒に歩いてるところを見たって、騒いでるぞ」
剛士の肩に腕を回し、拓真が言った。
「ああ、」
合点がいったように、剛士は応える。
「それ、悠里だよ」
「なーんだ、悠里ちゃんかあ……って、なおさらびっくりするわ!」
拓真は目を丸くした。
「なんで悠里ちゃんと登校する事態になってんだよ?」
「別に。成り行きだよ」
「どんな成り行きだっつーの!」
剛士は簡潔に、昨夜のいきさつを説明した。
拓真は驚きに目を丸くし、顔をしかめる。
「うわあ。きっついなあ……ガチなストーカーじゃん」
「とにかく、悠里を独りで行動させるわけにはいかないからな」
「……ふうん」
拓真が、悪戯っぽく微笑む。
「ゴウ、こないだは、関わりたくないって言ってたくせに?」
「……うっせ」
剛士は不機嫌に眉をひそめる。
「ほっとけないだろ」
「悠里ちゃんのこと、好きになっちゃったの?」
「そんなんじゃねえよ」
低い声で呟いて、剛士は目を伏せる。
「……あいつ、人に心配かけたくないって、そんなことばかり言っててさ」
思い出すのは、恐怖をひた隠しにして、微笑む彼女。
大きな目を揺らめかせながら、無理に口角を上げて、唇を噛むようにして笑顔を作っていた。
悠里が見せた偽りの微笑みは、あまりにも痛々しく、剛士の胸を締め付けた。
「人に頼るのが苦手で、1人で抱え込もうとする。本当は、大丈夫じゃないくせに……」
自宅に送り、帰ろうとした自分に、縋るように触れてきた彼女。
自分の前で、ぼろぼろ泣いた彼女。
頼ってくれた。
本音を見せてくれた。
何とかして、彼女の涙を止めてあげたい。守ってあげたい。
半ば独り言のように、剛士は呟いた。
「……ほっとけねえよ」
「その気持ちを、『好き』って言うんじゃないの?」
「だから、そんなんじゃねえって!」
「はいはい」
拓真が微笑んだ。
「そういうことにしときますか」
「なあゴウ! お前、彼女できたの?」
「はぁ? なんでだよ」
「クラスの連中が、お前と女の子が一緒に歩いてるところを見たって、騒いでるぞ」
剛士の肩に腕を回し、拓真が言った。
「ああ、」
合点がいったように、剛士は応える。
「それ、悠里だよ」
「なーんだ、悠里ちゃんかあ……って、なおさらびっくりするわ!」
拓真は目を丸くした。
「なんで悠里ちゃんと登校する事態になってんだよ?」
「別に。成り行きだよ」
「どんな成り行きだっつーの!」
剛士は簡潔に、昨夜のいきさつを説明した。
拓真は驚きに目を丸くし、顔をしかめる。
「うわあ。きっついなあ……ガチなストーカーじゃん」
「とにかく、悠里を独りで行動させるわけにはいかないからな」
「……ふうん」
拓真が、悪戯っぽく微笑む。
「ゴウ、こないだは、関わりたくないって言ってたくせに?」
「……うっせ」
剛士は不機嫌に眉をひそめる。
「ほっとけないだろ」
「悠里ちゃんのこと、好きになっちゃったの?」
「そんなんじゃねえよ」
低い声で呟いて、剛士は目を伏せる。
「……あいつ、人に心配かけたくないって、そんなことばかり言っててさ」
思い出すのは、恐怖をひた隠しにして、微笑む彼女。
大きな目を揺らめかせながら、無理に口角を上げて、唇を噛むようにして笑顔を作っていた。
悠里が見せた偽りの微笑みは、あまりにも痛々しく、剛士の胸を締め付けた。
「人に頼るのが苦手で、1人で抱え込もうとする。本当は、大丈夫じゃないくせに……」
自宅に送り、帰ろうとした自分に、縋るように触れてきた彼女。
自分の前で、ぼろぼろ泣いた彼女。
頼ってくれた。
本音を見せてくれた。
何とかして、彼女の涙を止めてあげたい。守ってあげたい。
半ば独り言のように、剛士は呟いた。
「……ほっとけねえよ」
「その気持ちを、『好き』って言うんじゃないの?」
「だから、そんなんじゃねえって!」
「はいはい」
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「そういうことにしときますか」
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