猫のモモタ

緒方宗谷

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屋久杉の森のお友達

違うこらこそ支え合い

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 モモタは、以前に出会ったヤクサルとヤクジカの関係が気になって、仕方がありません。
 だってサルは、あまりサル以外のお友達と遊ばないからです。
 別に仲が悪い、というわけではありません。
 木の上で遊ぶことの多いお猿さんと、地面で遊ぶことの方が多いお友達たちとでは、おのずと遊び方が変わるからです。
 それなのに、この島のヤクサルとヤクジカは、木の上と地面の上と別々で過ごしているのに、その距離を越えて、とても仲好さ気にしています。
 そこで、モモタは、ヤクサルの家族やヤクジカの家族をいくつか見て回りました。
 別の家族は違うかもしれない、と思ったからです。
 ですが、みんな同じで、仲良くお食事会をしていました。
 それを目の当たりにして、びっくりしているモモタに、ヤクジカの背中に座った、あるヤクサルが言いました。
 「僕たちのおかげで、彼らは実が食べられるんだよ。
  ヤクジカたちは木に上れないからね。
  僕たちがどんちゃん騒ぎをするから、みんな飢えずに済むんだよ。
  木の実を食べない猫から見れば、確かにはしたなく見えるかもしれないけれど、お互いラッキーだよ。
  だって、僕たちは木のみの美味しいところだけをたくさん食べられるし、ヤクジカたちは、甘さが足りないところだけれど、お腹いっぱい食べられるんだから」
 モモタは、そんな考え方には、初めて触れました。でもそれ以上に驚いたことがありました。
 それよりなにより驚いたのは、ヤクジカたちの背中に猿たちが乗っていることでした。
 モモタは言いました。
 「すごい、お馬さんみたい。 
  シカが背中に誰かを乗せるところなんて、初めて見た。こんなことってあるんだねぇ」
 すると、別のヤクサルが答えます。
 「そうさ、僕たちはお互い支え合っているんだ。
  木に登れる僕たちは、ヤクジカの代わりに登ってあげる。
  大きくて平らな背中のシカは、僕たちを背中に乗せてくれるんだ」
 「乗ってどうするの?」
 「お家に帰るのさ」
 そう言ってヤクサルは、ヤクジカと共に、森の中へと消えていきました。







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