猫のモモタ

緒方宗谷

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嘘でも何でも言ったもん勝ち エキゾチックショートヘアの話

強い気持ちで縛られてるの?

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 モモタは、最近会うことのなかったどっしり猫に、久々に会いました。
 お互い、ちょうどレンガの穴を通ろうとしたところだったので、モモタは端によります。
 ですが、やっぱりどっしり猫は、穴の真ん中をまっすぐ歩いて来て、モモタに言いました。
 「また君か、良いかい、良く聞くんだ。
  もし俺が老い猫だったり子猫だったりしたら、危なくてどかないといけないじゃない?
  何度言わせるんだ」
 「だから、僕どいてるよ」
 ちょうどその時、モモタの後ろから声が聞こえました。
 「ちょいとごめんよ」
 振り返ると、老い猫がやって来たので、モモタは身を細めました。モモタとどっしり猫の間には、猫1匹通れる幅が開いていたので、モモタは動きません。
 それを見ていたどっしり猫は、急に声を弾ませて、モモタを注意します。
 「何でどかないの?ほら見たことか。
  僕はどいたよ、言わんこっちゃない」
 踊り始めそうな喜びように、モモタは少し可笑しく思いました。
 「通れる道があったんだから、さらにどく必要ないでしょ?」
 ちょうどやってきたおばあちゃん猫に、モモタは訊きました。
 「ねえ、おばあちゃん、おばあちゃんだからって、そこのけそこのけ、おばあちゃんが通るぞって通るの?どかなくて良いの?
  一方的に僕だけがどかなきゃいけないの?」」
 「そりゃ、どくね、あたしも」
 「僕どいたんだ。
  でも、この猫は、自分が老い猫だったらぶつかるからもっとどけって言うんだよ。
  この老い猫がおばあちゃんだったら、僕とぶつかってたかなぁ?」
 「うーん、ぶつかっていないねぇ」
 それを聞いて、モモタはどっしり猫に言いました。
 「もし僕が老い猫だったら、君はぶつかっていたよ。
  だって端によらずに真ん中を真っ直ぐ来たんだものって言ったら、『僕はぶつからないよ、端によるから』って言うんだ。
  もし、僕がおばあちゃんだったら、この猫はぶつかってたかなぁ」
 「そりゃ、ぶつかるね」
 それを聞いたモモタは、どっしり猫を見ました。
 何も言わないので、モモタが言います。
 「おばあちゃんは、こう言ってるよ?」
 どっしり猫は、モモタを無視して言いました。
 「おばあちゃん、どうぞ穴を通ってください」
 「ありがとう、それじゃ、通してもらいますよ」
 モモタがお礼を言い終わるのを待って、どっしり猫が言いました。
 「君も気を付けるんだぞ、良いね?バイバイ」
 モモタは、どっしり猫の背中を見送って考えました。
 「あの猫の言う老い猫って、どこの老い猫なんだろう?」
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