猫のモモタ

緒方宗谷

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ママになったパパの話

命の力は元気いっぱい

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 あるお家から、赤ちゃんの泣き声が響いていました。
 モモタが言ってみると、ベビーベッドに寝かされた可愛い人間の男の赤ちゃんが、泣いています。
 見ると、お父さんがせわしなく行ったり来たり。ミルクの準備をしている様子です。
 とても可愛い赤ちゃんだったので、モモタは遊びにいってみることにしました。
 モモタを見た赤ちゃんは泣きやみ、「だぁだぁ」と笑顔を見せて、モモタとじゃれ合います。
 そこにお父さんがやって来たので、モモタはお外に出て、お父さんが赤ちゃんにミルクをあげる様子を見ていました。
 モモタは、お父さんが赤ちゃんから離れるたびに、赤ちゃんのところに行って遊びました。
 赤ちゃんのところに遊びに通うようになってからしばらくして、モモタは気がつきました。
 お母さんがいません。
 人間は、夫婦で赤ちゃんのお世話をするか、お家にいる方がお世話をします。
 ですから初めは、お母さんはお外で働いている、と思っていたのですが、どうも違うようです。
 モモタは気がつきました。
 お母さんは、既に死んでしまっているようです。
 小さなお仏壇があって、綺麗な女の人の写真が飾ってあったのを見つけたからです。
 お父さんは、毎日一生懸命でした。
 朝早く起きて、お部屋のお掃除をして、自分のご飯を作って食べて、赤ちゃんが泣くと、ミルクをあげたり、おしめをかえたり、抱っこしてあやしたりと大忙しです。
 「ほんぎゃぁ、ほんぎゃぁ」赤ちゃんが泣いています。
 お父さんがあやします。
 「おっぱいでちゅかぁ?
  それともおちっこでちゅかぁ?」
 お父さんは、哺乳瓶をくわえさせたり、おしめを開いてみたり、赤ちゃんが泣くたびに、悪戦苦闘していました。
 それなのにお父さんは、とっても楽しそう。
 夜にはグッタリしてすぐに眠ってしまうのに、朝には元気いっぱいで、赤ちゃんのお世話をしています。
 お父さんは、自分のことなんてそっちのけ。モモタは感心しました。
 だって動物のお友達は、大抵お母さんだけで子育てをするからです。
 お父さんは、イクメンと言うやつです。
 モモタは思いました。
 人間のお父さんってすごいんだなぁ。



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