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堪え忍ぶことが尊いトラの話
つらい思いには価値がある?
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モモタは、ブルブルと震えていました。
人間の住む町の中に、突然猛獣の匂いが立ち込めてきたからです。
朝からずっと、お庭の茂みの中に隠れていましたが、お昼を過ぎても人々は平穏に行き交っているのを見て、モモタは外に出ることにしました。
モモタがビルの屋上に上って、猛獣の匂いが漂ってくる方を見ると、大きな公園があって、たくさんの派手なテントが張られています。
トラやライオン、象がいました。他にもいろいろいます。みんなオリの中にいました。
安心したモモタは、公園へと行ってみることにしました。
ピシャーン! と大きな音が何度も聞こえます。
モモタが一番大きなテントの中に入ってみると、人間が長いムチでトラを叩いて、無理やり大きな玉の上に乗らせようとしていました。
トラは必死になって、何度も玉球の上に飛び乗ります。ですがうまくいかずに落ちてしまいます。その度にムチで叩かれていました。
モモタは、オリに戻されたトラのところに行って言いました。
「そんなに叩かれてまでしなければいいのに」
「なに言ってんだ。ここはサーカスだぞ。
芸を習うには叩かれるのが必要なんだ」
「どうして?あんなにつらそうにしてたのに」
「そうやって芸は上手になっていくんだ」
トラは真剣な眼差しで言いました。
人間にいじめられている、と思ったモモタでしたが、トラは愛のむちを受けている、と言いました。
モモタは疑問に思って訊きました。
「でも楽しいの?とても楽しそうには見えなかったよ」
「上手になるように習うのに楽しさなんて必要ないさ。
必死にやったほうがすぐに上達するんだから」
「僕たちは人間とお話しできないじゃない?
だから芸をして人間と遊ぶんだよ。
芸は楽しいものなのに、楽しくないのにやったら芸じゃないよ」
するとトラは、モモタを小ばかにしたような含み笑いを浮かべました。
「必死になって精一杯頑張り続けるから、僕はこんなに大きくて強いんだ。
猫は僕たちトラの遠い親戚だけど、怠けてばかりだからそんなに小さいんだ。
これが、必死に頑張った俺と、怠けてばかりの猫との差なのさ」
トラは自慢するように起き上がって、上からモモタを見下ろします。威圧でもするかのように。
モモタは、しばらくサーカスで遊んでいましたが、いつまで経ってもトラは玉に乗れるようにはなりませんでした。
人間の住む町の中に、突然猛獣の匂いが立ち込めてきたからです。
朝からずっと、お庭の茂みの中に隠れていましたが、お昼を過ぎても人々は平穏に行き交っているのを見て、モモタは外に出ることにしました。
モモタがビルの屋上に上って、猛獣の匂いが漂ってくる方を見ると、大きな公園があって、たくさんの派手なテントが張られています。
トラやライオン、象がいました。他にもいろいろいます。みんなオリの中にいました。
安心したモモタは、公園へと行ってみることにしました。
ピシャーン! と大きな音が何度も聞こえます。
モモタが一番大きなテントの中に入ってみると、人間が長いムチでトラを叩いて、無理やり大きな玉の上に乗らせようとしていました。
トラは必死になって、何度も玉球の上に飛び乗ります。ですがうまくいかずに落ちてしまいます。その度にムチで叩かれていました。
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「なに言ってんだ。ここはサーカスだぞ。
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「どうして?あんなにつらそうにしてたのに」
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猫は僕たちトラの遠い親戚だけど、怠けてばかりだからそんなに小さいんだ。
これが、必死に頑張った俺と、怠けてばかりの猫との差なのさ」
トラは自慢するように起き上がって、上からモモタを見下ろします。威圧でもするかのように。
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