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モモタとママと虹の架け橋
第四十話 もったいないオバケも大忙しだね
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太陽はまだ高々と輝いています。おやつ時くらいでしょうか。モモタとキキが、必死に海ガメおばさんに海水をかけ続けています。その横で、アゲハちゃんが気を失っているチュウ太に羽でそよ風を送りながら看病をしていました。
海水を浴びているにもかかわらず、海ガメおばさんはどんどん衰弱していきます。
人を呼びに行きたいのですが、ミケたちが仕返しに戻ってくると大変なので、この場祖動けません。
海ガメおばさんの頭に水をかけたキキが言いました。
「苦しいのが原因じゃないか? 治せなくても苦しさを和らげれば、少しは楽になるかもしれないぞ」
そこでモモタは、においを嗅ぎながら海ガメおばさんの苦しがる原因を探します。キキも慎重に海ガメおばさんを観察しながら、周りを歩き回りました。
モモタは、波打ちぎわを振り向いて考えました。
(もしキキが言っていることがほんとなら、潮が満ちてきても海ガメおばさんは助からないかも。潮が満ちるまでに、苦しい原因を見つけないと)
必死に探しますが、一向に見つかりません。今の今まで“早く潮が満ちてくれれば”と思っていましたが、今度は潮が満ちる前に原因を探らなければならなくなりました。時間に追われるようになって、モモタたちは焦り始めます。
みんなは悩みました。全く原因が分からなかったからです。
アゲハちゃんは、何度も吐気をもよおす海ガメおばさんを見ていて気がつきました。
「分かったわ。喉に何かつっかえているのよ。だから息ができなくて苦しくて弱っているんだわ」
「クラゲじゃないか?」とキキが言いました。
モモタは、クラゲはぷにゅぷにゅしていて、喉に仕えそうにもないかな? と思いましたが、「もしかしたら、塊で飲み込もうとしてつっかえたのかも」と言いました。
キキが、半開きになった海ガメおばさんの口を覗き込みます。
モモタが、右前足を海ガメおばさんの中に入れてみました。モモタが喉仏付近を触ると、海ガメは嘔吐いて苦しみます。口を閉じようとしたので、モモタは慌てて手前足を引っ込めました。大きなくちばしで噛まれては敵いません。
モモタとキキは、どうしようか、と考えあぐねてしまいました。
そこに、ようやく目を覚ましたチュウ太が、よろめきながらも立ち上がり、鈍重になった足を引きずってきて言いました。
「僕が行くよ。僕くらいなら口の中には入れるから」
アゲハちゃんが心配して止めました。
「飲みこまれたらどうするの? やめておきなさいよ」
「大丈夫だよ。体調が悪くて気持ち悪いって言ってるのに、僕を食べたりしないだろ? それに、飲みこまれたら、喉に前足を突っ込んで『げぇ~』ってさせれば、僕は吐き出されてくるはずだよ」
モモタもチュウ太が心配です。
「でも、そんな大怪我で出来ないでしょう?」
「大怪我ほどの怪我じゃないよ。ちょっと爪先で引っ掻かれたただけさ。どっちかって言うと、肉球で叩かれた痛みと走り回った疲れがほとんどさ。
もう大丈夫だから、心配しないで。ちょっと行って見てくるだけさ。僕がお腹の中に入って調べてみるよ」
アゲハちゃんが言いました。
「危ないわ。万が一うんこになったらどうするの?」そう言って「あっ」気がついて訂正します。「万が一になるというか、ならないほうが万が一?」
「あはははは」と笑うチュウ太「笑い事じゃないぞ。僕を勝手にうんこにするなよ」
そう言って、半開きになった海ガメおばさんの口に、身をよじりながら入っていきます。そして、「んじゃ、行ってきまーす」と言って、喉の奥へ行こうと舌の上を這っていきます。
咽喉に差し掛かって喉仏をかき分けると、不意に海ガメおばさんが嘔吐いて口を閉じました。舌と上あごの収縮に押されて、チュウ太が意に反して喉の奥に引きずりこまれていきます。
※※※
しばらくすると、海ガメおばさんの頭が不自然に上下に揺さぶられました。
チュウ太が戻ってきたのだと気がついたモモタが、海ガメおばさんのくちばしに爪を立ててカリカリと引っ掻きました。
何とか口を開いた海ガメおばさんから、チュウ太が這い出してきます。そして、何やら白い物を引っ張り出そうとしています。見ると、ビニール袋でした。
みんなで「おーえす、おーえす」と掛け声をかけて、引っ張り出します。
キキが水汲みに使っていたのとは違うお店のコンビニ袋でした。
チュウ太の身に、何やら細かい白い雪のような屑がついています。
アゲハちゃんが、身をはたいたり砂の上で体をよじったりしているチュウ太に訊きました。
「何それ?」
「分かんない。これだけじゃなかったよ。お腹の中には、細かい白い粉もたくさんあったよ」
そう言いながらチュウ太は、胃の中でかき集めて袋に入れてきた中の物をみんなに見せました。マイクロプラスチックでいっぱいです。
キキが言いました。
「細かい袋のきれっぱしじゃないか?」
チュウ太が、クタクタとへたり込んで言いました。
「僕のお家がある人間のお家もそうだけど、なんかたくさん捨てるんだよな。食べれる物だってたくさんあるし、集めれば身を隠すお家や基地になりそうなのもたくさんあるよ。
おもちゃにだってできそうでもったいない」
アゲハちゃんが頷きます。
「ほんとよね。山間の集落でもたくさん捨てていたわね。フルーツ缶詰なんて、とても甘い香りがしたわよ。なんてあんな宝物捨てられるのかしら」
モモタが、「あれは、もともと中に果物が入っていたんだよ。それを食べて捨てるの。でも、まだ舐めればおいしいのに捨てるなんてもったいないよね。魚だって頭としっぽと骨は捨ててしまうし。お腹なんて栄養満点なのに」
チュウ太が呆れて言いました。
「僕たちはうんちしか捨てるものがないってのにな」
「あら、ウンチだって役に立っているわよ」とアゲハちゃん。「だって、ハエやうんち虫がごはんにするもの」
「ああ、そうか。そう言えば、僕たちのうんちもゴキちゃんがごはんにしてたっけな」
みんなして、“人間は変な生き物だなぁ”と思いました。
本当、迷惑なゴミですねー。
海水を浴びているにもかかわらず、海ガメおばさんはどんどん衰弱していきます。
人を呼びに行きたいのですが、ミケたちが仕返しに戻ってくると大変なので、この場祖動けません。
海ガメおばさんの頭に水をかけたキキが言いました。
「苦しいのが原因じゃないか? 治せなくても苦しさを和らげれば、少しは楽になるかもしれないぞ」
そこでモモタは、においを嗅ぎながら海ガメおばさんの苦しがる原因を探します。キキも慎重に海ガメおばさんを観察しながら、周りを歩き回りました。
モモタは、波打ちぎわを振り向いて考えました。
(もしキキが言っていることがほんとなら、潮が満ちてきても海ガメおばさんは助からないかも。潮が満ちるまでに、苦しい原因を見つけないと)
必死に探しますが、一向に見つかりません。今の今まで“早く潮が満ちてくれれば”と思っていましたが、今度は潮が満ちる前に原因を探らなければならなくなりました。時間に追われるようになって、モモタたちは焦り始めます。
みんなは悩みました。全く原因が分からなかったからです。
アゲハちゃんは、何度も吐気をもよおす海ガメおばさんを見ていて気がつきました。
「分かったわ。喉に何かつっかえているのよ。だから息ができなくて苦しくて弱っているんだわ」
「クラゲじゃないか?」とキキが言いました。
モモタは、クラゲはぷにゅぷにゅしていて、喉に仕えそうにもないかな? と思いましたが、「もしかしたら、塊で飲み込もうとしてつっかえたのかも」と言いました。
キキが、半開きになった海ガメおばさんの口を覗き込みます。
モモタが、右前足を海ガメおばさんの中に入れてみました。モモタが喉仏付近を触ると、海ガメは嘔吐いて苦しみます。口を閉じようとしたので、モモタは慌てて手前足を引っ込めました。大きなくちばしで噛まれては敵いません。
モモタとキキは、どうしようか、と考えあぐねてしまいました。
そこに、ようやく目を覚ましたチュウ太が、よろめきながらも立ち上がり、鈍重になった足を引きずってきて言いました。
「僕が行くよ。僕くらいなら口の中には入れるから」
アゲハちゃんが心配して止めました。
「飲みこまれたらどうするの? やめておきなさいよ」
「大丈夫だよ。体調が悪くて気持ち悪いって言ってるのに、僕を食べたりしないだろ? それに、飲みこまれたら、喉に前足を突っ込んで『げぇ~』ってさせれば、僕は吐き出されてくるはずだよ」
モモタもチュウ太が心配です。
「でも、そんな大怪我で出来ないでしょう?」
「大怪我ほどの怪我じゃないよ。ちょっと爪先で引っ掻かれたただけさ。どっちかって言うと、肉球で叩かれた痛みと走り回った疲れがほとんどさ。
もう大丈夫だから、心配しないで。ちょっと行って見てくるだけさ。僕がお腹の中に入って調べてみるよ」
アゲハちゃんが言いました。
「危ないわ。万が一うんこになったらどうするの?」そう言って「あっ」気がついて訂正します。「万が一になるというか、ならないほうが万が一?」
「あはははは」と笑うチュウ太「笑い事じゃないぞ。僕を勝手にうんこにするなよ」
そう言って、半開きになった海ガメおばさんの口に、身をよじりながら入っていきます。そして、「んじゃ、行ってきまーす」と言って、喉の奥へ行こうと舌の上を這っていきます。
咽喉に差し掛かって喉仏をかき分けると、不意に海ガメおばさんが嘔吐いて口を閉じました。舌と上あごの収縮に押されて、チュウ太が意に反して喉の奥に引きずりこまれていきます。
※※※
しばらくすると、海ガメおばさんの頭が不自然に上下に揺さぶられました。
チュウ太が戻ってきたのだと気がついたモモタが、海ガメおばさんのくちばしに爪を立ててカリカリと引っ掻きました。
何とか口を開いた海ガメおばさんから、チュウ太が這い出してきます。そして、何やら白い物を引っ張り出そうとしています。見ると、ビニール袋でした。
みんなで「おーえす、おーえす」と掛け声をかけて、引っ張り出します。
キキが水汲みに使っていたのとは違うお店のコンビニ袋でした。
チュウ太の身に、何やら細かい白い雪のような屑がついています。
アゲハちゃんが、身をはたいたり砂の上で体をよじったりしているチュウ太に訊きました。
「何それ?」
「分かんない。これだけじゃなかったよ。お腹の中には、細かい白い粉もたくさんあったよ」
そう言いながらチュウ太は、胃の中でかき集めて袋に入れてきた中の物をみんなに見せました。マイクロプラスチックでいっぱいです。
キキが言いました。
「細かい袋のきれっぱしじゃないか?」
チュウ太が、クタクタとへたり込んで言いました。
「僕のお家がある人間のお家もそうだけど、なんかたくさん捨てるんだよな。食べれる物だってたくさんあるし、集めれば身を隠すお家や基地になりそうなのもたくさんあるよ。
おもちゃにだってできそうでもったいない」
アゲハちゃんが頷きます。
「ほんとよね。山間の集落でもたくさん捨てていたわね。フルーツ缶詰なんて、とても甘い香りがしたわよ。なんてあんな宝物捨てられるのかしら」
モモタが、「あれは、もともと中に果物が入っていたんだよ。それを食べて捨てるの。でも、まだ舐めればおいしいのに捨てるなんてもったいないよね。魚だって頭としっぽと骨は捨ててしまうし。お腹なんて栄養満点なのに」
チュウ太が呆れて言いました。
「僕たちはうんちしか捨てるものがないってのにな」
「あら、ウンチだって役に立っているわよ」とアゲハちゃん。「だって、ハエやうんち虫がごはんにするもの」
「ああ、そうか。そう言えば、僕たちのうんちもゴキちゃんがごはんにしてたっけな」
みんなして、“人間は変な生き物だなぁ”と思いました。
本当、迷惑なゴミですねー。
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