猫のモモタ

緒方宗谷

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大都会のお友達

むなしいや、心って

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 遠くの空が大変騒がしかったので、モモタが見上げました。すると、なにやらとても大きな影が二つ争っていました。
 一体なんなのだろう、と思って行ってみると、沢山の鳥の群れでした。
 一つはインコの一団で、もう一つはムクドリの一団です。
 何やらケンカをしているようでした。
 インコたちが叫びます。
 「早く出てけよ、ここは僕らの縄張りだぞ」
 ムクドリが言い返しました。
 「嘘つくなよ、僕たちの方が先にいたんだ」
 負けじとインコも言い返します。
 「だから何さ、今は僕らの方が多いんだぞ」
 すごい光景だなぁ、とモモタが見ていると、道路の脇に生えているイチョウの並木から、カラスが話しかけてきました。
 「やあ、モモタ、君、そんなところで見ていて大丈夫かい?」
 「どういうこと?」
 「もうすぐ、鷹匠(たかじょう)がやって来るよ。
  彼はとても恐ろしいオオタカを連れているから、目をつけられたらたら鷹掴みにされてしまうよ」
 モモタは怖くなって、イチョウの木の影に隠れます。
 やがて空に「ヒューイー」とオオタカの鳴き声が響いました。
 瞬く間に、二つの影の集団は逃げていきます。
 ですが、彼らが隠れるまでの間に、オオタカは何匹も捕まえては鷹匠のことろに持っていきました。
 そして、また捕まえに飛び立ちます。
 ここら辺の町のイチョウの木には、たくさんのムクドリとインコが住んでいました。
 朝から晩まで口げんかを続けているので、とてもうるさくて堪りません。
 それに、相手にフンをかけあうフン合戦も繰り広げられていましたので、フン害もひどいものでした。
 それだから人間たちは、とても困っていました。
 そんな時に現れたのが鷹匠です。
 何人もの鷹匠がやって来て、ムクドリとインコを追い払いました。彼らはみんなのスーパーヒーローとなりました。
 ですが、隣の町が大惨事。それを聞いた鷹匠たちは、隣町に旅立っていきました。
 モモタは風の噂で聞きました。隣の町でも、鷹匠とオオタカたちはスーパーヒーローだともてはやされたって。
 何日もたったある日の午後、何台もの車がコンビニの駐車場にとまりました。
 どの車にも後ろの席には大きな鳥かごがあって、中にはオオタカが休んでいます。
 モモタは、その中の1羽に話しかけました。
 「スーパーヒーローのお帰りだ。どうだった? 隣町」
 すると、意外な返事が返ってきます。
 「ああ、散々さ。僕らは追い立てられて帰るところ」
 モモタはびっくりしました。
 「どうして? ムクドリとインコのケンカから人間を守ってあげに行ったんでしょ?
  それなのに、なんで追い出されるの?」  
 「初めはみんな感謝してくれたんだ。
  でもある時、ドローンとかいう変なお友達がたくさん飛んできてね、色々な音を立てたり、追いかけまわしたりして、インコとムクドリを追い出すことに成功したんだ。
  そしたら今度は、人間たちは、飼っている小鳥たちが怯えるからって理由で、僕たちを非難し出したんだ。
  それで田舎のお家に帰るところ」
 モモタは、それを聞いて、なんか心がしぼんで静かになってしまいました。

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