猫のモモタ

緒方宗谷

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我慢できない牛の話

牧場違えば牛違う

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 残っていた根っこや雑草を食べて飢えをしのいでいた牛達ですが、それも尽きてしまいました。
 見かねたご主人様が、山の雑草を取って来てくれましたが、全然足りません。
 ようやく種まきの時期が来て、ご主人様が牧草の種を蒔いてくれましたが、食べる物が乏しくて、牛達はその種も食べてしまいました。
 1頭の赤べこが言いました。
 「もうだめだ、耐えられないよ。
  周りにはあんなに草があるじゃない!あれ持って来てよ」
 ご主人様にそうねだりますが、聞いてくれません。他人の土地ですから当然です。
 短角牛が言いました。
 「よし、あそこに食べに行こう」
 牛達はモウモウ言いながら、柵を壊して行ってしまいました。
 隣の牧場の牛達は、やせ細った牛達を見てかわいそうに思ったので、食べさせてあげました。
 それに気をよくしたガリガリ牛達は、パクパクむしゃむしゃどんどん食べていきます。
 モモタは受け入れてくれたみんなに言いました。
 「放っておいたら、ここも土だけになっちゃうよ」
 「まさか、他牛んちの草が無くなるまで食べるなんてお行儀が悪いことしないでしょ」
 みんなはそう言いうのを聞いて、ガリガリ牛達も言いました。
 「そうだよ、僕たちだって節度があるよ。
  恩返しに草がたくさん生える様に肥料をブリブリしてあげる」
ガリガリ牛達はそう言って、たくさんのウンチをしま した。そして、たくさんのウンチをするためにたくさんの草を食べました。
 「たんとお食べ、でもご飯の時間は日が完全に昇ってから夕焼けに染まるまでですよ」
 そう言う隣の牧場の牛の声はガリガリ牛達に伝わりましたが、誰も守りません。
 太陽の傾き具合から、もうまもなく夕焼けだな、と思ったモモタが言いました。
 「夕焼けまでだって言ってたよ」
 「そんなの知らなわいよ、私たちの牧場では日の出から日の入りまでだもの。暗くなるまで食べるわ」
 モモタは、もう一度この牧場の牛達のところに行って言いました。
 「草無くなっちゃうよ」
 「ははは、みんな来たばかりで、こっちのルールに慣れていないんだよ。いつかは慣れるさ」
 みんな優しく見守る様です。
 本当に大丈夫かなぁ、と心配するモモタでしたが、大丈夫でした。
 良く見ると、この牧場の牛達は、ガリガリ牛達が全部食べない様に牛の壁を作って範囲を限定していました。
 上手くやるなぁ、と思ったモモタでした。




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