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神官プリースト達の奇跡の力は、前衛の戦士五人を援護する。
戦士達は全員重装備であり、奇跡の加護も加わっている。たとえ、怪力のオーガでさえ今の彼らを打ち負かすことは容易ではないだろう。
間髪かんはつを容れず、騎士が戦士達に剣を振るう。前衛の戦士達はたてを構えて守りを固めると、攻撃に耐えてからの反撃で一気にケリをつけようとした。
だが、そうはならなかった。
紺碧の騎士の一撃は、オーガの一撃とは比べ物にならないほど重く、速く、正確に戦士達の命を奪った。
「う、うぁああああああ!!!」
ティレスは悲鳴を上げる。
彼の隣にいた戦士達は二人ともぎ払われて死んでいた。
真ん中にいたティレスは死こそ免れたが、精神的なショックは大きく、子供のように泣き叫ぶことしかできなかった。
何が起こったか理解できず、目を白黒させている一列目の兵士達を無視して、紺碧の騎士は二列目の戦士を一刀両断する。全身鎧フルプレートメイルが、まるでバターを切り裂くかのようにあっさりと両断されるのを見て、彼らは戦意を喪失そうしつした。
「い、いやだぁああああああ!!」
「ば、ばけもの!! ばけものだぁ!!」
「た、助けてくれぇ!!」
口々に泣きわめきながら、「信仰の剣団」は敵に背を向けて逃げ出す。
だが、逃亡は許さないと紺碧の騎士は疾風しっぷうのごとき速さで、二列目の戦士二人を切り伏せる。一塊になるのは危険だと悟り、他の面々は蜘蛛くもの子を散らすように逃げ出した。
それを見た紺碧の騎士は低いダミ声で呟く。
『――起動アクティブ拘束せよチェルドベイド
ジャラリと、鎖がうごめく。
へびのようにいながら、無数の鎖がバラバラに逃げた十二人の手足に巻き付いていく。
「リーダー! 助けて、助けてぇ」
「ティレス、助けてくれ! 早く!!」
鎖の数が足りなかったのか、唯一、鎖に絡まっていないティレスに「信仰の剣団」のメンバーは助けを求めた。
だが、ティレスは「ひぃ」と情けない悲鳴を上げると、脱兎だっとのごとく仲間を見捨てて逃げ出す。
「リーダー、リーダーァアアア!!」
「ティレス、待て、待てよぉおお!!」
怨嗟えんさの声を上げる「信仰の剣団」の面々を見ながら、騎士は無慈悲に告げる。
『我があるじの命だ。く死ね』
そして、鎖の力を解放する。
さばきの日は今ここに、なんじらの罪は裁かれる』
「ぎゃぁああああああ!!!!」
鎖につながれていた者達は凄まじい絶叫を上げる。彼らはみるみるうちに老化して、全員ミイラになってしまった。
残りは一人。
ティレスだけである。
『仲間を見捨てるか……』
無感動に呟いた後、追いかけようとする終末の騎士に、召喚者の声が届いた。
『――よくやった』
『アルアーク様!?』
『――あの男は別に対処する。お前は、もう一組の冒険者チームのほうに向かえ。……念を押すが、そちらは殺すなよ』
御心みこころのままに』
騎士は、その場にアルアークがいるかのように頭を下げた。
おそらく、今までの一部始終が見られていたのだろう。この地下迷宮内で、彼らに隠し事はできないらしい。
ジャラリと鎖の音を鳴らしながら、終末の騎士は次なる獲物達の下に向かう。
今度は少し、手加減をしたほうがいいかと考えながら。

  * * *

ティレスは顔面蒼白となり、必死で出口を目指していた。
少し前まであった財宝を発見した悦びなど、どこかに吹き飛んでしまっていた。心を支配するのは恐怖だけである。
ガシャガシャと鎧の音を響かせながら、ひたすら走る。
そう言えばおかしなところはいくつかあった。
あの騎士は鎖の音をジャラジャラ鳴り響かせていたが、全身鎧フルプレートメイルのガチャガチャという音は全くと言っていいほどしなかった。魔法の鎧という可能性もあるが、それ以外の何か、たとえば、噂に聞く不死の魔物、死霊騎士アンデッド・ナイトのような存在かもしれない。
あの紺碧の兜の奥が髑髏どくろだろうと驚くに値しない。いや、それよりもっとひどい、想像以上の化け物に違いない。
(とにかく、早く外に!)
そして、次の一歩を踏み出した瞬間――。
いきなり床がスライドして、落とし穴が口を開けた。
「う、うぁああああ!!」
勢いよく走っていたため、止まることができず、彼はそのまま奈落ならくの底へ真っ逆さまに落ちていった。
「ギャアアアアアー!!」
穴の底には無数の針が突き出ており、ティレスは鎧ごと体を貫かれた。しかし不運にも、戦士として有り余る体力を持つ彼は、すぐに死ぬことができなかった。
(アハハ、記念すべき、最初の犠牲者!)
心地よい歌のような声音がティレスの頭に響く。
(この程度の罠、盗賊シーフがいれば、すぐにわかったのにね!)
「た、助けて……」
虚空こくうに手を伸ばすが、その手はどこにも届かない。
ティレスは助けを求めながら、じわりじわり時間をかけて、徐々に冷たくなっていく体と恐怖を抱いて死んでいくことになる。仲間を見捨てて逃げようとした男の哀れな末路であった。もしも死ぬ気で仲間を助けようとしていれば、違う未来があったのかもしれないが、人生は一度だけである。
そして、そんな彼の人生はもうすぐ終わる。

  * * *

「鉄の戦乙女」の財宝収集は順調であった。
運べる物と運べない物を選り分けながら、それぞれが値の張りそうな物を手に持っている。大量の金貨は、共通金貨ではないが、金には違いないので価値は十分だ。少なくとも、今ふところに入っている銅貨や銀貨よりも価値が高いので、すべて入れ替える。魔法の掛かっている品物があれば、優先的に持って帰りたかったが、残念ながらそういった品物は見つけられなかった。
(別の場所に隠した? それとも、元々そういった物はない?)
ローナは疑問を覚えるが、動かす手は止めない。
ふと気づいて、壁にかけられた絵に目を留める。
仲の良い家族を描いた絵である。
美しい花園でたわむれる幼い兄妹と、それを優しく見守る両親の絵は、見る者の心を和ませる。
「家族か……」
ローナにとって、家族は年の離れた祖父一人だけであった。
両親の顔は知らない。自分が生まれて間もなく亡くなったと聞いていた。兄弟がいるのかもしれないが不明である。しかし、そんなことはさほど珍しくはない。作物の不作、疫病えきびょう、自然災害、盗賊シーフや妖魔の襲撃など、さまざまな凶事が取り巻くこの世界で、死は常に隣合わせのものである。
両親がどういう理由で死んだのかは知らないが、ローナは祖父と二人で生きてきた。
祖父は偏屈な老人であったが、孫娘が一人でも生きていけるようにと、自分の持っている狩りの技術を徹底的に叩き込んでくれた。
しかしその祖父も、数年前に亡くなった。
ローナにはそのまま狩人として生きる道もあったが、広い外の世界とのつながりを求めて冒険者になることを決意した。何度か失敗を経験しながらも、彼女はイズレーンと出会い、彼女の立ち上げた冒険者チーム「鉄の戦乙女」のメンバーとなった。
今では、それなりに居心地の良さを感じている。
(だけど、家族とは違う……)
イズレーン達は仲間であり、友人である。しかしどんなに親密な関係になったとしても、恋人に、そして家族にはなれない。少なくとも、ローナはもちろん「鉄の戦乙女」のメンバーは、女同士で恋仲になる趣味を持っている者はいない。
(……)
これまでローナは男女の付き合いというものを知らなかった。
見た目は悪くないので、声をかけられたことは何度もある。だが、どの男もいやらしい下心が見え見えの連中ばかりで、恋愛対象として見られなかった。ローナが興味をそそられる男との出会いは、未だ一度もない。
「ローナさん? 大丈夫ですか?」
「大丈夫」
絵に心を奪われて、手が止まっていたらしい。
デリトが心配そうに声をかけてきたものの、ローナは冷たく言葉を返す。デリトは曖昧あいまいな笑みを浮かべて、「そうですか」と呟いた。
彼は、冒険者にしては珍しいほど、利害を抜きにしてローナ達に接している。出会いからさほど時間が経っていないが、他の男達よりは信頼できる人物のようだ。
(だけど、好きになるかどうかは別問題……)
少なくとも、ローナの胸はときめかない。
何かきっかけがあれば、自分も恋ができるのだろうか。そう思いながら部屋の物色を再開しようとしたその時、突然――。
デリトがローナを突き飛ばした。
「な、何を!」
と言いかけたところで、先ほどまで自分のいた場所に剣が突き刺さっているのに気がついた。デリトが突き飛ばさなければ、ローナは足を貫かれていただろう。
そこへ、ジャラリという不気味な鎖の音――。
いつ現れたのか、ローナ達が入ってきた入口に紺碧の鎧を身にまとった騎士がいた。
『外したか』
財宝の溢れる部屋に、聞き取りづらいダミ声が響き渡る。
『――起動アクティブ剣よ、我が下にゾールガード
魔法の武器なのだろう。刀身が青と緑に輝く剣はふわりと宙に浮き、騎士の手に戻る。
「油断した。逃げ道をふさがれたわ」
「ですね。財宝の番人でしょうか?」
「たぶんね……」
あまりに多くの財宝を目にして、知らず知らずに警戒が緩んだのかもしれない。迂闊うかつさを後悔しながらも、イズレーンとデリトは少しでも敵の間合いに入らないように距離を置く。女狩人ローナと女蛮族アマゾネスの戦士ジェンも優位を取れる位置に移動する。
イズレーンは長剣ロングソード、ジェンは大剣、ローナは合成弓コンポジットボウを構え、デリトは行使する奇跡の力を高めるために、聖印を握りしめた。
『……』
紺碧の鎧に身を包み、兜で顔を隠した騎士の表情を読み取ることはできない。
「援護します」
「任せたわよ」
「――強化エンハンス光の刃レフィル
イズレーンの了解を受けて、デリトは武器を強化する奇跡を唱えた。
「鉄の戦乙女」のメンバーの武器が光り輝き、切れ味や打撃力が高まる。イズレーン達は武器に力が宿ったのを知ると、雄叫びを上げながら、攻撃を仕掛けた。
「はぁああああ!!」
「うぉおおおお!!」
長年のチームプレイで磨き上げた同時攻撃だが、紺碧の騎士はあっさりとそれを見切り、背後に飛び退く。
「ローナァ!!」
リーダーの叫びに、女狩人は騎士が着地する瞬間を狙い撃つ。
この距離ならば百発百中だ。合成弓コンポジットボウから放たれた矢の一撃は鎧を貫通する威力がある。しかし、迫りくる矢を騎士は剣で一閃いっせんし叩き落とした。
(強い!)
一瞬の攻防で、イズレーン達はこの騎士の実力が自分達よりも数段も格上だと悟った。
「アタシが抑える! 逃げろ!!」
「ジェン!!」
女蛮族アマゾネスの戦士が大剣を振るい、猛攻を仕掛ける。
「オオオオオォォォォォォォ!!!!!!」
咆哮ほうこうを上げながら、狂ったように上段、下段、中段、と剣を振るう。
ジェンは、女だけで構成される戦闘能力に長けたアマゾネスと呼ばれる部族の出身である。一見すれば、頭に血が上った無鉄砲な連撃のように見えるが、一撃一撃が計算されたものであり、騎士が次の行動に移る隙を与えない。冒険者チーム「鉄の戦乙女」において最大の戦闘力を誇る女戦士ファイター苛烈かれつな攻撃は、一時的な拮抗きっこう状態を作り出している。が、それも長くは続かないだろう。
二人の実力差を見抜いているイズレーンは、なんとか彼女の粘り強さに賭けることにした。
「デリト、ジェンの援護を! ローナ、隙を見てもう一度お願い」
「――守護ディフェンド暁天の雫ルオルトーツ
ジェンの体がうっすらと輝き、振るわれる一撃の強さが増す。火花が飛び散り、一歩だけだが、騎士が後退する。そこに、イズレーンが絶妙のタイミングで一撃を放った。
防御不可能――。
脇腹を長剣ロングソードで貫き、ローナがトドメとばかりに矢を放つ。今度は防がれず、騎士の兜に命中する。
『……調子に乗るな』
奈落の底から響くようなダミ声。
驚くべきことに、紺碧の騎士はあれだけの攻撃を受けながら倒れなかった。
「ッ!!」
女蛮族アマゾネスは舌打ちしてさらなる攻撃を繰り出そうとした。だが次の瞬間、鋭い金属音が響き渡る。
それは、無残にもジェンの剣が破壊される音であった。
武器が壊され、すべを失ったジェンの鋼の肉体がたやすく切り裂かれると、彼女は血飛沫ちしぶきをあげながら「ちくしょぉっ!!」とうめいて倒れ伏した。
「こ、このぉ!!」
『……無駄だ』
イズレーンは脇腹を貫いている長剣ロングソードを引き抜こうと力を込めるが、ビクともしない。
『――起動アクティブ堕落せし猟犬となれカーシェンベルド
ベルトにるされた鎖がジャラリと音を立てて、蛇のように動く。なんとベルトの先端には犬に付けるような黒革の首輪があり、何本もの鋭いとげがついていた。
「なっ!?」
避ける間もなくイズレーンの首に、蛇が噛みつくように首輪が装着される。
『栄誉だ。我が犬として仕えるがよい』
低いダミ声が響き渡る。
さらにもう一本の首輪がうごめき、ジェンの首にガチャリとめられた。
「な、何をするんだ!」
「……」
デリトは厳しい顔で紺碧の騎士を非難する。
彼の隣に移動してきたローナも弓を構えながら、油断なく騎士の隙を窺う。
そんな二人に構わず騎士は、鎖をグイと引っ張った。
すると、首輪をめられたイズレーンとジェンは四つんいになって、紺碧の騎士を虚ろな目で見上げた。首輪の魔力の効果なのか、先ほどつけられた傷は綺麗に塞がっているが、その瞳は感情のないガラス玉のように生気がない。
『鳴け』
ジャラリと鎖の音がして、飼い主に命じられた忠実な犬のように、二人の女戦士ファイターが奇怪な鳴き声を上げる。
「わんわん」
「わぉーん」
人間性を剥奪はくだつされ、動物のように振る舞う女達の姿を見て、ローナは恐怖に顔を強張らせる。
「……ローナさん」
デリトは女狩人に小声で言う。
「少しだけ強力な奇跡を使用します。うまくすれば、彼女達の精神支配も解除できるかもしれません。その時は、二人を担いで逃げてください」
「え?」
意外な申し出に女狩人はデリトのほうを振り向く。神官プリーストは彼女と同じように恐怖に震えながらも、騎士のほうをにらんでいた。
恐怖の色は隠しようがなかったが、それ以上に嫌悪の念があった。
「無理よ、殺されるわ」
「……かもしれません」
そう言って、恐怖を呑み込むように笑う。
「ですが、淑女しゅくじょの前です。少しばかり恰好かっこうをつけるのも良いでしょう?」
ドックン。
思ってもみなかったその言葉を聞いて、ローナは自分の心臓が事態もわきまえず大きく高鳴るのを感じた。
(え? な、なに?)
彼女は未知の感情に戸惑った。だが戦局はそんな彼女の感情の正体を探るいとまも与えない。
『行け、取り押さえろ』
紺碧の騎士の言葉に、鎖で繋がれた娘達は猟犬のように素早く這い寄って距離を詰めて来る。
「――妨害ディズターブ解放の音色エルゼキャン
デリトは最大限の力を振り絞って、神の奇跡を行使する。
彼を中心に光が渦巻くと、首輪の魔力に囚われたイズレーンとジェンの動きが鈍った。
『ほぉ』
騎士が感心したような声を上げるが、デリトの耳には届かない。
紺碧の騎士が持つ首輪の力が、精神支配の力を持つ魔法の道具だとデリトは推測し、それを打ち破る奇跡を行使した。だが、その効果のほどに確かな自信はない。
彼女達の精神を束縛する力は、予想以上に強大のようだ。
(ですが、退くわけにもいきませんよね)
最初は、仲間の非道な振る舞いを清算するために同行を申し出ただけであった。にもかかわらず少しの間、彼女達と一緒にいて、デリトは「鉄の戦乙女」の面々を気に入り始めていた。リーダー気質のイズレーンも、ぶっきら棒なローナも、豪快なジェンも善良な人間である。
ティレス達のせいで傷ついた神官プリースト魔法使いウィザード、用事があって離脱りだつしている騎士も良い人間なのだろう。
「――強化エンハンス聖なる血の祝福ヒルドアーゼ
自らの血を代償に、奇跡の力を強化する。もちろん、体への負担は相当なものだ。額や手足から血が流れ、神官プリースト服が赤く染まっていった。
その効果があったか、
「……あ、ああぁぁ」
「……あ、れ?」
戦士ファイター達の瞳に正気の光が戻り始める。
「今です!!」
血を吐くようなデリトの叫び声に反応し、狩人は放たれた矢のごとく動き出した。
『小賢しい』
紺碧の騎士がジャラリと鎖の音を響かせると、鎧の重さなど微塵みじんも感じさせない速度でローナに迫る。
「――妨害ディズターブ生命の聖車輪ヘルゼルヴェント
デリトが三度目の奇跡を放ち、光の輪が紺碧の騎士を拘束する。
『クッ!!』
相手に直接の攻撃を加えられなくなる代わりに、その動きを封じる奇跡である。代償として、自身の生命力を支払いながら。
「早く……、逃げて……」
デリトはそう声をふり絞った。
強力な奇跡を維持できるほど、デリトの生命力は高くはない。この化け物を押さえ込める時間は限られているのだ。
『命が惜しくないのか?』
低いダミ声が聞こえる。
「惜しいですよ」
『ならば、すぐに術を解け。お前達を殺しはしない。女も捕縛ほばくするように言われている』
今回は侵入者を捕らえるのが目的だ。勝手に死なれて、召喚主のめいに背くようになっては困る。
だが、デリトはそんな事情を知るはずがない。
「お断りします。それに、その言葉が真実かどうかわかりません」
首を横に振ると、薄茶色の目を細めて、ローナ達の動きを追う。だが、イズレーンとジェンの動きが予想以上に鈍い。これでは大して時間稼ぎにもならないと肩をすくめながらも、奇跡の力で生み出した光の輪を維持し続ける。
(これは……、本当に死ぬかもしれませんね。まあ、私にしては悪くない死に方か……)
と、神官プリーストは覚悟を決めた。
そのことを察した騎士は、仕方ないと最後の手段を取る。
『グオオオォ!!』
獣のような咆哮ほうこうとともに、光の輪が一気に引き千切られた。
「あ……、ぁぁ……」
奇跡を打ち破られ、デリトは白目を剥いて気を失ってしまう。
神の奇跡に、自らの生命力で編まれた光の輪が強引に破壊されたのである。
このような芸当を可能とするのは、竜か上位の天使や悪魔くらいであり、紺碧の騎士はそれだけの実力者と言えた。元から並の冒険者では、歯の立たない化け物であったのだ。
自らの奇跡が強引に破られたことによるダメージは大きく、運が悪ければ即死するかもしれなかったが、幸いデリトにはまだ息がある。
「デリト!」
ローナは仲間二人を担いでいたため、まだほとんど距離を稼げていない。
『女……、抵抗しなければ首輪はつけない』
紺碧の騎士はそう言って、気を失っている神官プリーストに剣を向ける。
『だが、抵抗するなら止むをえん。この男の足をり落とす。その後、お前達の足も斬り落とす』
本気である。
連戦により、紺碧の騎士にはもう一度彼女達を鎖で操る魔力は残っていない。手荒な方法で自由を奪うのは難しくない。が、治療が遅くなれば失血死されるリスクが伴うので、できれば交渉で済ませたい。
『実力差は歴然れきぜん。ここは大人しく従うのが得策かと思うが?』
「……わかった。抵抗はしない。だから、彼を傷つけないで」
紺碧の騎士の言葉を少し考えて、狩人の娘は頷いた。
殺すつもりなら何度も機会はあったからである。
『誓おう』
紺碧の騎士は剣を掲げて宣誓する。その言葉を信じ、ローナは合成弓コンポジットボウを床に置く。
戦っても勝ち目はない。
もしかすると、一人だけ逃げるのは不可能ではないかもしれない。しかし、彼女はそんなことをつゆほども考えなかった。仲間に背を向け、自分だけが助かるなんてありえない。ましてや、この目の前で気を失って倒れている心優しい神官プリーストを見捨てて逃げ出すことなど……。

  * * *

女狩人が投降したのを確かめると、一部始終を見ていた地下迷宮の支配者達は、彼らのために地下七階まで一気に移動させる魔法の扉を作り出した。転移させる場所は、「王の間」から少し離れた場所である。抵抗を防ぐため、ゴブリン達には縄を持っていかせている。
彼らにもさっそく働いてもらわなくてはならない。護送ごそうするのは武装解除した半死はんし半生はんしょうの冒険者達である。終末の騎士が抜かりなく見張っているし、大した危険はないだろう。
「ふむ」
アルアークは眉をひそめると、まずは小国の姫フランディアルに尋ねる。
「フランディアル、どう思う?」
「目的は果たしましたが、まだまだ改善の余地はあります」
「やはりそうか……」
冷たい美貌を持つ兄のほうを見て、もう一人の支配者であるハルヴァーは小首をかしげる。
「アレ? 何か問題があった?」
「問題はありません。ただ、改善の余地があると申し上げたのです」
「?」
漆黒の髪をもてあそぶ可愛らしい仕草をするハルヴァーに、赤髪の姫は優しくさとすように言う。
「たとえば……、最初に戦った冒険者チームですが、最後の一人が逃亡した時、ハルヴァー様はトラップを仕掛けましたよね?」
「うん。仲間を見捨てて逃げる奴には、お似合いの死に方だよね!」
「はい。ですが、ハルヴァー様、今後、地下迷宮には多数の冒険者が来るでしょう。そして、彼らすべてに同じような個別の対応をするのは、非常に効率が悪いと思うのです」
「ん~、そうだね」
ハルヴァーは、迷宮内の施設やトラップの作成を担当している。今回は、ティレスの逃亡時に、彼の進路上へいきなりトラップを作成した。だが今後は迷宮全体を把握する必要があるため、今回のように個別に相手をし続けるわけにもいかない。
「今よりも、大量のトラップとモンスターを地下迷宮に配置して、効率よく冒険者を排除する必要があります」
「だけどさ~、それじゃあ冒険者に敬遠けいえんされちゃわない? いくら財宝があると言っても、手に入れるのが難しいとわかれば、彼らはこの地下迷宮に足を向けなくなるんじゃないかな」
「もちろん、バランスが重要です。すなわち、そのバランスを一番よく知っているのが冒険者です」
どの程度の危険なら利益のために動くのか、それを熟知しているのは、確かに冒険者達であろう。
「ああ、だから捕らえるように進言したのか」
アルアークが納得したように頷く。
「理由のひとつではあります」
フランディアルは優雅に一礼する。
その十四歳とは思えない張りのある大きな胸の揺れに目を奪われ、ハルヴァーは我知らず自分の平らな胸に手を当てる。
「どうした?」
「別に何でもないよ。兄様にいさま
アルアークは妹が少しばかりしょんぼりしたのに気がついたものの、深く追及はしなかった。それからいつも通り、どんよりとした目の少女に声をかける。
「シア、お前はどう思う?」
「あの騎士様の実力は高すぎるかと思います。殲滅せんめつには役立つでしょうが、冒険者達を呼び寄せるには、もっと力の弱い魔物を大量に配置したほうが良いかと思います」
そう言って、少女はゆがんだ笑みを浮かべる。
「人間は……弱い奴をいたぶるのが好きですから」
実際、かつて深い傷を負わされた彼女の言葉には重みがある。
「なるほど、その通りだな。わかった。シア……、後で魔物選びに協力してくれ」
「……わかりました」
「安心するといい。人間は弱者をいたぶるのが好きかもしれないが、そういった者は圧倒的な強者の前には無力だ。その時の光景を覚えているだろ?」
アルアークとハルヴァーは、卑劣な山賊達のおもちゃにされていた自分を助けてくれた。その時の光景は、未だ少女の脳裏に鮮明に焼きついている。
「私とハルヴァーの庇護ひごがある限り、お前はもはや弱者ではない。むしろ、そういった者に鉄槌てっついを下す強者としての力を得ることもできる」
「……」
アルアークの冷たい言葉が少女の胸の中に染み込む。
山賊達に片目と片腕を奪われ、おもちゃにされながらも、死ぬことすら許されず生かされ続けた少女。彼女は一か月前にアルアークとハルヴァーに救われ、傷を癒され、生きる愉しみを見つけるために、彼らの傍へ仕えることとなった。
「まあ、お前はまだ若いのだから、人生の愉しみはゆっくりと見つければいい」
「はい」
シアは、コクリと首を縦に振る。
にごった金色の目は相変わらずだが、声は少しばかり軽い。
話がひと段落すると、
「そうだ兄様にいさま! 財宝の保管場所とかも決めなきゃ!」
思い出したようにハルヴァーは告げる。
彼らにとって、地下迷宮の財宝は血の一滴なのだ。
貨幣や宝石、調度品など、この地下迷宮で彼らが創造したものは、全て彼らの魂を元に作り出されている。
もちろん、財宝はすべて本物であり、迷宮の外に持ち出されたからといって消え去りはしない。だが、その瞬間、創造物の価値に等しいだけの力が地下迷宮から失われる。
財宝はまだまだ存在する。
そのため、少々持ち去られた程度ならに刺された程度で済むが、それが大量の財宝となれば、地下迷宮全体の弱体化を意味する。
「私達の『迷宮核ダンジョン・コア』も隠す場所が必要だよ!」
財宝が血ならば、迷宮核ダンジョン・コアは心臓である。
血ならば少々失っても死なないが、心臓を失えば生きてはいけない。広大な地下迷宮を支配する代償として、彼らはむき出しの心臓をどこかに隠しておかねばならない。
「そうだな……、だがハルヴァー、その隠し場所は誰にも言ってはならない」
「うん! もちろんだよ!」
無邪気に笑う妹を見て、アルアークは言う。
「とりあえず、迷宮核ダンジョン・コア以外の財宝は、地下六階に集めよう」
「あ、その部屋に捕虜専用の牢獄ろうごく拷問部屋ごうもんべや洗脳室せんのうしつなんかも作っていいかな?」
「好きにするがいい」
「やった!」
そんなやり取りをしながら、そろそろ捕虜達が来るはずだと水晶玉を見る。
しかし、転移させる場所が大雑把おおざっぱだったのか、まだ時間が掛かりそうだ。
「一気に地下八階まで作成したのは、間違いだったかなぁ?」
成長する地下迷宮。
本来ならば、地下一階から作成して、その後、徐々に階層を深くしていくのが一番負担の少ない方法らしい。だが、一か月ほど前に儀式場に到着したアルアークとハルヴァーの兄妹は、旧知の間柄であったフェーリアン王国の姫に、地下迷宮を作成する許可を求めると同時に、入念な準備をしていた。そして、まさしくその創造を行った時――。
元となる宝珠からは想像以上のエネルギーが溢れ出た。
それを利用して、彼らは迷宮を一気に第八階層まで拡大したのである。
「けどまあ、聖王国をはじめ連合諸国を滅ぼすには、全然広さが足りないよね。ここから少し離れた場所に、小迷宮とか造っちゃダメ?」
「ダメだ。後々、迷宮の拡大や小迷宮の創造なども行うが、今はまだ時期ではない。それに小迷宮を作成するなら、そこの管理者も必要だ」
「あのゴブリンの長じゃダメ?」
「プルックのことか? 今はまだ能力も忠誠心も未知数だ。そのあたりを見極める必要がある」
「ん~、けっこう使える奴だと思うけどね」
会話を弾ませる兄妹に、小国の姫が釘をさす。
「陛下、先のことも重要ですが、ゴブリン達の食料を確保する必要もありますよ」
「そうだな」
フランディアルの言葉にアルアークは頷く。
金貨や宝石などの無機物を作り出すのは難しくはない。だが、食料となれば話は別である。パンやスープを生み出すような創造系の魔法には多くの時間と魔力を消費する。そのため、ハルヴァーは、どうせ魔力を使うなら食べ物ではなく合成魔獣キメラなどを製造したほうがいいと考えていた。
「ハルヴァー、頼めるか?」
「うん! 生産拠点は地下四階にするね! あ、ついでに、ゴブリン達の居住区にしてもいい?」
「かまわん。彼らに住む場所と食料を与え、戦えない者達は何か生産業に従事させろ」
ゴブリン達を保護すると言ったが、無償で保護するほど彼らもお人よしではない。
戦いになれば、命を懸けて戦ってもらうつもりだし、平時には自分達の食い扶持ぶちを稼ぐ程度の努力はしてもらう。それができないようならば、地下迷宮から追い出さねばならない。逆に、それだけできるならば、アルアークとハルヴァーも彼らを地下迷宮の住民と認めて、相応の待遇を保証するつもりでいた。
「けど、ある程度は元になる食料を買う必要があるよ」
「創造系統の魔法ではダメか?」
「え?」
「ん?」
ハルヴァーは驚いた顔で兄を見る。
「に、にいさま……、食料を生み出すのに魔法を使うなんてもったいない……よ」
「そうか? しかし、ゴブリン達には食料は必須だろう」
「け、けど、お金で買えるし……、ね。兄様にいさま。考え直して?」
懇願こんがんする妹に、アルアークは少し首をかしげながらも了承の意を伝える。
「わかった。そのあたりはじぃに頼んでみよう」
アルアークとハルヴァーの魔法の師。
はるか北の地で、落ちのびた同胞どうほう達の鍛錬たんれんを行っている魔法帝国の宰相さいしょうだった人物。
五百年以上の時を生きており、帝国の建国から今に至るまで、王族に忠誠を誓い続ける老人の顔を思い出して、ハルヴァーはニコリと笑う。
「うん、師匠なら心配ないよね!」
そこまで話すと、ジャラリと鎖の音が聞こえる。
「来たか」
「だね!」
会話を中断し、地下迷宮の支配者達は「王の間」の扉を開く。
主様あるじさま、捕虜を連れてまいりました』
その言葉とともに、「王の間」に入ってきたのは、縄で縛られた「鉄の戦乙女」の女冒険者達、ゴブリン達にかつがれている気絶した神官デリト、そして、彼らを護送するプルックを中心とする十数人のゴブリン達である。
「王の間」の荘厳さに目を奪われているのか、ゴブリン達は周囲をきょろきょろと見回していた。対して、捕虜とされた女冒険者達は恐怖に震えながらも、地下迷宮の支配者達を睨んでいる。
「では、フランディアル姫。彼らをどのように使うのか、見せていただきたい」
「はい。陛下」
妖精のような顔に嫣然えんぜんたる笑みを浮かべ、彼女は冒険者達をゆっくりと眺め回した。
「では、冒険者の皆さま。交渉を始めましょうか」
姫の瞳に怪しい輝きが宿ったのに気づいたのは、アルアーク達だけであった。
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