猫のモモタ

緒方宗谷

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寂しがりやなウサギの話

心は底無しブラックホール

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 ウサギは、来る日も来る日も1羽ぽっちで過ごしていました。
 「変だよね」ウサギは1羽言を言いました。「鳥じゃないのに羽って数えるの」
 空を見上げます。何羽か鳥が飛んでいました。それを目で追って続けます。
 「飛び跳ねるっていうけれど、飛んでない。ただ跳ねているだけ。
  あーあ、本当に飛んでいけたら、お友達の所に飛んでいくのにな」
 ごはんを探すふりをしてやって来たウサギのもとに、カウボーイハウスから、たくさんでワイワイがやがや楽しむ声が聞こえてきます。
 「なんだいっ、僕1羽ぽっちなのに。
  こんなにさびしい思いしているのに」ウサギは、紙を破るように言いました。
 だいぶ離れていたところをシズリシズリ、と近寄ってきたキツネが言いました。
 「なんだ、お前寂しいのか」そう言って舌なめずりすると、続けて「俺が仲良くしてやるよ。
  さあ、こっちへおいで。食べてあげるから」、と言います。
 ウサギは、「ふん」と鼻を鳴らして答えました。
 「キツネなんか羨ましくないやい。
  イタチなんか羨ましくないやい。
  モモタのことだって羨ましくないやい」
 キツネが笑います。
 「そうは言っても、この辺りにはおんなじウサギは住んでいないだろう?
  みんな俺が食べてしまったからな。
  お前だって俺に食べられれば、お腹の中でみんなと仲良くできるんだぜ」
 「うっさい(うるさい)、うっさい、キツネは1匹じゃない。
  いくらウサギを食べても1匹じゃない」
 「ああ、でもお腹の中はたくさんだぜ。
  お前つらいんだろう?救ってやろうって言っているんだ。
  食べられてしまえば、1羽ぽっちの苦しみから解放されるんだ」
 ウサギは周りを見渡しました。
 とても怖くて助けを呼びましたが、誰も助けてくれません。
 木の上のどこかには、フクロウがいるはずですし、どこからかタカの鳴き声も聞こえています。でも助けてくれません。
 ウサギは悲しくなりました。涙が出てきます。
 「みんな僕のことを食べようとするばかりで、遊んでくれない」
 「俺が遊んであげようって言っているんだ」
 「一方的だよ。そっちが楽しいだけじゃないか。
  遊んでもらっていないよ。
  遊ばれているんだよ」
 「それが、違う動物同士の遊びじゃないか」
 「そんなことないよ。
  猫のモモタは、ビークルたちと仲良いもん」
 いつの間にかイタチもやって来て、ウサギを狙っています。
 絶体絶命でした。
 ウサギは、「もうこんな生活いやだ!」そう言って走り出しました。
 それと同時にキツネとイタチも走り出します。
 このウサギの足なら、2匹から逃れることなど造作もありません。
 「もういいよ!食べられたってもういいよ」
 足は逃げているのに、心は何もかもを諦めていました。



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