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番外編

if坂下5~8

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 新見の指が露になった俺の首の辺りを擽るように撫でる。

「……っや……くすぐったいの弱いからやめろっ……ンンっ。」

 新見から溜め息が漏れる。

「先輩。最後の一杯飲んで帰りましょ、ほらこれ美味いですよ。」

 えらく綺麗に笑う新見に少し見とれながら、最後の一杯を飲み、意識が飛ぶ前に新見の困ったような笑顔を見た……気がした。

「先輩?目ぇ冷めました?」

 目が覚めるとムーディーライトの見知らぬ部屋でバスローブ姿の新見……俺も?!

 慌てて状況説明を問う俺に、酔いつぶれた俺を自宅まで送るのは難しく、急遽手近なホテルに先運び込んだ。……と淡々と話した新美が、最後に笑顔で一言爆弾を落とした。

「風呂は僕が勝手にいれましたよ。結構力持ちですからね僕!」

 そこまで酒に強い方でもないのは自覚しているけどそんなに?!今、新見はなんって言った?風呂?俺を風呂にいれたって?言葉が出てこない俺に。

「隅々まで洗いましたよ。内股の可愛いほくろも見ちゃいました。」

 ぺろっと舌を出して可愛い仕草をしながら、新見がベッドにあがって来る……少し怖さを感じてずりずりと後ろに逃げる……。こつんとヘッドボードにぶつかり後ろ側に逃げ道がなくなると、新見の手が左右にのびて横の退路も塞がれた。

「本当はゆっくり口説きたかったんですけど、先輩放置しておくと、すぐに横から盗られそうなのでごめんね。諦めて僕に愛されて。」

 おでこに頬に……ついばむようなキスをされて、やめろやめろとくすぐったがっていると、唇にもキスされた。またあの背中のビリビリがきた。

 新見を見るといつもの仔犬はどこにもいなくて、獰猛な視線は狼が舌舐めずりしているように見えた。押し退けようとすると手を両方押さえられ、顔の横に押し付けられた。

 耳朶をちろりと舐めながらいつもより低い声で囁く……。

「僕は、あなたを誰にも盗られたくない。」

 そのまま、唇を貪るようなキスをされた。初めてのキスからの深いキスに体の力が抜け脱力してずるずるとずり落ちるうちに、俺はベッドの中央で完全に押し倒されていた。

「よかった…キス気持ちよかったんですね。涙目可愛いなぁ。」

 ふわふわする頭で新見の声を聞く。バスローブを押し上げている俺の芯を刺激され、体を震わせる俺を満足そうに眺めて、ねっとりと味わうような長いキスで上顎を舌で撫でられた。擽ったさと身体に火が灯るような不思議な感覚にふわふわとしている間に、バスローブの紐を解かれて俺の身体が露になっていた。

新見の指が、舌先が俺の筋肉をなぞるように辿る。指先で乳首を摘ままれると悲鳴が出る。全てが初めての感覚で眩暈がした。腰を撫でまわされ、臍を舌でえぐられて、下っ腹を撫でおさえられながら……芯に触れられもせずに俺は吐精した。

「なんでぇ……ちんこ触ってもないのに射精出た……こわい。にぃみ、もう俺無理ぃ……。」

 新見に半泣きで訴えたが、それがとんでもない悪手だったと経験の無い俺にはわからなかった。……小さく唸る新見と、視線が合う。

「先輩は!どれだけ俺を煽る気ですか!優しくしてやろうとしてるのに、エロいし!外からの刺激でイクとか……。くっそ、涙目で上目遣いとか、もう僕が無理ですよ。」

 「新見……こわ……。」

 新見の迫力に身体がまた逃げようと動いてしまう。それが更に刺激になったらしくて足の間に膝を入れられ捕獲された。唇をぺろりと舐めながら妖艶な表情を浮かべた新見は

「先輩?逃げられたら燃えます……ほら。」

 言いながら俺の太腿に自分の芯を擦り付けた。新見のバスローブ越しでも感じる熱と硬さ…

「え?おまえの……おっきくない?」

 思わず溢れる言葉。太腿に当たる芯が更に固さかを増した気がする。……恐々と新見を見ると、さっきとは違い切羽詰まった顔をしていた。

「そういう天然のところが……くそっ……暴発するところだった。」

「あ……あのな。さっき俺気持ちよくしてもらったから、今度は俺がして……やろっか?」

 嫌悪感もなかったし、気持ちよかった…。求められて嬉しかった。だから自分も……そんな気持ちで声をかけた。

「……っ。もう泣いても逃がしませんからね。」

 ヘッドボードに手を伸ばした新見は、小さな容器からとろとろの液体を手に出して捏ねている……その手をゆっくり俺の尻を揉むように動かし、小さく縮まった孔の周りを擽るように動かされ、ぬるぬるゆっくりと指が入ってきた。

「あっ……違っ……そんなとこだめっ!なんでぇ……にぃみのゆびはいっちゃうぅ……。」

「だから先輩なんであんたはそんななんですかっ。」

 怒った口調で新見が指をぐいっと性急に進めてその先で指を曲げた。こりっ……と体内で音がした。

「やぁぁ!それやぁぁ!!!にぃみやめてぇっ」

 ビリビリとした感覚に驚き悲鳴が出た。新見に何度やめてと懇願しても何度も指を出し入れしながら、同じところを指の節でこりこりと押し潰すように攻められる。体の奥が熱い……と思ったらまた吐精していた。

「にぃみーっ……んぁぁっ。」

「先輩……お尻だけでイケるとかエロすぎでしょ?今まで誰と何したの?言え!言えよっ!」

 急に指を増やされ激しく出し入れされる。

「にゃ?……やっ……だれとも何にもにゃい……きしゅも初めてらも……んぁぁっむりいぃらめぇぇ……っ。」

 指をぬるりと抜かれた感覚にゾクリとする。ビックリした顔の新見が小さな声で俺に問う。

「はじ?めて?」

「そ……だよ。俺の事みんな特別じゃないから……。」

 半泣きで鼻をずびずびならしている俺をきゅっと抱き締めた新見が聞かせてと話を促す。

 見目も頭も優秀な兄と妹に挟まれて三兄弟の真ん中として育った俺。特別な何かを持たないまま、せめて誰にも嫌われたくないと愛嬌よくみんなと付き合ってきた。器用貧乏な俺は、誰も俺を特別にしてくれていない事に気づいた。

 相手が好意を持ってくれているならば!特別になれるのでは?と上條に特攻した結果、上條と永野さんをくっつけるただの当て馬に……。

 誰かの特別になりたいのに、どうしたらなれるのかもわからないまま今に至っている……。いい大人が泣きながら話すような事とは思えない話を……新見は、肩を抱き頭を撫でながら優しく聞いてくれた。

 話し終わった俺を抱き締めて、涙をぬぐい目元にキスをされた。

「俺の特別は先輩ですよ。先輩の特別も僕じゃないかな?こんなこと他の人には話せないでしょ?」

 嬉しそうに沢山のキスの雨を降らせてくる。
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