73 / 113
第七十三話 殴りあって夕日に向かって走り出すのが定番ですが……
しおりを挟む
「まあ、一番美味いのは、サーロインかフィレだろう」とパークがドラゴンの腹をパンパン、と叩いた。
「ここは、一時休戦ね」とカバ美が言う。
何だよ休戦て。
バーベキューの準備はすごく楽しい。がやがや賑やか。女の子ばかりだから、お肉を斬るのはパークの手刀(足刀)に任せて、ローゼたちは薪を集めて串(枝)や食器(平たい石)を並べていく。
「あれ? エミリアは?」
ローゼが声のするほうを見ると、「セイヤー、セイヤー」とドラゴンを殴る蹴るのやりたい放題。お肉を柔らかくしているらしい。なんて雄々しいことでしょう。
ローゼのもとへ来たエミリア「これで歯無し老人でも啜れますよ」
どんだけジェルってんだよ。ジパングのシャリアピンステーキ超えてんじゃん。
さあ、後はお肉が届くのを待つばかり。ゴリ子が持ってきた丸太に腰を下ろして、ローゼたちの談笑が始まる。
肉を切るパークがよそ見している間に、ゴリ子が棍棒を振りかざして、渾身の力で振りぬく。超殺意。しかも致命打。素人なのにとんでもない。
エミリアが割って入って正拳突き5,6発。こぶしと棍棒ぶつかってはじけ合う。
そこから更に渾身の致命打を撃ち放つゴリ子、それをエミリアが受け止めて力比べ。
それを見たパークが声を荒げた。
「ゴリ子! 何やっているんだ。まさかローゼリッタのことを⁉」
「違うわ」
違うことないだろう?
「……」
表情を歪めるゴリ子は答えない。だが、しばらくパークに問い詰められて観念したのか、恐る恐る口を開く。
「わたし怖かったの。パークが捕られちゃうんじゃないかって。だから、落ちていた小枝で思わず……。でも信じて、少し懲らしめたかっただけなの」
パークは「何だぁ、そうだったのか、可愛いヤツだなコイツー」と、ゴリ子をツンツンする。
「やだー」
赤く染めた頬に両手をあてがい、フリフリホーズ。いやよいやよもしての内。
なんで言いくるめられたの? 結局言い訳内容叩きのめす気違わないじゃん。
振り返ったパーク「そう言うことだ。一回で気が済むって言うんだから、小枝くらい良いだろ?」
いいわけねーだろ! 小枝じゃねーよそれ、思いっきり幹ですよね。一番太い先の方、わたしのふくらはぎより太いんですけど?
「ステーキは叩くと柔らかくなるのよ」ゴリ子にっこり。
爽やかに理由すり替えんなよ。ジェルった肉これ以上どうする気だよ。
「すり替えてなんかいないわ。だってドラゴンの肉のことじゃなんだから」
「落ちてた小枝くらいでビビんなよ」とパークが被せる。
なに信じてんだよ! てかつっこみ一個とばされたよ。思いっきり仕込んでたやつじゃんよ? 落ちてた自然の状態と違いますよね? 想いっきり整形してるじゃないですか? 持ちやすいようにグリップ細くして、打撃力上げるために先太くなってますよね?
「女の子にとって、樹海の中を歩くのはとても大変なのよ? 杖くらい持ってくるわよ」
樹海の中に住んでいるようなゴリラが言うことか!
「でも良い木だな、何の木だ?」と棍棒を高々と振り上げて見上げ、パークが感心する。
「うふっ、アオダモよ♡」
バットの木ですよね? それ、通称バットの木ですよね?
パークの瞳が煌めいた。
「さすがゴリ子。ソフトボール部でホームラン打者だっただけのことあるな」
今、回想で打った球、砲丸でしたよね? 四キロって書いてあったんですけど。 ハードボール明らかじゃんか! ギガハードボールだよ。 しかもそれで破損しない棍棒ってどんなだよ?
ゴリ子振り返る青春の日々。
「中高六年間信じて振るい続けたわたしの相棒。でもこれが最後の一振り思い出作り。わたしの青春完結編」
「わたしの頭花火にする気ですか?」
「ううん、スイカよ」
割る気満々?
「わたしローゼさんと仲良くなりたいのよ。でもわだかまりを無くすためには、“ポコリ”としないと仕切り直せないでしょ?」
“ドグジャリ”の間違いでは?
「素手でも良いのよ?」
良いわけないだろ! 頭吹っ飛んじゃうよ。手のひらだけで頭握りつぶせんだろ?
「アボガドの種くらいしか出来ないわよ」
それ出来れば十分じゃね?
やや押し問答が繰り返されて――。
お疲れ気味のローゼ、「もう、いい加減お肉食べましょうよ」
「そうだな、ローゼの余興にも飽きてきたことだし、いっちょ始めますか」とパークが仕切る。
ヨキョッ(余興)てんのあんたの連れだよ。
控えめで目立たないジュゴ奈が歩み出た。
「わたしが魔法使えるから、火をつけるわ」と言って「危ないから」とみんなを遠ざけて構えた。
『ファイアー』と叫んだ瞬間、方向転換。一瞬の内にローゼ火だるま。
「熱ちアチあち~っ‼‼‼」
対法術耐性のある装備のおかげで死なずに済む。
「チッ、その防具か……」
舌打ち? あんたもですか?
「お肉の焼ける匂いがついちゃうでしょ?」と言って、ジュゴ奈はローゼの防具を脱がせる。
「あー、ありがとう」と言ったローゼが、「お肉ってどっちのお肉?」とノリツッコミする暇もなく、もう一度『ファイアー』
「熱ちアチあち~っ‼‼‼」
ローゼ火だるま。胸の霊石のおかげで焼死は免れた。
「チッ、その霊石か……」とブラックジュゴ奈、後(のち)、即変きらめきジュゴ奈。「失くすと大変だから、その霊石――」
絶対無理。そんなことしたら最終回。
「ここは、一時休戦ね」とカバ美が言う。
何だよ休戦て。
バーベキューの準備はすごく楽しい。がやがや賑やか。女の子ばかりだから、お肉を斬るのはパークの手刀(足刀)に任せて、ローゼたちは薪を集めて串(枝)や食器(平たい石)を並べていく。
「あれ? エミリアは?」
ローゼが声のするほうを見ると、「セイヤー、セイヤー」とドラゴンを殴る蹴るのやりたい放題。お肉を柔らかくしているらしい。なんて雄々しいことでしょう。
ローゼのもとへ来たエミリア「これで歯無し老人でも啜れますよ」
どんだけジェルってんだよ。ジパングのシャリアピンステーキ超えてんじゃん。
さあ、後はお肉が届くのを待つばかり。ゴリ子が持ってきた丸太に腰を下ろして、ローゼたちの談笑が始まる。
肉を切るパークがよそ見している間に、ゴリ子が棍棒を振りかざして、渾身の力で振りぬく。超殺意。しかも致命打。素人なのにとんでもない。
エミリアが割って入って正拳突き5,6発。こぶしと棍棒ぶつかってはじけ合う。
そこから更に渾身の致命打を撃ち放つゴリ子、それをエミリアが受け止めて力比べ。
それを見たパークが声を荒げた。
「ゴリ子! 何やっているんだ。まさかローゼリッタのことを⁉」
「違うわ」
違うことないだろう?
「……」
表情を歪めるゴリ子は答えない。だが、しばらくパークに問い詰められて観念したのか、恐る恐る口を開く。
「わたし怖かったの。パークが捕られちゃうんじゃないかって。だから、落ちていた小枝で思わず……。でも信じて、少し懲らしめたかっただけなの」
パークは「何だぁ、そうだったのか、可愛いヤツだなコイツー」と、ゴリ子をツンツンする。
「やだー」
赤く染めた頬に両手をあてがい、フリフリホーズ。いやよいやよもしての内。
なんで言いくるめられたの? 結局言い訳内容叩きのめす気違わないじゃん。
振り返ったパーク「そう言うことだ。一回で気が済むって言うんだから、小枝くらい良いだろ?」
いいわけねーだろ! 小枝じゃねーよそれ、思いっきり幹ですよね。一番太い先の方、わたしのふくらはぎより太いんですけど?
「ステーキは叩くと柔らかくなるのよ」ゴリ子にっこり。
爽やかに理由すり替えんなよ。ジェルった肉これ以上どうする気だよ。
「すり替えてなんかいないわ。だってドラゴンの肉のことじゃなんだから」
「落ちてた小枝くらいでビビんなよ」とパークが被せる。
なに信じてんだよ! てかつっこみ一個とばされたよ。思いっきり仕込んでたやつじゃんよ? 落ちてた自然の状態と違いますよね? 想いっきり整形してるじゃないですか? 持ちやすいようにグリップ細くして、打撃力上げるために先太くなってますよね?
「女の子にとって、樹海の中を歩くのはとても大変なのよ? 杖くらい持ってくるわよ」
樹海の中に住んでいるようなゴリラが言うことか!
「でも良い木だな、何の木だ?」と棍棒を高々と振り上げて見上げ、パークが感心する。
「うふっ、アオダモよ♡」
バットの木ですよね? それ、通称バットの木ですよね?
パークの瞳が煌めいた。
「さすがゴリ子。ソフトボール部でホームラン打者だっただけのことあるな」
今、回想で打った球、砲丸でしたよね? 四キロって書いてあったんですけど。 ハードボール明らかじゃんか! ギガハードボールだよ。 しかもそれで破損しない棍棒ってどんなだよ?
ゴリ子振り返る青春の日々。
「中高六年間信じて振るい続けたわたしの相棒。でもこれが最後の一振り思い出作り。わたしの青春完結編」
「わたしの頭花火にする気ですか?」
「ううん、スイカよ」
割る気満々?
「わたしローゼさんと仲良くなりたいのよ。でもわだかまりを無くすためには、“ポコリ”としないと仕切り直せないでしょ?」
“ドグジャリ”の間違いでは?
「素手でも良いのよ?」
良いわけないだろ! 頭吹っ飛んじゃうよ。手のひらだけで頭握りつぶせんだろ?
「アボガドの種くらいしか出来ないわよ」
それ出来れば十分じゃね?
やや押し問答が繰り返されて――。
お疲れ気味のローゼ、「もう、いい加減お肉食べましょうよ」
「そうだな、ローゼの余興にも飽きてきたことだし、いっちょ始めますか」とパークが仕切る。
ヨキョッ(余興)てんのあんたの連れだよ。
控えめで目立たないジュゴ奈が歩み出た。
「わたしが魔法使えるから、火をつけるわ」と言って「危ないから」とみんなを遠ざけて構えた。
『ファイアー』と叫んだ瞬間、方向転換。一瞬の内にローゼ火だるま。
「熱ちアチあち~っ‼‼‼」
対法術耐性のある装備のおかげで死なずに済む。
「チッ、その防具か……」
舌打ち? あんたもですか?
「お肉の焼ける匂いがついちゃうでしょ?」と言って、ジュゴ奈はローゼの防具を脱がせる。
「あー、ありがとう」と言ったローゼが、「お肉ってどっちのお肉?」とノリツッコミする暇もなく、もう一度『ファイアー』
「熱ちアチあち~っ‼‼‼」
ローゼ火だるま。胸の霊石のおかげで焼死は免れた。
「チッ、その霊石か……」とブラックジュゴ奈、後(のち)、即変きらめきジュゴ奈。「失くすと大変だから、その霊石――」
絶対無理。そんなことしたら最終回。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

FRIENDS
緒方宗谷
青春
身体障がい者の女子高生 成瀬菜緒が、命を燃やし、一生懸命に生きて、青春を手にするまでの物語。
書籍化を目指しています。(出版申請の制度を利用して)
初版の印税は全て、障がい者を支援するNPO法人に寄付します。
スコアも廃止にならない限り最終話公開日までの分を寄付しますので、
ぜひお気に入り登録をして読んでください。
90万文字を超える長編なので、気長にお付き合いください。
よろしくお願いします。
※この物語はフィクションです。
実在の人物、団体、イベント、地域などとは一切関係ありません。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
我らの輝かしきとき ~拝啓、坂の上から~
華研えねこ
歴史・時代
講和内容の骨子は、以下の通りである。
一、日本の朝鮮半島に於ける優越権を認める。
二、日露両国の軍隊は、鉄道警備隊を除いて満州から撤退する。
三、ロシアは樺太を永久に日本へ譲渡する。
四、ロシアは東清鉄道の内、旅順-長春間の南満洲支線と、付属地の炭鉱の租借権を日本へ譲渡する。
五、ロシアは関東州(旅順・大連を含む遼東半島南端部)の租借権を日本へ譲渡する。
六、ロシアは沿海州沿岸の漁業権を日本人に与える。
そして、1907年7月30日のことである。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる