猫のモモタ

緒方宗谷

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おせっかいな蜜蜂の話

目的一緒でやることバラバラ

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 頑張っているみっちゃんを、陰でけなしている2匹の蜂がいました。
 頑張っているみっちゃんに対して何て言い草なんだろう、と思ったモモタは言いました。
 「じゃあ、君たちがみっちゃんの代わりをしたらどう? 
  みっちゃんよりも力持ちそうだし、早く飛べそうだし、自分の仕事をこなしながら、しなくていい仕事もこなせるんだから、仕事もはかどるんじゃない?」
 2匹の働き蜂は顔を見合わせた後笑います。
 若い働き蜂が言いました。
 「え~?面倒くさいじゃない。
  僕女王様じゃないんだから。
  そんなの女王様に任せておこうよ。
  だってお家は女王様の物なんだからさぁ」
 「そうだよ」と年長さん。「やりたいやつに任せておけばいいんだよ。
   もらえる蜜はおんなじなんだからさ」
 とてもサボっているように見える2匹でしたが、そこそこ働いているようです。
 モモタが見ていると、若い働き蜂は、ちょうど咲きそうなつぼみを見回っては、咲き頃がいつか調べていました。
 とっても大事なお仕事です。
 だって蜜をなめる蜂は、蜜蜂だけではありませんから。
 虎丸だって黒丸だって、足長蜂だって蜜をなめるのです。
 他にも蝶々や色々な虫たちも蜜を好んで舐めるのですから、新しくて蜜をたっぷり湛えたお花の一番乗りは、早い者勝ち。
 目立たないお仕事ですが、こんな働き蜂がたくさんいるから、どんな蜂よりも蜜をたくさん集められるのでしょう。
 年長さんは、自分たちを襲うような熊やスズメバチがやってこないか警戒しています。
 とても危険なお仕事でした。
 まっさきに捕まって食べられてしまうかもしれません。
 だけれども、彼らのようなお仕事を引き受けてくれる蜂がいなければ、たちまちの内に蜜蜂の巣は襲われてしまうかもしれません。
 蜜蜂は丸々していて、いつも栄養満点の花粉を足につけていましたから、お団子にして食べると美味しいらしいのです。
 もちろんモモタは食べたことはありませんでしたが、スズメバチがそう言っていました。
 それは熊にとっても同じでしょう。
 クマは蜜蜂のみならず、巣ごと蜜も食べてしまいます。
 そんなことをされては、蜜蜂一家は全滅してしまいます。
 そうです。働かない蜂見えていた彼らは目立たないだけで、とても重要なお仕事を担当していたのでした。
 だけれども、花が咲きそうだとか、クマが来ただとかがないと、普段はフラフラしているように見えるのです。
 みっちゃんが手も口も出さないお仕事をしていたのでした。
 誰かにああだこうだ、と言えるお仕事ではありません。
 ですから、言いたがりのみっちゃんは、やろうとしないのかもしれません。
 出来なくてもやる子と出来てもやらない子、見えていないものがあるのは、おんなじじゃない?
 そう思うモモタでした。

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