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モモタとママと虹の架け橋
第十七話 ぽっちキャンプ
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閑静な一、二階建ての建物が立ち並ぶ一角にやってきました。お魚屋さんがあった町の中心も静かな街並みでしたが、ここはもっと静かです。
家並みからは、人の気配はあまり感じられません。たぶん、みんなお出かけしているのでしょう。
白黒猫に教えてもらった青いトタン屋根の二階建てアパートに辿り着きました。ですが、中に入れそうもありません。中を覗こうとしますが、一階はどの部屋もシャッターやカーテンが閉まっています。二階へ行くには正面の階段しかありませんでしたから、ベランダ側には行けませんでした。
モモタが提案しました。
「一つ一つのお部屋の前で、みんなで叫んでみようよ」
「そうだな」とキキ。「二階は、僕と(鷹掴みされた)チュウ太とアゲハちゃんで回るよ」
足の指のストレッチをしたキキを見て、チュウ太が言いました。
「背中に乗るよ。それか足にしがみつくから」
「落ちたらどうするのさ」とキキが心配します。「僕の爪なら、捕まえた獲物は二度と放さないよ」
「獲物って何? 獲物って何?」と、チュウ太が狼狽します。
「冗談だって」とキキ、真剣な眼差し。まあ、美味しそうに見えるのは仕方ありません。
幸い最初に「ミゾゴイさーん、あーそーぼー」と声をかけたお部屋から、「いーいーよー」と返事が返ってきました。
モモタたちは、カーテンの隙間から中を窺おうとしますが、レースのカーテンも締まっていたので、中はよく見えません。
ですが、ガシャガシャ、と鳥かごの中で鳥が暴れているような音がします。「グゲー、グゲー」と、ミゾゴイ独特の鳴き声も聞こえてきました。
「助けてー、助けてー」と叫んでいます。
みんなは確信しました。ミゾゴイは捕まって閉じ込められているのだ、と。
モモタは、前足の肉球を使って窓をちょいちょいしますが、全く開きません。表に回ってドアのノブに飛びついてみましたが、こちらもやっぱり開きません。
キキが共用廊下の曇りガラスの窓に向かって斜めに体当たりをしますが、開かないようです。
残念そうに自分を見るモモタたちを視界の隅でとらえたキキは、考えました。
(何でそんな目で見るんだよ。この僕がこれであきらめるわけないだろう)
だってキキは空の王者。“やっぱり無理でした”なんて言えません。
そこで、今度は窓ガラスを割る勢いで体当たり。怪我したらどうしようって思って、とっても怖かったけれど、ガラスの破片なんかに怯えるわけにはいきません。だって、自分の爪の方が鋭いのです。どんな獣王よりも鋭い爪を持つ空の王者だと見せつけてやるのです。
体当たりした瞬間、とても大きな音がして、キキは廊下に落ちました。ですが、ガラスは割れません。
心配したモモタたちが駆け寄ってきました。とっても痛かったのですが、そこは痛くないふりです。キキは言いました。
「こんなにやっても割れないのかぁ、人間のお家は頑丈だな」
しばらくして、モモタたちはお腹がすいてきました。
「モモタぁ」とチュウ太が情けない声を出します。「モモタは旅行の時、ごはんはどうしていたんだい? 僕は、こんな遠出をするのは初めてだから、どうしていいか分からないよ」
それを聞いたキキが言いました。
「そうだな。僕は、山まで一っ飛びだし、アゲハちゃんは庭の花の蜜を分けてもえればなんとかなるけれど、飛べないモモタとチュウ太は一大事だぞ。向こうにヒマワリが残っていたから、チュウ太は大丈夫かもしれないけど、モモタはどうするんだ?」
「僕は、いつも猫好きの人にすり寄っておねだりするの。甘えん坊になると、とても優しくしてもらえるんだ」
アゲハちゃんがニッコリとしました。
「あは、モモちゃんにはうってつけね。可愛いもの」
モモタは、塀の上を歩いて近所のお家を散策しました。すると、とても可愛くて優しそうで、ちょっと鼻にかかった女の子の声がしてきました。
モモタが窓から部屋を覗くと、長い黒髪をポニーテールにしたお姉さんが、漫画を読んで笑っています。薄い青と薄オレンジと白のノースリーブのシャツに、青いホットパンツ姿で、アイスキャンディーをなめていました。
あのとても可愛いお姉さんは猫好きに違いない、とモモタはお庭を駆けていって、ベランダに飛んで入りました。
窓をつつきながら「にゃあにゃあ」鳴いてみると、すぐに窓を開けてくれたお姉さんが、モモタを撫でて言いました。
「きゃあ可愛い。どうちたんでちゅかぁ? お腹ペコペコなんでちゅかぁ? あはははは」
猫好きに間違いありません。モモタと書かれた首輪を見たお姉さんに抱き上げられたモモタは、そのままお部屋にあげてもらって、シーチキンにおかかをかけたおやつをもらいました。このまま、ちょっと早いお夕食にお呼ばれしてもらえそうです。
それを見届けたアゲハちゃんは、このアパートのお庭に住む虫たちに頼んで、ツツジの蜜をいただきました。
キキは、チュウ太をヒマワリが咲いているお庭まで連れていってあげた後、そばの山に飛んでいきます。
みんなはそれぞれお気に入りの場所を見つけて、一夜を過ごしました。
家並みからは、人の気配はあまり感じられません。たぶん、みんなお出かけしているのでしょう。
白黒猫に教えてもらった青いトタン屋根の二階建てアパートに辿り着きました。ですが、中に入れそうもありません。中を覗こうとしますが、一階はどの部屋もシャッターやカーテンが閉まっています。二階へ行くには正面の階段しかありませんでしたから、ベランダ側には行けませんでした。
モモタが提案しました。
「一つ一つのお部屋の前で、みんなで叫んでみようよ」
「そうだな」とキキ。「二階は、僕と(鷹掴みされた)チュウ太とアゲハちゃんで回るよ」
足の指のストレッチをしたキキを見て、チュウ太が言いました。
「背中に乗るよ。それか足にしがみつくから」
「落ちたらどうするのさ」とキキが心配します。「僕の爪なら、捕まえた獲物は二度と放さないよ」
「獲物って何? 獲物って何?」と、チュウ太が狼狽します。
「冗談だって」とキキ、真剣な眼差し。まあ、美味しそうに見えるのは仕方ありません。
幸い最初に「ミゾゴイさーん、あーそーぼー」と声をかけたお部屋から、「いーいーよー」と返事が返ってきました。
モモタたちは、カーテンの隙間から中を窺おうとしますが、レースのカーテンも締まっていたので、中はよく見えません。
ですが、ガシャガシャ、と鳥かごの中で鳥が暴れているような音がします。「グゲー、グゲー」と、ミゾゴイ独特の鳴き声も聞こえてきました。
「助けてー、助けてー」と叫んでいます。
みんなは確信しました。ミゾゴイは捕まって閉じ込められているのだ、と。
モモタは、前足の肉球を使って窓をちょいちょいしますが、全く開きません。表に回ってドアのノブに飛びついてみましたが、こちらもやっぱり開きません。
キキが共用廊下の曇りガラスの窓に向かって斜めに体当たりをしますが、開かないようです。
残念そうに自分を見るモモタたちを視界の隅でとらえたキキは、考えました。
(何でそんな目で見るんだよ。この僕がこれであきらめるわけないだろう)
だってキキは空の王者。“やっぱり無理でした”なんて言えません。
そこで、今度は窓ガラスを割る勢いで体当たり。怪我したらどうしようって思って、とっても怖かったけれど、ガラスの破片なんかに怯えるわけにはいきません。だって、自分の爪の方が鋭いのです。どんな獣王よりも鋭い爪を持つ空の王者だと見せつけてやるのです。
体当たりした瞬間、とても大きな音がして、キキは廊下に落ちました。ですが、ガラスは割れません。
心配したモモタたちが駆け寄ってきました。とっても痛かったのですが、そこは痛くないふりです。キキは言いました。
「こんなにやっても割れないのかぁ、人間のお家は頑丈だな」
しばらくして、モモタたちはお腹がすいてきました。
「モモタぁ」とチュウ太が情けない声を出します。「モモタは旅行の時、ごはんはどうしていたんだい? 僕は、こんな遠出をするのは初めてだから、どうしていいか分からないよ」
それを聞いたキキが言いました。
「そうだな。僕は、山まで一っ飛びだし、アゲハちゃんは庭の花の蜜を分けてもえればなんとかなるけれど、飛べないモモタとチュウ太は一大事だぞ。向こうにヒマワリが残っていたから、チュウ太は大丈夫かもしれないけど、モモタはどうするんだ?」
「僕は、いつも猫好きの人にすり寄っておねだりするの。甘えん坊になると、とても優しくしてもらえるんだ」
アゲハちゃんがニッコリとしました。
「あは、モモちゃんにはうってつけね。可愛いもの」
モモタは、塀の上を歩いて近所のお家を散策しました。すると、とても可愛くて優しそうで、ちょっと鼻にかかった女の子の声がしてきました。
モモタが窓から部屋を覗くと、長い黒髪をポニーテールにしたお姉さんが、漫画を読んで笑っています。薄い青と薄オレンジと白のノースリーブのシャツに、青いホットパンツ姿で、アイスキャンディーをなめていました。
あのとても可愛いお姉さんは猫好きに違いない、とモモタはお庭を駆けていって、ベランダに飛んで入りました。
窓をつつきながら「にゃあにゃあ」鳴いてみると、すぐに窓を開けてくれたお姉さんが、モモタを撫でて言いました。
「きゃあ可愛い。どうちたんでちゅかぁ? お腹ペコペコなんでちゅかぁ? あはははは」
猫好きに間違いありません。モモタと書かれた首輪を見たお姉さんに抱き上げられたモモタは、そのままお部屋にあげてもらって、シーチキンにおかかをかけたおやつをもらいました。このまま、ちょっと早いお夕食にお呼ばれしてもらえそうです。
それを見届けたアゲハちゃんは、このアパートのお庭に住む虫たちに頼んで、ツツジの蜜をいただきました。
キキは、チュウ太をヒマワリが咲いているお庭まで連れていってあげた後、そばの山に飛んでいきます。
みんなはそれぞれお気に入りの場所を見つけて、一夜を過ごしました。
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