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3巻試し読み

3-2

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邪悪なる支配者に従う地下帝国の騎士――、彼らは主が望むのならば、弱者も強者も関係なくぎ払うだろう。
それは別に、彼らだけが特別なわけではない。
この地下迷宮において、アルアークとハルヴァーに奉仕することは当たり前なのである。

* * *

「ギィース。シア様、何しているんだ?」
小悪魔のギーは翼をパタパタと動かしながら、実験室で薬品の調合をしている少女に問いかけた。翼の生えた不細工な猫のような姿をしているが、彼の正体は至高階級悪魔アーク・デーモンである。シアはこのギーと魂レベルで融合を果たしており、ギーが悪魔として有する数々の権能を自在に操ることが可能だった。
シアと呼ばれた少女は、どんよりとした金色の瞳に深い闇を宿したまま、使い魔に答える。
「新薬の開発」
「薬? 誰か、病気にでもなったのか?」
「正確には、薬と毒」
シアは口元に笑みを浮かべ、机の上に置かれたジャガイモに液体を垂らす。
すると即座に、ジャガイモに黒いイボのようなものが生じた。
続けて、麦に液体を垂らすと、黒い爪にも似たものが現れる。
「ギー、知っている? 貴族達の収入、そのほとんどは農民達が納める作物で成り立っている」
国家権力は常に民に税をかける。国を運営するために必要だとされているが、実際は権力者は私腹を肥やしていることが多い。
都市から離れた農村部の民はほとんど金銭を所持していない。よって、麦やジャガイモ、カボチャ、トウモロコシ、キャベツ、ニンジン、トマト、リンゴ、ブドウなどの農産物を税金の代わりにするのだ。
貴族は税として受け取った作物を商人との取引で金銭に交換したり、軍人の糧食りょうしょくとする。当然、量が多ければ多いほど実入りがよいので、貴族達は農民の限界ギリギリまで取り立てる。
「アルアーク様とハルヴァー様は、彼らの不平不満をあおるつもりよ」
シアは別の薬をジャガイモに振りかけた。
すると、黒いイボはかさぶたのようになってポロリと落ちる。
さらに麦にかければ、黒い爪がポキリと折れてしまう。
「シア様、ひょっとして、その薬は……」
小悪魔が答える前に、少女は言った。
「作物を毒物に変える薬よ」
「ギィース!」
小悪魔は驚いたように尻尾をビーンと伸ばすと、楽しむような声を出す。
そんな使い魔に、シアは「うるさい」と言って、新薬をサッとふりかけた。
「ギャァース!!」
毒がかかったと思ったギーは悲鳴を上げ、目を回して床に落ちる。
本来は大悪魔だが、今は小悪魔である。
そのため、毒物への耐性は人間と同じくらい低くなっている。
ところが、ギーの体が変化するきざしはない。
「あ、あれ?」
体を起こして、手を握りしめる小悪魔にシアは淡々と語る。
「聖神……、いや、を盲目的に信じていない者には、ただの水よ」
聖神教会の司祭が使う奇跡の中には、「不死者退散ターン・アンデッド」や「悪魔払いエクソシズム」など、不死者や悪魔にしか効果のない技がある。
シアが今作っている薬は、その奇跡を真似てさらに発展させたものである。
人間、それも限られた者達のみに発動する呪いの薬であり、それと同時に作物の収穫量を何倍にも増やすことができる奇跡の妙薬だった。
「聖神教と生活。人はどちらを取ると思う?」
「ギィース、難しい問題だぜ~。聖神教への信仰は、生まれた時から叩き込まれてやがるからなぁ~。生まれたばかりのひなが、親鳥を盲目的に追いかけているようなものだぜ」
小悪魔の説明に、少女は的確な言葉で返す。
刷り込みインプリンティング
「そうそう、それだよ! シア様だって、アルアーク様とハルヴァー様を裏切るくらいだったら、飢え死にを選ぶだろ?」
「もちろん」
少女は迷わず答えた。
「だったら、無駄なようにも思うんだけどなぁ~」
小悪魔は嘆息たんそくする。
しかし、シアは首を横に振って否定した。
「自ら選択して従っている私達と、従わされている彼らとじゃ……、覚悟が違う」
薬を扱う手を休めず、シアはどんよりとした目を光らせる。
「彼らは絶対に飢えには勝てない。飢えて死ぬくらいなら、聖神教を捨てる」
断言する少女に対して、小悪魔は首をかしげた。
「そう上手くいくものかね?」
「もちろん、下準備は必要。それと、聖神教を捨てた後の受け皿も必要」
「受け皿?」
「別の信仰」
聖神教に代わる心の支えを与えてやるのである。
シアのように、アルアークとハルヴァーを新たな神として崇拝すうはいさせればよい。
信仰に破れた者は、新たな信仰を得ることで精神を保とうとするものだ。これはすでに、バケツ兜の騎士ソフィで実験済みである。
ソフィの聖王国への忠誠を根こそぎ奪ったら、アルアークとハルヴァーを崇拝するようになった。
シアはこれと同じようなことを地上で実行しようと企んでいる。地下帝国の洗脳設備は使えないが、その代わりに堕落した聖神教の司祭デリトとちた勇者カイルがいる。彼らの助力を得れば、意志の弱い農民達を仲間に引き入れるのは不可能ではない。
「妖魔だけではなく、人間も取り込む。アルアーク様とハルヴァー様の祖国を滅ぼした国々の民を奪い取る」
「なるほど……、けど、そいつらをどうするんだ?」
「当然、戦わせる」
アルアークと同じように、シアは冷たい声で言った。
「血の代価を払ってこそ、地下帝国の民として認められる。死んだとしても、その魂はアルアーク様とハルヴァー様への供物くもつとなる」
楽しそうに語る少女の言葉に、小悪魔はゾクリと背筋を震わせる。
小悪魔が感じたのは、恐怖ではなく歓喜である。
敵対者を人とは思わない言葉。
闘争を楽しむような瞳の輝き。
一片の曇りもない真っ黒な忠誠心。
悪魔を魅了してやまない邪悪な輝きに、ギーは喜びを抑えながら、少女に問う。
「けど、農民どもは戦えないんじゃねェか?」
「戦えるわ。私達が戦うための武器をあげるから」
――魔法帝国の遺産。
普通の武器の扱いが苦手であった魔法使い達は、その欠点を補うために特別な魔法の武器を生み出した。ひとりでに戦う剣や槍、自動で身を守る盾、思うだけで好きなように動く全身鎧などである。魔法帝国が存在した時は付与魔術師エンチャンター錬金術師アルケミストが少しばかり保持していた魔法の道具であったが、今現在、地下工房で量産を開始している。
「そんなもの渡して、こっちに刃を向けてきたらどうするんだ?」
小悪魔の懸念に、シアはくすりと笑う。
「安全装置くらいつけている」
生み出された武具すべてには、ある種の呪いが仕込まれている。
もしも地下帝国に刃を向けるなら、彼らは自分で自分の首をめることになるだろう。
「すべては、アルアーク様とハルヴァー様のお考えよ。あの方々は王族だけど、農民達の残酷さも良く知っている」
農民は弱者だが、決して心優しい存在ではない。
弱いからこそ、むしろ自分より弱い者には残酷になるのだ。
「優しさは、強くなることでしか手に入れることはできない」
シアはそう断言する。
何故なら、弱かった両親は自分を捨て、山賊はシアに暴行をはたらくことで自分の弱さを隠していた。シアはそう考えている。
そして、誰よりも強いアルアークとハルヴァーの、夜の闇のように深い優しさに触れた瞬間、「強さこそ優しさの源泉である」と悟ったのである。
「ギィース、ならシア様も優しいってことだな! 優しい御主人様は献身的な使い魔である俺に、お菓子の一つもくれて良いと思うぜ!」
「優しいけど、甘くはない」
シアは使い魔をたしなめる。
「アルアーク様とハルヴァー様、喜んでくれるかな?」
薬を調合しながら、少女は呟いた。
シアの望みは純粋である。
恩人である地下迷宮の支配者達の役に立ちたい。そのためなら、残酷なことに手を染めるのもいとわない。その思いは一般的な倫理観からはかけはなれたものだ。傷を癒す時に使われた秘術が闇に近いものだったからか、あるいは今まで人から与えられた悪意がシアの心をけがしてしまったのかもしれない。
ただ、一つ言えるのは、今のシアにとっての幸せとは主人の役に立つということなのである。
「ギィース! そういえば、シア様の『優しさ』で助けた奴隷どれいどもは?」
使い魔のギーは、思い出したように問いかけた。
ベティア帝国との戦いにて、シアはギーとの融合によって得た権能を使い、多くの少女を助けている。命を助けただけでなく、地下迷宮の支配者達に頼み、悪魔の力を与えていた。自分と同じような地獄を見た少女達に、同情したのかもしれない。
「あの少女達はもう奴隷じゃない。今は私と同じ、地下帝国の兵士」
どんよりとした瞳を輝かせながら、シアは嬉しそうに語る。
「アルアーク様とハルヴァー様は、私達を中心とした悪魔軍の設立を考えていらっしゃる。……プルックさんが率いる妖魔軍に加えて、テェルキスさん達が率いる不死軍が誕生しているから、そこに新たに悪魔軍が創設されたなら……、地下帝国には三つ目の軍団レギオンが誕生することになる」
「ギィース! だけど、少し前まで戦いも知らない奴隷だったんだぜ? オレ様みたいな超上級の悪魔がいているならともかく、中級クラスの悪魔と一体化した程度じゃ、戦力になるかは怪しいぜ!」
ギーの懸念はもっともだ。
悪魔は単体で小隊に匹敵する実力を持っているが、それを操るのはいずれも年若い少女達なのである。
だから、ギーは、彼女達を戦力と考えていいのかと問いかけている。
しかしシアは、机の上に置かれた水晶玉を眺めつつ、こう言った。
「ギー、これを見て」
シアは水晶玉に秘められた魔力を解放する。
映し出されたのは、悪魔の力を宿した少女達と、地下迷宮を訪れた冒険者達が戦っている映像である。
戦いを見つめるシアの瞳の色は、どんな光も届かない川底の汚泥おでいに埋もれた黄金のようである。
それは、闇の中で輝く光。
邪悪な者達が崇拝する、邪悪な希望の光であった。
主人の視線の先にある光景に興味をかれて、ギーも水晶玉を覗き込んだ。

* * *

地下迷宮の第二階層――地下迷路とも言われる複雑に入り組んだ通路の一角。
ロナン王国に属する冒険者チーム「真実の探求団」は、そこでミノタウロスに遭遇そうぐうした。
ミノタウロスは、人間の体に雄牛の頭を持つ妖魔である、背が高く筋骨隆々きんこつりゅうりゅうとした全身は茶色の毛皮に覆われている。
斧を好んで使う生粋きっすいの戦闘種族であり、縄張り意識が強い。
一対一では並の人間が勝てる相手ではないが、集団で当たれば倒せない敵ではない。
冒険者チームは、敵に気付かれる前に先制攻撃を仕掛けた。
まずは、魔法使いが呪文を唱える。
「――攻撃アタック炎の波ジュフレイ
床と壁を舐めつくす火焔かえんが現れ、巨大な妖魔にまとわりついた。
突然の奇襲に混乱するミノタウロスに、冒険者達は一斉に襲い掛かる。
「化け物め、死ね!」
「聖神の為に!」
「このいやしい生き物が!」
冒険者チームの戦士達は口々にののしり、ミノタウロスに剣を振るう。
ミノタウロスは斧を振り回して反撃するが、多勢に無勢。
冒険者達の猛攻もうこうに、ミノタウロスは力尽きてしまう。
「ブモオォオオオオーーー!!!!!」
牛のような鳴き声を上げて、ミノタウロスは地面に倒れた。
冒険者達はそれでも攻撃をやめない。
何度も何度も、繰り返し剣を突き立てる。
ミノタウロスの体がピクリとも動かなくなるまでズタズタに切り裂いた後、首を落としてその持ち物をあさった。
「お、銀貨を持っていやがったぜ! けど、なんだか不気味な銀貨だな?」
銀貨の真ん中に描かれた涙を流す目のデザインを見て、戦士の一人が呟く。
「どれどれ? ふむ、どうやら魔法帝国で使われていた銀貨のようですね」
物知りの魔法使いがそう教えた。
歳は一番若いが、彼が一番の知恵者である。
「あの邪悪な帝国か……」
聖神教に仕える中年の僧侶は苦々しく顔を歪めた。
「おお、別にお主のことを悪く言っているわけではないぞ」
僧侶は魔法使いの肩をポンと叩く。
親子ほど年が離れているが、彼らの立場は対等である。
冒険者チーム「真実の探求団」は七人。その内訳は、戦士が二人、神官戦士が一人、僧侶が一人、盗賊が二人、魔法使いが一人だった。
冒険者としての実力はそれなりで、地下第二階層を探索する程度の実力はある。
ちなみに、先ほど倒されたミノタウロスは新参者であった。
現在、ゴブリンやオーク、ミノタウロスを始め、ラミアやスキュラ、ライカンスロープ、トロール、オーガなど、聖神教会から邪悪とされ迫害されてきた妖魔達が、地下帝国の軍に加わりたいと各地から続々と集まってきているのだ。
兵士に志願する妖魔達が殺到したため、ハルヴァーは「冒険者を狩った者を正規軍に迎える」と条件を出した。
先のミノタウロスも、正規軍入りを目指して冒険者チームに挑んだのである。
しかし今回は、狩る者が逆に狩られてしまった構図だった。
「それにしても、この地下迷宮は瘴気しょうきが濃い。これは、依頼人の言っていた通り、何か邪悪なものが潜んでいるのやもしれぬな」
中年僧侶は忌々いまいましそうに眉をひそめた。
ほとんどの冒険者は、一攫千金いっかくせんきんを狙って自らの意思で地下迷宮を訪れている。
先に起きたベティア帝国軍と妖魔軍の戦いと、地下迷宮の存在を関連付けて考えている冒険者は皆無といっていい。
単純に、どこかに雲隠れしていた妖魔達が、ベティア帝国に戦いを挑んできた、というのが冒険者達の推測だった。地下迷宮の妖魔は、その一部と高をくくっている。
しかし、諸国の権力者達は、地下迷宮の噂を聞きつけ、不穏なものを感じたのだろう。
一部の者達は冒険者達を雇い、地下迷宮を偵察ていさつするように命じていた。「真実の探求団」は、ロナン王国の貴族に雇われて、地下迷宮の探索を命じられたのである。
これもすべて、アルアークとハルヴァーの狙い通りである。
権力者が一番恐れるのは、自らの地位を脅かす存在。
邪悪にして悪辣なる地下迷宮が持つ「悪なる種子」と呼ばれる力によって権力者達の不安と恐怖は増幅ぞうふくされる。その不安を取り除こうと、彼らは地下迷宮に人を送るのである。
「まあ全員、怪我がなくて何よりです。それにしても、この程度の妖魔達が、あのベティア帝国軍を打ち破ったとは信じられませんね」
チームリーダーである女の神官戦士が言った。
「今回は一体だけだから、上手く倒せたんだろ。見ろよ、この斧……、俺の力じゃ持てんな。想像してみろ、こんな馬鹿でかい斧を構えた奴らが群れで襲い掛かってきたら、ひとたまりもないぞ」
力自慢の戦士でも、ミノタウロスが持っていた大斧を振り回すことはできない。ミノタウロスに冒険者チームが勝てたのは、彼らが集団として巧みに機能したからである。
「なるほど、では気を引き締めて……、皆さん先に進んでもいいですか?」
女神官戦士がそう問いかける。
全員が頷くのを見て、彼らは地下迷宮の探索を進めようとした。
そこに、新たな脅威が立ちふさがった。
硬い金属が引きずられるような音が辺りに響き渡る。
「何か近づいてくるぞ!」
チームメンバーの一人である盗賊が警告の叫びを上げ、全員で即座に円陣を組んだ。
地下迷宮では、ありとあらゆる場面で警戒しなくてはならない。
足元から巨大な芋虫のような化け物ワームが突然現れることもあるし、天井から酸性のスライムが落ちてくることもある。
もちろん、化け物だけではない。
壁に仕掛けられた火炎を噴射する罠フレイム・ブラスターや、真正面から斜面を転がってくる大岩ローリングストーンなどのトラップも存在する。
チーム一同は警戒を強めたが、近づいてくる者達の姿を見ると、困惑に変わった。
現れたのは、三人の年端もいかぬ少女達だったからである。
全員、巨大な大剣を重そうに引きずっており、蒼白い色の騎士甲冑を身に着け、武器を携えていた。
年ごろは同じようだが、その髪色も、肌色も、瞳の色も、三人三様だった。
「何者だ!」
聖神教の聖印を掲げて、神官戦士は詰問きつもんする。
この地下迷宮にいるという時点で、迷子の可能性はありえない。
「私達は〝悪魔を宿した者マレブランケ〟」
「アルアーク様とハルヴァー様から祝福を受け、生を繋ぐために悪魔と交わった者」
「地下帝国の新たなる軍に参集した者」
純粋な子供のように瞳を輝かせて、少女達は自己紹介する。
女神官戦士は思わず、自分の武器である聖別されたメイスを握りしめた。
「悪魔と交わったと言ったな! それだけでも万死ばんしに値する罪悪! だが、まだ幼く道理のわからぬ子供のことだ。聖神の慈悲じひにすがり、悪魔と手を切ると誓うのならば、見逃してやる」
「甘いぞ! 悪魔と交わる者は徹底的に断罪するべきだ!」
中年の僧侶はそう叫ぶが、女神官戦士は口をつぐんでいる。
中年僧侶も女神官戦士も聖神に仕える身であるが、考え方は人それぞれだ。
邪悪にして悪辣なる地下迷宮にも、聖神に仕える司祭が僅かながらいる。アルアークとハルヴァーは聖神をあがめる聖王国と聖神教会に敵対しているが、聖神を信仰しているというだけの理由で民を罰することはない。
地下迷宮の支配者達が敵意を向けるのは、祖国を滅ぼした人間達であり、それを主導した聖王国や聖神教会の指導者達である。
そのため、シアが作っている妙薬の効果範囲は聖神教会に深く関わる者のみになっている。これは聖神教会とは無関係に、聖神を信仰している者達を殺さぬするようにするための措置である。
狙うのは、あくまでも聖神の教えを私物化している聖神教会と教会に心酔する盲目的な信徒のみ。
「断ったら?」
「聖神に代わり、天罰を与える」
少女の問いかけに、きっぱりと言い切る女神官戦士。後ろに控える仲間達も同意するかのように武器を構える。
女神官戦士はロナン王国に属する冒険者であるが、同時に聖神教会の信徒でもある。
聖王国に隣接するロナン王国には、こうした信徒が多い。
冒険者チームは敵意をあらわにしたが、〝悪魔を宿した者マレブランケ〟と名乗る少女らは涼しい顔で見返している。
「私達が生きるには、世界は綺麗すぎる」
「だから穢そう」
「私達が生きられる世界に変えてしまおう」
少女らのそんな言葉にごうを煮やしたのか、女神官戦士は魔法使いに攻撃の指示を出した。
「――攻撃アタック炎の槍ヴェフレイ
魔法使いが呪文を唱えると、燃えさかる炎の槍が少女達に向かって一直線に突き進む。
が、先程まで大剣を重そうに引きずっていたのは演技だったのか、先頭の少女は軽々と大剣を一振りして、炎の槍を断ち切ってしまう。
冒険者チームはさすがに驚きを隠せないものの、すぐさま迎撃の構えをとる。
対して、少女達は重々しい甲冑などまるで重さがないように身をすべらせながら、床や壁を蹴って、冒険者達に殺到する。轟音と共に大剣が振るわれ、前衛を務めるリーダーの女神官戦士と、二人の戦士が、木の葉のように吹き飛ばされた。そのまま壁に叩き付けられて動かなくなる。
ミノタウロスとも互角に戦った神官と戦士が赤子の手を捻るように蹴散らされるのを見て、残された者達は呆然とその場に立ち尽くした。しかしただ一人、奇跡を行使するために集中していた中年僧侶だけは、手を止めることなく己の責務を果たす。
「――守護ディフェンド聖なる守りフェイネーツ
うっすらと白い光が全員の体を包み込む。
だがその光が、強靭な戦士達を一撃で吹き飛ばした少女らに、どれほどの防御力を発揮するかは不明である。
「選択」
少女の一人が呟いた。
「負けを覚悟で、このまま戦う」
「敗北を認めて投降とうこうする」
「仲間を見捨てて逃げる」
歌うように少女達が問いかける。
単純に、この危機的状況で敵がどのような判断を下すのか知りたいらしい。先程のミノタウロスと同じ目にわされるかもしれないと感じ、冒険者達は戦慄せんりつする。
四人のうち、盗賊の女と魔法使いの二人は慌てて逃げ出した。
もう一人の盗賊は、降参とばかりに武器を捨てる。
しかし、最後の一人である中年僧侶は、腰のベルトにぶら下げたメイスを手にもって、果敢かかんにも少女達の前に立ちはだかった。
「悪魔に魅入みいられし者よ! 我が信仰を見るがいい。たとえここで命が果てるとしても、我は邪悪なる存在に徹底的にあらがうぞ!」
僧侶はあくまで自分の信仰にじゅんじるつもりらしい。
対して、盗賊の男はおびえた声で命いをする。
「おいおい、死ぬなら一人で死んでくれ。どう考えても勝ち目はねェだろ。俺は降参する。何でもするから、命だけは助けてくれ」
それぞれの答えを聞き、少女三人は再び歌うように語る。
「覚悟を決めし者にはすみやかなる死を……」
「膝を折る者には慈悲を……」
「同胞を見捨てる者には、我らが主の審判しんぱんを……」
その言葉に応えるかのように、中年の僧侶は抜いたメイスを高々と掲げ奇跡を行使した。
「――攻撃アタック信仰こそ我が刃ブレイグリウス
すると、邪悪を滅する光刃こうじんが出現し凄まじい速度で回転しながら、少女達に襲い掛かる。
壁といわず床といわず、天井まで切り裂きながら迫り来る刃に対して、悪魔をその身に宿した少女達は、持てる力を解放した。
「――融合フュージョン深淵に誘う誘惑者アリキーノ
「――融合フュージョン正義を踏みにじる者カルカブリーナ
「――融合フュージョン嘆きの声を集める者グラッフィアカーネ
彼女達の体から、その鎧と同じような不気味な蒼い炎が吹き上がる。
同時に、僅かながらその姿かたちが変化した。
剣を携えていない左手は人ならざる凶悪な獣の手のように変形し、頭部には山羊やぎつののようなものが生えた。
「悪魔め!」
僧侶は叫び声を上げて聖なる刃を操り、悪魔と化した少女達の命を奪おうとする。
しかし、燃え盛る蒼い炎に刃が触れた瞬間、光の刀剣は一瞬で消滅してしまう。
「なっ!」
必殺の一撃を無力化されて、さすがの僧侶も隙を見せた。
「聖神に仕えるアナタ達は……」
「私達を救ってくれなかった……」
「私達を助けてくれたのは、シア様と地下帝国をべるお方……」
「「「だから、私達はあの方々の恩にむくいる」」」
少女三人はそうなげくように叫びつつ、大剣を振るう。
僧侶は三方向から切り裂かれて絶命した。
「す、すげぇ……」
降参した盗賊は戦わなくて良かったと安堵あんどしたが、少女達の投げる冷たい視線を感じて、慌てて命乞いに努めた。
「お、オレはアンタらがどんな奴でも気にしねぇ。悪魔だろうと、不死者だろうと、命を助けてくれるなら従うし、舐めろと言うなら靴の裏だって舐める」
プライドの欠片かけらもない台詞だが、盗賊である彼には元よりそんなものはない。
彼は人よりも少々手先が器用なだけの、もとは喰うに困って小さな盗みを働く程度の小悪党であった。そこを役人に捕まって、恩赦の代わりに「真実の探求団」に加わる裏取引をしただけである。
大事なのは生きること。
あとは、僅かな金と、腹がふくれる程度の食事があれば満足なのだ。
少女達は蒼い炎を収めて言った。
「約束は守る。殺さない」
「靴の裏も舐めなくていい、気持ち悪い」
「代わりに手伝って」
何を手伝うかといえば、少女達が最初に倒した女神官戦士と二人の戦士を運ぶのだという。驚いたことに、死んだと思った彼らはまだ生きていた。
盗賊は慌てて、一番軽そうな女の神官戦士を肩に担ぐと、「これからどうするんだ?」と、恐る恐る尋ねた。
少女達はあっさりと答える。
「地下迷宮の第四階層、迷宮都市」
「人と魔が交わる場所」
「貴方にはそこで、しばらく働いてもらう」
盗賊は、こうなったらもう断ることはできないと諦めつつも、逃げた二人はどうなっただろうと頭を巡らせた。そして、彼らがどう頑張っても逃げ切ることはできないだろうという結論に達する。自分の選択はやはり間違っていなかったと、無理矢理自らを納得させて、少女らの後に従った。

一方その頃、仲間を見捨てて逃げ出した二人の女盗賊と魔法使いはというと――。
彼らは地下迷宮の出口を目指して一目散に駆けていた。
地下迷宮を徘徊はいかいする妖魔が持っていた銀貨に、悪魔の力を宿した少女達の口上。
十分とは言えないが、雇い主であるロナン王国の貴族に情報提供できる。
少なくとも彼らに力を与えている者が存在するのは間違いない。
「一刻も早く伝えなきゃ」
女盗賊はそう呟いて、後ろをついてくる魔法使いを叱咤する。
「急ぎなさい! さっき起きたことを、上手く報告すれば、私は貴族の従者じゅうしゃになれるし、アンタは相談役の一人になれるわ」
彼女達は貧民街スラム出身の幼馴染だった。
ロナン王国は貧富の差が激しく、貧しい者達が住む貧民街は地下迷宮と同じように、いや、ある意味では地下迷宮以上に危険な場所である。彼女は身軽さを武器に、弟分である彼は知識を武器にこれまで共に生き抜いてきた。
「彼らをおいてきてしまって良かったんでしょうか?」
「アンタの魔法が通用しなかったし、戦士を一撃で倒す化け物よ。勝てるわけないし、降伏したって、助かる保証なんてないじゃない」
「それは……、そうだけど……」
魔法使いは後ろを振り返る。
リーダーの女神官戦士は貧民街出身の自分達に対しても、分けへだてなく接してくれた。
二人の戦士達は、頼りになる兄貴分で一番年下の自分を色々気にかけてくれた。
盗賊はコソ泥ではあったが、まとまった金を手に入れたらまっとうな仕事をすると言っていた。
中年僧侶は聖神教に対する思いが強すぎるが、自分が聖神教を信仰していると言ったら熱心に神の教えを説いて、同志ブラザーと呼んでくれた。
彼らを見捨てて、地下迷宮を去ることに罪悪感を覚えてしまう。
「私とアンタは生き残る。何があっても!」
女盗賊は強い口調で言う。
貧民街時代から、彼女は姉貴分で頼りないところのある自分を助けてくれた。
彼女がいなければ、自分は生きてこられなかっただろう。
「……わかった」
魔法使いは後ろ髪を引かれながらも、女盗賊の言葉に頷く。
それに今さら戻っても、助けにはなれない。
「さあ、こっちよ」
魔法使いは女盗賊の後に続いた。
彼女は帰る時のためにつけていた目印を頼りに進んでいくが、途中で大部屋の中に複数の気配を感じて立ち止まる。この大部屋の中にはゴブリンの集団がいたが全滅させたはずだ。しかし、すぐに新しい兵士が補充されたようである。
気配を殺して、女盗賊は部屋の中を見る。
部屋の中には、あかい髪を生やした褐色肌のゴブリン達がいた。
レッドキャップと呼ばれるゴブリンの上位種である。地下帝国の力により生まれた彼らの戦闘能力はゴブリンとは比べ物にならないほど高く、熟練の戦士でも手を焼く相手だ。
彼女達はそのことは知らなかったが、それでも相手の動きからこの妖魔がゴブリンよりも危険な相手であることを理解した。
「別の道を行くわ」
小さな声で女盗賊は回り道を提案する。
地下迷宮の第二階層は迷路のような作りになっており様々なルートが存在するため、少し遠回りをしても戦闘は避けるべきだと判断したのである。
魔法使いが頷くと、彼らは大きくを描く回廊を進む。
壁には一定間隔かんかくで赤々と燃える松明たいまつが置かれていたので、十分に用心しながら進むことができた。しかし、行く先々でオークやミノタウロスなどの力の強い妖魔達が群れを成して待ち構えており、女盗賊と魔法使いはとうとう知らない場所の探索をしなくてはならなくなった。
そうしてしばらく歩いていると、扉の無い未探索の部屋の前に出た。
どうやら妖魔達の気配はないようだ。
「……私が先に行く」
女盗賊が先陣を切り、ゆっくりと部屋に侵入する。
入ってきた場所以外にも、外に通じる道が存在するはずなのだ。
部屋の出入り口には悪魔像が置かれており、不気味な笑みを浮かべていた。中央には真っ黒な鎧が置かれており、今にも動き出しそうである。
女盗賊は悪魔像や鎧に警戒しながら部屋の中を調べていく。
毒針の罠ポイズン・ニードルね」
部屋には見えないほど細い糸が張り巡らされており、不用意に侵入すると、悪魔像の口から毒針が発射される仕掛けとなっていた。
「解除するわ。敵が来ないか見張っていて」
女盗賊は盗賊の七つ道具シーフ・ツールを使い、慎重に罠を無力化する。
いつ怪物が現れるかわからない中での罠解除は、神経をすり減らす難行なんぎょうであった。細い糸を刺激しないよう、毒針が出てくる射出口をふさぐ。女盗賊一人であれば、こんな面倒なマネはせずに部屋を突破できただろう。だが不器用な魔法使いが一緒となると、そうもいかない。
幸いなことに罠を解除するまで、地下迷宮を徘徊する魔物達と出会うことはなかった。
「……さあ、抜けましょう」
女盗賊がそう言って、鎧の横を通った瞬間だった。
毒針ではない。
それは無力化されている。
もう一つの罠が発動したのだ。
生きている鎧リビング・アーマーと呼ばれる魔法の罠である。
熟練の盗賊であっても魔法の罠を感知するのは難しい。魔法に対抗するには、魔法しかないのだ。以前、地下迷宮に侵入した女盗賊モニカは様々な魔法と盗賊の技を駆使し、地下迷宮の秘宝を奪って逃亡したが、残念ながらこの女盗賊は魔法が使えなかった。
弟分である魔法使いが、魔力感知などの魔法を唱えていれば結果は違ったかもしれないが、もはや後の祭りである。
黒い鎧は変形して、女盗賊の体にまとわりつく。
生きている鎧リビング・アーマーは、邪悪な魔力で生み出された魔法生物である。人食い宝箱ミミックなどと同種の罠であり、近くに人間が来ると捕食を開始する。
「きゃぁああああ!!!」
彼女が元から着ていた軽装は特殊な分解液で破壊され、漆黒しっこくの鎧が装着される。
まばたきするほどの間の出来事である。
魔法使いは一歩遅れて声を上げた。
「しっかりして、今引きはがす!」
「ぁ、ぁああ……」
だが、その声が彼女に届いたのかわからない。
真っ黒な兜から触手のようなものが伸び、彼女の耳の中に侵入する。甲冑の内部では分解液とは別の液体が吐き出されて、あっという間に精神を溶かしてしまう。
「うあぁあああああ!!!!」
魔法使いが絶望の悲鳴を上げて、爪ががれるのも構わずに鎧を外そうとする。
だが、その程度の攻撃で生きている鎧リビング・アーマーが獲物を逃がすことはない。女盗賊の体がビクビクと痙攣けいれんするのに合わせて、鎧は軋む音を立てた。
あと数秒で彼女の精神が崩壊ほうかいする。
その時。
「ストップ」
美しい声が待ったをかけた。
人の上に立つことに慣れた者だけが出せる威厳いげんのある声である。絶望の涙を流しながら、女盗賊を助けようとしていた魔法使いは思わず声の方を見る。
視線の先には、息を呑むほど美しい少女がいた。
足元まで届きそうなほど長いつややかな漆黒の髪。宝石のように光り輝く瞳。男女問わずれてしまう美貌の持ち主は口元に邪悪な笑みを浮かべていた。
地下迷宮の支配者ハルヴァーである。
「クスクス、ダメだよ。ダメ! 簡単に壊しちゃ、罰にならない。それにつぐなう機会も与えなきゃ」
ハルヴァーは生きている鎧リビング・アーマーに語りかける。
返事をするように、鎧兜の隙間からドロリとした液体がこぼれ出した。女盗賊の精神をむしば魔液まえきである。
「ねぇ君、捕まっているを助けたい?」
魔法使いは訳がわからなかったが、女盗賊を助けられると聞いて首を縦に振った。
「この子を見捨てたら、助けてあげるって言っても?」
「お、お願いです。ボクはどうなってもいいから、彼女だけは……」
涙を流しながら懇願する魔法使いを見て、ハルヴァーは邪悪な笑みを深めた。
「アハ、仲間は見捨てたけど、この娘は見捨てないんだ?」
彼らが地下迷宮に入ってからの行動はすべて見られていたのである。地下迷宮の支配者の目をあざむくには相応の力がなくてはならない。
「それじゃあ今から一週間以内に、この地下迷宮で君達が殺した妖魔の数の三倍、えーっと、百四十四人の人間を地下迷宮に誘ってもらおうかな」
「一週間以内に……、ひゃ、百四十四人の人間を……」
蒼くなる魔法使いに、悪辣なる女君主は首を縦に振った。
「うん、愛しい人を取り戻せるなら、安い代価だよね? 方法は任せるよ。上手くいけば、彼女を解放してあげる」
ハルヴァーの提案に、魔法使いは必死に頭を働かせて答えを用意する。
「……ロナン王国からこの地下迷宮を探れって依頼がある。う、上手く報告すれば、調査部隊が送られてくるはず」
その言葉にハルヴァーは蒼い瞳を細めて、軽く頷く。
ロナン王国は、聖王国と共に祖国を滅ぼした国である。この魔法使いがロナン王国の兵士達を呼び寄せてくれるのならば、それは願ってもない。
「それじゃあ、頑張ってね。もし、一日でも遅れたら……、君の愛しい人は二度と戻らない」
魔法使いは何度も首を縦に振る。
ハルヴァーは魔法を唱えて、彼を地下迷宮の外に送り出した。
約束通り、大勢の人間を連れてきてくれるのなら盗賊の娘は解放しよう。約束を守れなかったら、彼女は生きている鎧リビング・アーマーの操り人形として、地下帝国の兵士となる。
どちらになっても、悪くない取引である。

* * *

地下迷宮第四階層、迷宮都市。
悪魔達と取引をする「悪徳あくとく鋼鉄通こうてつどおり」から少し南に進むと、「選ばれし蠱毒こどくの商店街」と呼ばれる場所がある。その商店街で売りに出されているのは主に、闇商人テオドールが各地から買い集めてきた毒虫である。
子牛ほどの大きさがある巨大蜘蛛ジャイアント・スパイダー、死ぬと同時に周囲に毒液をばら撒く黒の百足ブラック・センチピード、一刺しで大人を殺す殺人蜂キラー・ビー、鋼のように硬質な外殻に覆われた全身鎧蠍フルアーマー・スコーピオンなど、多種多様の毒虫が特殊な虫かごに入れられて売られている。
これらの毒虫は、ゴブリンにとっては馬代わりの騎乗生物だった。
小柄な彼らが乗るには、狼と同じくちょうどいい大きさなのである。狼と比べ瞬発力や持久力に欠けるが、地下迷宮内では壁などをよじ登れるので、虫に騎乗する方が多角的に行動でき、利点は大きい。
ちなみに、「選ばれし蠱毒の商店街」の北側には、各地の狼を取り揃えた「しき群狼市場ぐんろういちば」が存在する。
「地下迷宮を移動するなら、アンタも一匹くらい持っておいた方が良い……っても、人間じゃぁ、俺達とは乗れる生き物が違うが、まあ、いろいろ見てくれよ」
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