猫のモモタ

緒方宗谷

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大都会のお友達

気持ちって分からないよね

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 「助けてー」「助けてー」「助けてー」
 空気をつんざくような女の子たちの声が、森のように大きな公園に響きました。
 びっくりしたモモタが駆けていくと、池の浅瀬で3匹の日本ザリガニの女の子がアメリカザリガニのチンピラたちにナンパされています。
 モモタはどうにかして助けられないかと、石橋の上から辺りを見渡しました。
 「助けてー、助けてー!」「助けてー」
 日本ザリガニの女の子は叫びます。
 そばに日本ザリガニの男の子がいましたから、彼に助けを求めているようでした。
 ですがその男の子、一向に助ける様子を見せません。
 女の子の叫びが聞こえていないかのように知らんぷり。
 しびれを切らした一番左の女の子が、日本ザリガニの男の子に言いました。
 「ねえ、ちょっとあなた。そこのあなたよ。なんで助けてくれないのよ」
 「なに言ってんだよ、アメリカザリガニになんか勝てないよ。
  僕の倍以上大きいんだぜ。しかも3匹」
 「でも助けるべきよ。
  わたしたちメスと違って戦うハサミがあるんだから。
  わたしたちを見捨てるなんてひどいわよ。助けるべきよ」
 「最低よね」と真ん中の女の子「わたしたちが大きなはさみの餌食になってもいいって言うのかしら?」
 一番右の子も口を開きます。
 「わたしたちは助けを呼んでいるのよ? 
  か弱い女の子が助けてって言っているのに助けないなんて、あなたちょっと普通じゃないわよ、おかしいんじゃないの?」
 男の子は、呆れた様子でため息をつきます。
 「それって、僕を犠牲にして助かろうという算段だろ?
  君、僕と全然関係ないじゃん、助けたところで損ばかりだよ。
  それに僕には君を助ける義理もないしね。」
 「もう!知らない!!」
 女の子たちは、自分から連れていかれていきました。
 「どうして助けないの?」モモタが訊きました。
 「あの子たちは身勝手すぎるよ。
  自分が助かりたい一心で、弱い自分を盾にしているだけさ。
  僕を酷いヤツだと非難しているけれど、僕が助けに入ったとして、僕が死んだらどう責任取れるのさ。
  僕が死んだことなんて、明日になったら忘れているさ。
  だって自分は助かったんだもんね」
 あの子は、君に助けられたいと思ってたんじゃないかなぁ、と思うモモタでした。

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