271 / 502
寂しがりやなウサギの話
寂しいと、痛いのだって求めちゃう
しおりを挟む
「助けてー!助けてー!」
樹海の中に、ウサギの声が響き渡りました。
必死に逃げるうさぎの声の後ろから、「ワンワンワンワン」と、ビーグル犬たちの声も響きます。
間一髪で逃れたウサギは、荒れた息を整えながら、木の上にいたモモタに声をかけました。
「あーびっくりしたなーもー。
いつも犬に追いかけられて困っちゃうなー。
僕ってほら、きれいな白い毛皮に包まれていて、可愛いだろ?
大きさもちょうどいいじゃん、抱きしめたくなっちゃう。
温もり求めてみんながよって来るんだ。
それにとても美味しそうだし、どうしても捕まえちゃいたくなるんだよね。
でも僕、そんな安っぽくないだ。
ごはんにされるなんてまっぴらごめんさ。
あーやだやだ、人気者はつらいなぁー」
モモタは言いました。
「僕たち可愛いから、人間はみんな抱っこしたくなるんだ。
1匹で日向ぼっこしていたい時もお構いなしに。
犬だってすごい勢いでしっぽを振って『遊んで~』って走ってくるよ」
「ふーん、君、追っかけがいるようには見えないけどね。
耳も短いし、美味しくもなさそうだし」
遠くでビーグルたちの声が聞こえます。まだうさぎを探し回っているようでした。
このウサギは、よくこの辺りにきては、「ごはんはないかなぁ、美味しいごはんはないかなぁ」と独り言を言いながら、ぴょこぴょこ歩いているので、お肉大好きっ子からしたら、良い獲物です。
だからモモタは言いました。
「あんまりこっちに来ない方がいいよ。だってカウボーイハウスがあるもの。
すぐに見つかってまた追いかけられてしまうよ」
「うん、そうなんだけどね、こっちの方には美味しい葉っぱやなんかがよく生えているんだ。
だからどうしてもこっちのほうにきてしまうんだよ。
特に、冬の時分には冬眠しなくっちゃいけないからね。
たくさん食べておかないといけないし。
特にほら、カウボーイハウスには、美味しそうなニンジンが生えているだろ?
あの匂いにつられちゃうんだ」
モモタは不思議に思いました。
だってこのウサギは、カウボーイハウスに遊びに来たことがなかったからです。
モモタは言いました。
「ここら辺の葉っぱ美味しいの?
僕食べないから分からないけど、樹海の奥の方にも沢山生えてるのと一緒じゃないの?」
うさぎが笑います。
「違う違う、ぜんぜん違うよ。
同じように見えても全然違うんだ。
仮に同じでも、生えているところが違うからね」
「ふーん」
そういうこともあるかな、とモモタは思いました。
うさぎは、自慢げに言いました。
「僕追っかけが多いから大変。
君も見たろ?僕を食べたがる犬の多さ。
君、あんなたくさんの犬に追いかけられたことないだろうね」
自慢しているようなのに、なぜかこまっちゃうなぁー、といった様子で言っています。
でもモモタは気がついていました。
このウサギは、自分から犬にちょっかいを出しているようなのです。
樹海の中に、ウサギの声が響き渡りました。
必死に逃げるうさぎの声の後ろから、「ワンワンワンワン」と、ビーグル犬たちの声も響きます。
間一髪で逃れたウサギは、荒れた息を整えながら、木の上にいたモモタに声をかけました。
「あーびっくりしたなーもー。
いつも犬に追いかけられて困っちゃうなー。
僕ってほら、きれいな白い毛皮に包まれていて、可愛いだろ?
大きさもちょうどいいじゃん、抱きしめたくなっちゃう。
温もり求めてみんながよって来るんだ。
それにとても美味しそうだし、どうしても捕まえちゃいたくなるんだよね。
でも僕、そんな安っぽくないだ。
ごはんにされるなんてまっぴらごめんさ。
あーやだやだ、人気者はつらいなぁー」
モモタは言いました。
「僕たち可愛いから、人間はみんな抱っこしたくなるんだ。
1匹で日向ぼっこしていたい時もお構いなしに。
犬だってすごい勢いでしっぽを振って『遊んで~』って走ってくるよ」
「ふーん、君、追っかけがいるようには見えないけどね。
耳も短いし、美味しくもなさそうだし」
遠くでビーグルたちの声が聞こえます。まだうさぎを探し回っているようでした。
このウサギは、よくこの辺りにきては、「ごはんはないかなぁ、美味しいごはんはないかなぁ」と独り言を言いながら、ぴょこぴょこ歩いているので、お肉大好きっ子からしたら、良い獲物です。
だからモモタは言いました。
「あんまりこっちに来ない方がいいよ。だってカウボーイハウスがあるもの。
すぐに見つかってまた追いかけられてしまうよ」
「うん、そうなんだけどね、こっちの方には美味しい葉っぱやなんかがよく生えているんだ。
だからどうしてもこっちのほうにきてしまうんだよ。
特に、冬の時分には冬眠しなくっちゃいけないからね。
たくさん食べておかないといけないし。
特にほら、カウボーイハウスには、美味しそうなニンジンが生えているだろ?
あの匂いにつられちゃうんだ」
モモタは不思議に思いました。
だってこのウサギは、カウボーイハウスに遊びに来たことがなかったからです。
モモタは言いました。
「ここら辺の葉っぱ美味しいの?
僕食べないから分からないけど、樹海の奥の方にも沢山生えてるのと一緒じゃないの?」
うさぎが笑います。
「違う違う、ぜんぜん違うよ。
同じように見えても全然違うんだ。
仮に同じでも、生えているところが違うからね」
「ふーん」
そういうこともあるかな、とモモタは思いました。
うさぎは、自慢げに言いました。
「僕追っかけが多いから大変。
君も見たろ?僕を食べたがる犬の多さ。
君、あんなたくさんの犬に追いかけられたことないだろうね」
自慢しているようなのに、なぜかこまっちゃうなぁー、といった様子で言っています。
でもモモタは気がついていました。
このウサギは、自分から犬にちょっかいを出しているようなのです。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
悪女の死んだ国
神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。
悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか.........
2話完結 1/14に2話の内容を増やしました
ぼくの家族は…内緒だよ!!
まりぃべる
児童書・童話
うちの家族は、ふつうとちょっと違うんだって。ぼくには良く分からないけど、友だちや知らない人がいるところでは力を隠さなきゃならないんだ。本気で走ってはダメとか、ジャンプも手を抜け、とかいろいろ守らないといけない約束がある。面倒だけど、約束破ったら引っ越さないといけないって言われてるから面倒だけど仕方なく守ってる。
それでね、十二月なんて一年で一番忙しくなるからぼく、いやなんだけど。
そんなぼくの話、聞いてくれる?
☆まりぃべるの世界観です。楽しんでもらえたら嬉しいです。
鮫嶋くんの甘い水槽
蜂賀三月
児童書・童話
中学二年生の白魚愛奈は、遠方に住むおばあちゃんが入院し、母親の友人の家にお世話になることに。しかし、その家は目つきが悪い同級生・鮫嶋恭介の家だった。強面で不愛想な恭介と暮らすことに不安になる愛奈。恭介を勝手に不良だと思っていたが、それが誤解だということに気づく。恭介の優しいところをみんなにも知ってもらいたいと思った愛奈は、あるアイディアを思いつく。それは、恭介と一緒にいきもの係になることだった。
強面男子との同居の先には、甘酸っぱい初恋の予感が――?
不器用で、切なくて、不安な男女の初恋を描く、ピュアラブストーリー!
ーーー
第15回 絵本・児童書大賞・学園恋愛児童書賞を受賞しました。
ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる