猫のモモタ

緒方宗谷

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真珠貝に成れなかったシャコ貝の話

動機は何であれ原動力

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 モモタは、黙ってしゃこ貝と一緒にいてあげました。
 ハマグリの時と同じように、そばにいて話を聞いてあげていれば、しゃこ貝も癒される、と思ったからです。
 しゃこ貝は語り始めました。
 「結局何をやっても中途半端だっただなぁ。
  僕の友達はとても大きくなって、貝を開けば大きな真珠が幾つも輝いているんだ。
  キラキラ光っていてとてもきれいだったから、女の子たちがキャーキャー言って、いつも彼の周りは賑やかだったよ。
  だからとても子沢山。今は曾孫ややしゃ孫に囲まれて幸せそう。やっぱり貝生結果が全てだな」
 モモタは、言いました。
 「そんなことないでしょ?思い出を思い返してごらんよ。きっと、何かいい思い出があるはずだよ」
 しゃこ貝は考えました。
 「やっぱりないよ、好きな子にフラれた思い出とか、友達に負かされた思い出とかばかり」
 モモタは、思わず言いました。
 「結果じゃないよ、歩んできた貝生の道のりが大事なんだよ。
  確かにお友達は幸せだったかもしれないけど、お友だちのような貝生を真似しても、幸せになれるなんて限らないよ。
  自信を持ってよ」
 「そうかな?」
 「そうだよ」
 「そうか。ようし。僕は誰よりもたくさんご飯を食べて、大きな真珠を育ててやるんだ。
   誰にも負けない大きな真珠だぞ。みんなが羨む大きな真珠だよ。
  女の子にキャーキャー言われるのが何だって言うんだ。いつかみんなを見返してやるんだ」
 「それは幸せを手にできない子のセリフだよ。
  どんなにいい結果を出しても、後悔するような人生だったら報われないよ」
 しゃこ貝は、ムッとした様子でモモタを見やります。
 「君は本当に僕を慰める気があるの?
  僕の貝生には、家庭も結果も伴っていないんだよ?幸せを手にしていないんだよ?
  追い打ちをかけるようなこと言わないでよ」
 「あ、ごめん」
 ホタテ・・・もといシャコ貝はぷいっとそっぽを向きました。



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