72 / 500
村の片隅にいたお友達
しないって決めたらどうなるのかなぁ?
しおりを挟む
モモタが山に遊びに行こうと歩いていると、道路のわきに生えていた桑の木で、ご飯を食べている芋虫達を見つけました。
「あれ? どうしたんだろう?」
みんな兄妹のようですが、1匹だけ桑の木に絡みついたつるの葉っぱをムシャムシャしています。
モモタは訊きました。
「ねえねえ、何で君だけ桑の葉を食べないの? みんな桑のを食べてるのに」
「僕はみんなみたいに美食にふけって、自堕落な人生を送りたくないんだ」
モモタは他のカイコを見ました。みんな一生懸命で、とても自堕落になんて見えません。
そこで、モモタは訊いてみることにしました。
「でも、そんな小さくて細長い色の薄いヒョロヒョロの葉っぱを食べてても大きくなれないよ」
すると、カイコは言いました。
「お腹いっぱいになるまで食べるなんてだらしないよ。
慎ましい生活にこそ、本当の良い生活があるってものなんだ」
「でも、目の前に美味しいご飯が十分あるのに食べないなんておかしくない?」
「だからさ、あるから食べないのさ」
モモタには良く分かりません。
「せっかくあるのに食べないなんてもったいないよ。
それに、こんなに沢山の桑の葉が手に入いるところに生まれた事を感謝しなきゃ。
桑の木が生えていない所に生まれたら食べられないんだよ」
カイコは笑いました。
「無いから食べないのは当たり前だよ、あるのに食べないのがすごいんだ」
モモタは首をかしげます。
「あるんだから食べればいいのに、何で食べないのがすごいの?」
「食べたいと思うのと実際食べるのは違う。
食べてしまうと食べたいって気持ちが無くなるから、つまらない気持ちになるんだ。
だから食べない方が良いんだよ」
モモタには、とても貧しい考え方に思えました。とても貧相に見えました。
「ぜいたくしてダラダラするのは良くないけど、食べなきゃいけない分も我慢してまでなる楽しい気持ちってあるのかなぁ?」
「あるさ、あの兄妹を見てごらん、あんなに一生懸命食べて太ったら、蛾になった時重くて早く飛べないよ」
「早く飛ぶ必要あるの?飛びたい速さで飛べばいいじゃない」
「それだけじゃないよ、高くも飛べないよ」
「蛾ってもともとそんなに高く飛ばないんじゃない?」
「出来るのとしないのは違うよ、僕は速く飛べるけれど飛ばないし、高く飛べるけれど飛ばない蛾になるんだ」
結局モモタには、この我ができるけどしない蛾になったのか、出来ないからしない蛾になったのか分からずじまいでした。
「あれ? どうしたんだろう?」
みんな兄妹のようですが、1匹だけ桑の木に絡みついたつるの葉っぱをムシャムシャしています。
モモタは訊きました。
「ねえねえ、何で君だけ桑の葉を食べないの? みんな桑のを食べてるのに」
「僕はみんなみたいに美食にふけって、自堕落な人生を送りたくないんだ」
モモタは他のカイコを見ました。みんな一生懸命で、とても自堕落になんて見えません。
そこで、モモタは訊いてみることにしました。
「でも、そんな小さくて細長い色の薄いヒョロヒョロの葉っぱを食べてても大きくなれないよ」
すると、カイコは言いました。
「お腹いっぱいになるまで食べるなんてだらしないよ。
慎ましい生活にこそ、本当の良い生活があるってものなんだ」
「でも、目の前に美味しいご飯が十分あるのに食べないなんておかしくない?」
「だからさ、あるから食べないのさ」
モモタには良く分かりません。
「せっかくあるのに食べないなんてもったいないよ。
それに、こんなに沢山の桑の葉が手に入いるところに生まれた事を感謝しなきゃ。
桑の木が生えていない所に生まれたら食べられないんだよ」
カイコは笑いました。
「無いから食べないのは当たり前だよ、あるのに食べないのがすごいんだ」
モモタは首をかしげます。
「あるんだから食べればいいのに、何で食べないのがすごいの?」
「食べたいと思うのと実際食べるのは違う。
食べてしまうと食べたいって気持ちが無くなるから、つまらない気持ちになるんだ。
だから食べない方が良いんだよ」
モモタには、とても貧しい考え方に思えました。とても貧相に見えました。
「ぜいたくしてダラダラするのは良くないけど、食べなきゃいけない分も我慢してまでなる楽しい気持ちってあるのかなぁ?」
「あるさ、あの兄妹を見てごらん、あんなに一生懸命食べて太ったら、蛾になった時重くて早く飛べないよ」
「早く飛ぶ必要あるの?飛びたい速さで飛べばいいじゃない」
「それだけじゃないよ、高くも飛べないよ」
「蛾ってもともとそんなに高く飛ばないんじゃない?」
「出来るのとしないのは違うよ、僕は速く飛べるけれど飛ばないし、高く飛べるけれど飛ばない蛾になるんだ」
結局モモタには、この我ができるけどしない蛾になったのか、出来ないからしない蛾になったのか分からずじまいでした。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜
まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。
ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。
父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。
それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。
両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。
そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。
そんなお話。
☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。
☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。
☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。
楽しんでいただけると幸いです。
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
ある公爵令嬢の生涯
ユウ
恋愛
伯爵令嬢のエステルには妹がいた。
妖精姫と呼ばれ両親からも愛され周りからも無条件に愛される。
婚約者までも妹に奪われ婚約者を譲るように言われてしまう。
そして最後には妹を陥れようとした罪で断罪されてしまうが…
気づくとエステルに転生していた。
再び前世繰り返すことになると思いきや。
エステルは家族を見限り自立を決意するのだが…
***
タイトルを変更しました!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる