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番外編
飲み会の真実
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新人教育担当が飲み会に誘ってくれる日、行きたいなら予定を空けておけよと田村部長に声をかけられた。
俺は、香取、新見と一緒に坂下先輩に新人担当についてもらった。よその新人担当も優しい人が多かったみたいだけど、あのカミカミ自己紹介から、坂下先輩はダントツの癒し系で新人から人気があってかなり羨ましがられた。
香取も似たように撫でたい癒し系だと思っていたらしくて意気投合して割りと仲良くなった。新見だけは、にこやかにしているのに美形の迫力みたいなものがあって食い込んで仲良くなることはなかった。
飲み会当日は、堀ごたつ式の半個室。先輩の隣に座りたい!と言うと、全員そうだったのでじゃんけんをした。割りと白熱したが、新見の一人勝ちだった。
残念だったなと香取とアイコンタクトをしながら座る。次点で勝ったから、俺は先輩のお向かいに座れて癒される。
慣れないお酒で、坂下先輩と社長への感謝の気持ちが止まらない。先輩も頬をピンクに染めてグラス両手で持って嬉しそう。何それ可愛い!本当に年上?撫でたい。
テーブルに少し乗り出しぎみに、奥の席から店員を呼び止めた先輩。その口を手で塞ぎながら、新見が店員さんにお茶二種類を二個ずつとデザートを頼む。イケメンは何をやってもサマになる。先輩の口を押さえた手を……なんとなくみつめていると、然り気無く笑った口を隠すくらいの動作だったけど、唇で触れていた。絶対に。
少しテンションの上がっていた先輩の機嫌がみるみる下降して、犬耳を項垂れ尻尾が!下がってる幻覚が見える。可哀想なのに可愛いって反則でしょ?!酔っ払いの幻覚最高。
店員に置かれたお茶は二種類なのに、新見は何も聞かずに先輩の前に緑茶を置いた。不思議に思ったから、確認したけど先輩がいいならいいか。
柚子ソルベを食べながら、俺から見える先輩の耳と尻尾が少し元気を取り戻した。が、すぐにぺしょーっと、なってる。……目を何度ごしごししても見える酔っ払いの不思議。
楽しい時間はあっという間に終わりになり、お開きの時間が来た。
「支払ってくるから、帰ってていいよ。三人とも電車俺と違うし。」
声をかけた先輩が支払いをしている間に、一人だけ路線の違う先輩を誰が送っていくかじゃんけん!新見は、さっき隣だったんだから遠慮して欲しいのに諦めないので仕方なく三人でじゃんけんした!
白熱した末、香取が勝って大喜びしたが、その時先輩の姿はもうなかった。可哀想がすぎて、思わず気分転換にカラオケでもいくかって誘ったらのってきた。新見には断られたので、二人でカラオケで先輩の話したり歌ったりしながら声ががらがらになるほど楽しんだ。
翌日三人で、先に帰ったことに不満を呈してみたが先輩はちっとも意味がわからないみたいで、仕事には関係ないとばかりに放置された。
俺はあの飲み会以降、酒に酔ってなくても何故か、先輩の犬耳と尻尾が見えるようになった。香取に自慢していたら、新見にすごい勢いで食いつかれて怖かった。
今日は、先輩の服がいつもと雰囲気が違う。上下バッチリ高級ブランドモノ。機嫌は良いのだろう、可愛い尻尾が揺れて耳はぴこぴこしている。あぁ、撫でたいなぁ。……と、眺めていたら、前にいた新見が急に振り返り睨んできた。美形は後ろにも目があるのかな?怖っ!
でも、俺はこの幻覚で会社が二倍は楽しいし、得した気分。後日、香取からも
「俺にも見えるようになった。」
と報告を受け二人で喜んでいるところに、田村部長が来てお仲間だと分かった。部長と香取と三人で犬耳が見えるメンバーで、『豆柴きゅんを愛でる会』作って楽しんでいる。今日は三人定例飲み会。
「今日も豆柴きゅん可愛かった。」
「だなぁ。案件持ってきたときのぶんぶん尻尾と褒めろと言わんばかりの耳。」
「部長は、頭なでなで出来て羨ましすぎる。」
「叱られた時の耳と尻尾シュンも捨てがたい。」
「「わかる!」」
「最近は、見た目アフガンハウンドが恐い。」
「絶対に、背中か頭の後ろにも目がありますってあのアフガン。」
「「わかる。」」
「中身狼が最近漏れてるというか、隠す気なくなったのかね?中身。」
「そういえば例の食事会報告見た?モデルのLUCAちゃんと謎イケメン。」
「あのど派手さ、アフガンの親族ですかね?部長。」
「あ?あれ豆柴きゅんの兄と妹だけどあいつらヤバイから気を付けろよ。」
「だから、あんなに豆柴きゅん可愛いのにアフガンだけしか側に居ないんすね。囚われの姫っぽい。」
「ヤバいやつに認められるやつは更にヤバいから、愛でるだけにしておけ。」
香取と部長の言葉に妙な説得力を感じた。俺たちだけ見えるあれはなんなのか不思議に思いながら、どうか目覚めたら見えなくなってるなんて子とのないように三人で祈るのだった。
END
☆おまけ説明
説明がなくてもお察しかもしれませんが補足
※豆柴きゅん:坂下耀亮
※アフガンハウンド:新見詩音
社内でも話すので、隠語にしていますが耀亮以外にはバレバレ。
犬耳が見える人の条件は、坂下を愛でたい(性的なもの無し)なので新見は、見ることが叶いません。
俺は、香取、新見と一緒に坂下先輩に新人担当についてもらった。よその新人担当も優しい人が多かったみたいだけど、あのカミカミ自己紹介から、坂下先輩はダントツの癒し系で新人から人気があってかなり羨ましがられた。
香取も似たように撫でたい癒し系だと思っていたらしくて意気投合して割りと仲良くなった。新見だけは、にこやかにしているのに美形の迫力みたいなものがあって食い込んで仲良くなることはなかった。
飲み会当日は、堀ごたつ式の半個室。先輩の隣に座りたい!と言うと、全員そうだったのでじゃんけんをした。割りと白熱したが、新見の一人勝ちだった。
残念だったなと香取とアイコンタクトをしながら座る。次点で勝ったから、俺は先輩のお向かいに座れて癒される。
慣れないお酒で、坂下先輩と社長への感謝の気持ちが止まらない。先輩も頬をピンクに染めてグラス両手で持って嬉しそう。何それ可愛い!本当に年上?撫でたい。
テーブルに少し乗り出しぎみに、奥の席から店員を呼び止めた先輩。その口を手で塞ぎながら、新見が店員さんにお茶二種類を二個ずつとデザートを頼む。イケメンは何をやってもサマになる。先輩の口を押さえた手を……なんとなくみつめていると、然り気無く笑った口を隠すくらいの動作だったけど、唇で触れていた。絶対に。
少しテンションの上がっていた先輩の機嫌がみるみる下降して、犬耳を項垂れ尻尾が!下がってる幻覚が見える。可哀想なのに可愛いって反則でしょ?!酔っ払いの幻覚最高。
店員に置かれたお茶は二種類なのに、新見は何も聞かずに先輩の前に緑茶を置いた。不思議に思ったから、確認したけど先輩がいいならいいか。
柚子ソルベを食べながら、俺から見える先輩の耳と尻尾が少し元気を取り戻した。が、すぐにぺしょーっと、なってる。……目を何度ごしごししても見える酔っ払いの不思議。
楽しい時間はあっという間に終わりになり、お開きの時間が来た。
「支払ってくるから、帰ってていいよ。三人とも電車俺と違うし。」
声をかけた先輩が支払いをしている間に、一人だけ路線の違う先輩を誰が送っていくかじゃんけん!新見は、さっき隣だったんだから遠慮して欲しいのに諦めないので仕方なく三人でじゃんけんした!
白熱した末、香取が勝って大喜びしたが、その時先輩の姿はもうなかった。可哀想がすぎて、思わず気分転換にカラオケでもいくかって誘ったらのってきた。新見には断られたので、二人でカラオケで先輩の話したり歌ったりしながら声ががらがらになるほど楽しんだ。
翌日三人で、先に帰ったことに不満を呈してみたが先輩はちっとも意味がわからないみたいで、仕事には関係ないとばかりに放置された。
俺はあの飲み会以降、酒に酔ってなくても何故か、先輩の犬耳と尻尾が見えるようになった。香取に自慢していたら、新見にすごい勢いで食いつかれて怖かった。
今日は、先輩の服がいつもと雰囲気が違う。上下バッチリ高級ブランドモノ。機嫌は良いのだろう、可愛い尻尾が揺れて耳はぴこぴこしている。あぁ、撫でたいなぁ。……と、眺めていたら、前にいた新見が急に振り返り睨んできた。美形は後ろにも目があるのかな?怖っ!
でも、俺はこの幻覚で会社が二倍は楽しいし、得した気分。後日、香取からも
「俺にも見えるようになった。」
と報告を受け二人で喜んでいるところに、田村部長が来てお仲間だと分かった。部長と香取と三人で犬耳が見えるメンバーで、『豆柴きゅんを愛でる会』作って楽しんでいる。今日は三人定例飲み会。
「今日も豆柴きゅん可愛かった。」
「だなぁ。案件持ってきたときのぶんぶん尻尾と褒めろと言わんばかりの耳。」
「部長は、頭なでなで出来て羨ましすぎる。」
「叱られた時の耳と尻尾シュンも捨てがたい。」
「「わかる!」」
「最近は、見た目アフガンハウンドが恐い。」
「絶対に、背中か頭の後ろにも目がありますってあのアフガン。」
「「わかる。」」
「中身狼が最近漏れてるというか、隠す気なくなったのかね?中身。」
「そういえば例の食事会報告見た?モデルのLUCAちゃんと謎イケメン。」
「あのど派手さ、アフガンの親族ですかね?部長。」
「あ?あれ豆柴きゅんの兄と妹だけどあいつらヤバイから気を付けろよ。」
「だから、あんなに豆柴きゅん可愛いのにアフガンだけしか側に居ないんすね。囚われの姫っぽい。」
「ヤバいやつに認められるやつは更にヤバいから、愛でるだけにしておけ。」
香取と部長の言葉に妙な説得力を感じた。俺たちだけ見えるあれはなんなのか不思議に思いながら、どうか目覚めたら見えなくなってるなんて子とのないように三人で祈るのだった。
END
☆おまけ説明
説明がなくてもお察しかもしれませんが補足
※豆柴きゅん:坂下耀亮
※アフガンハウンド:新見詩音
社内でも話すので、隠語にしていますが耀亮以外にはバレバレ。
犬耳が見える人の条件は、坂下を愛でたい(性的なもの無し)なので新見は、見ることが叶いません。
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