猫のモモタ

緒方宗谷

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目には目を歯には歯を! ロシアンブルーの話

他猫なんてどうでも良いの

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 星がきれいな夜でした。
 屋根の上にいると、ジャンプすれば星に手が届きそうなので、屋根の上で星を見るのが、モモタは大好きです。
 一緒にお星さまを見ていたマイちゃんが、遠くの塀の上をどっしり猫が歩いているのを見つけて、突然モモタに言いました。
 「モモタは、本当はどっしり猫のことがきらいなんでしょ?」
 「何いきなり?」
 「最近そう思うようになったのよね、モモタは口ではどっしり猫は良い子だって言っているけれど、心ではきらいだって思っているんだろうなって」
 「そんなことないよ、僕はいつでもどっしり猫と仲良くなれたらなって思っているんだ。
  今日だって、どういう説明をしたら、どっしり猫が分かってくれるかなって考えたんだよ」
 マイちゃんは、うふふ、と笑いました。
 「でも、態度に出ているわよ。
  どっしり猫が来ると、モモタは顔を背けるの。
  『僕はあなたが嫌いです、話しかけないでください』って全身に書いてあるわ」
 モモタはびっくりして、ゴロゴロとしながら自分の体をくまなく見ました。
 「どっしり猫がからんでくるのって、モモタの態度のせいもあるかも」
 「僕が悪いの?僕何もしてないのに」
 「何もしていないっていうことをしているのよ、だから何もしていないわけではないわ。
  どっしり猫は、モモタが自分を嫌っているんだなって分かっているから、イライラしてちょっかい出してくるんじゃないかしら」
 モモタはしょげしょげしながら、「実は・・で・」と言いました。「ちょっとやだなぁって思ってたんだ。
  嫌いじゃないよ、でもあんまりしつこいからやだなぁって」
 マイちゃんは、モモタをペロペロなめてあげながら言います。
 「いいの、いいの、間違っても、どっしり猫がモモタとお友達になりたいからちょっかい出してきているって思っちゃダメよ。
  結局、どっしり猫がしていることは、どっしり猫の性格のせいなんだから、ああいう猫なのよ、モモタが反省してお友達になろうとしたら、むこうも反省してお友達になろうとするなんて思わないことね」
 「でも、僕にも悪いところがあるんでしょう?」
 「そう思うから、どっしり猫はずに乗るのよ。
  モモタがどんな態度をしても、それにどういう態度でのぞむかは、どっしり猫次第だもの。それがあの猫の本性なのよ」
 モモタは、マイちゃんは冷たいなぁ、と思いました。ですが、そんなマイちゃんだから、モモタの不安は和らぎました。
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