335 / 502
体験主義のカルガモの話
出来ないからやらないんじゃない、やらないから出来ないんだ
しおりを挟む
モモタは、朝から山の中で遊んでいました。
お腹が空いたので、お昼ごはんを食べるために町へ戻ろうと、沢のそばの土手を川上に向かって歩いている時のことでした。
何やら、「ママー、ママー」と聞き覚えのある声が聞こえてきます。
モモタが見ると、川上の方からカルガモ親子が流れてきました。
浅い川でしたが幅があって、ちょっと流れが急な川です。
石が沢山落ちていましたから、流れがぶつかって、所々で、小さな渦を巻いていました。
モモタが、急な土手からみんなを見やります。
「ひい、ふう、みい、よう・・・一羽足りないっ」
モモタはびっくりしました。一番下のヒナがいなかったのです。
しばらくその場にとどまって、ヒナが来るのを待ちましたが、一向にやって来ません。
モモタは、お腹が空いていることも忘れて、土手の上からヒナを探しながら、町へと返りました。
すると、ママたちと一緒にいなかった五番目の赤ちゃんは、ため池に1羽でいました。
ホッとしたモモタは、急にお腹が空いていることを思い出して、お世話になっている人間のお家に帰って、ごはんを食べました。
しばらくしてモモタが日向ぼっこしに戻ってくると、五番目の赤ちゃんは、何やら陸に上がってはため池に飛び込み、陸に上がってはため池に飛び込み、を繰り返しています。
そこに、飼い猫のみーちゃんがやって来て言いました。
「あの子、ママとはぐれちゃったのね。
毎年、あのカルガモのお母さんは、ヒナたちが育ってくると、山の方にお引越しするのよ」
モモタは訊きました。
「あのヒナはどうなっちゃうんだろう?ママはお迎えに来るのかなぁ?」
「どうかしら、美味しそうだから、沢山のお友達が狙っているでしょうね。
もしかしたら、コイも弱るのを待っているんじゃないかしら」
どうもヒナは、自分を狙う誰かの視線から逃げるために、上がった陸からため池に飛び込んでいるようでした。
モモタは言いました。
「一番下の弟と言っても、一番お兄ちゃんとおんなじ大きさでしょう?
ならもう少し待てば大きくなって、一羽でもお引越しできるんじゃないかなぁ?
だって毎年、みんなちゃんとお引越ししているんだもの」
すると、みーちゃんがケラケラ笑います。
「えー?まさかー。だって、ぴよぴよママのあとを追いかけているしか出来ない赤ちゃんよ。
今だって、せっかく坂を上ってきたのにまたため池に落ちて、逆さでほらもがいているじゃない」
ミーちゃんは、五番目の赤ちゃんが何もできないから、上っては落ちてを繰り返している、と思っている様子です。
ですが、モモタには違って見えました。モモタには、あのカルガモ赤ちゃんが一生懸命前進しているように見えました。
お腹が空いたので、お昼ごはんを食べるために町へ戻ろうと、沢のそばの土手を川上に向かって歩いている時のことでした。
何やら、「ママー、ママー」と聞き覚えのある声が聞こえてきます。
モモタが見ると、川上の方からカルガモ親子が流れてきました。
浅い川でしたが幅があって、ちょっと流れが急な川です。
石が沢山落ちていましたから、流れがぶつかって、所々で、小さな渦を巻いていました。
モモタが、急な土手からみんなを見やります。
「ひい、ふう、みい、よう・・・一羽足りないっ」
モモタはびっくりしました。一番下のヒナがいなかったのです。
しばらくその場にとどまって、ヒナが来るのを待ちましたが、一向にやって来ません。
モモタは、お腹が空いていることも忘れて、土手の上からヒナを探しながら、町へと返りました。
すると、ママたちと一緒にいなかった五番目の赤ちゃんは、ため池に1羽でいました。
ホッとしたモモタは、急にお腹が空いていることを思い出して、お世話になっている人間のお家に帰って、ごはんを食べました。
しばらくしてモモタが日向ぼっこしに戻ってくると、五番目の赤ちゃんは、何やら陸に上がってはため池に飛び込み、陸に上がってはため池に飛び込み、を繰り返しています。
そこに、飼い猫のみーちゃんがやって来て言いました。
「あの子、ママとはぐれちゃったのね。
毎年、あのカルガモのお母さんは、ヒナたちが育ってくると、山の方にお引越しするのよ」
モモタは訊きました。
「あのヒナはどうなっちゃうんだろう?ママはお迎えに来るのかなぁ?」
「どうかしら、美味しそうだから、沢山のお友達が狙っているでしょうね。
もしかしたら、コイも弱るのを待っているんじゃないかしら」
どうもヒナは、自分を狙う誰かの視線から逃げるために、上がった陸からため池に飛び込んでいるようでした。
モモタは言いました。
「一番下の弟と言っても、一番お兄ちゃんとおんなじ大きさでしょう?
ならもう少し待てば大きくなって、一羽でもお引越しできるんじゃないかなぁ?
だって毎年、みんなちゃんとお引越ししているんだもの」
すると、みーちゃんがケラケラ笑います。
「えー?まさかー。だって、ぴよぴよママのあとを追いかけているしか出来ない赤ちゃんよ。
今だって、せっかく坂を上ってきたのにまたため池に落ちて、逆さでほらもがいているじゃない」
ミーちゃんは、五番目の赤ちゃんが何もできないから、上っては落ちてを繰り返している、と思っている様子です。
ですが、モモタには違って見えました。モモタには、あのカルガモ赤ちゃんが一生懸命前進しているように見えました。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
子猫マムと雲の都
杉 孝子
児童書・童話
マムが住んでいる世界では、雨が振らなくなったせいで野菜や植物が日照り続きで枯れ始めた。困り果てる人々を見てマムは何とかしたいと思います。
マムがグリムに相談したところ、雨を降らせるには雲の上の世界へ行き、雨の精霊たちにお願いするしかないと聞かされます。雲の都に行くためには空を飛ぶ力が必要だと知り、魔法の羽を持っている鷹のタカコ婆さんを訪ねて一行は冒険の旅に出る。
フラワーキャッチャー
東山未怜
児童書・童話
春、中学1年生の恵梨は登校中、車に轢かれそうになったところを転校生・咲也(さくや)に突き飛ばされて助けられる。
実は咲也は花が絶滅した魔法界に花を甦らせるため、人の心に咲く花を集めに人間界にやってきた、「フラワーキャッチャー」だった。
けれど助けられたときに、咲也の力は恵梨に移ってしまった。
これからは恵梨が咲也の代わりに、人の心の花を集めることが使命だと告げられる。
恵梨は魔法のペンダントを預けられ、戸惑いながらもフラワーキャッチャーとしてがんばりはじめる。
お目付け役のハチドリ・ブルーベルと、ケンカしつつも共に行動しながら。
クラスメートの女子・真希は、恵梨の親友だったものの、なぜか小学4年生のあるときから恵梨に冷たくなった。さらには、咲也と親しげな恵梨をライバル視する。
合唱祭のピアノ伴奏に決まった恵梨の友人・奏子(そうこ)は、飼い猫が死んだ悲しみからピアノが弾けなくなってしまって……。
児童向けのドキワクな現代ファンタジーを、お楽しみいただけたら♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる