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我慢できない牛の話
誰より先にとろうとすると?
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モモタは、最近ここが1つの牧場ではないことに気が付きました。
健太郎君が目指した地平線とは逆の地平線の方は、どこまで行っても地平線でしたが、その代り幾つかの牧場がある様です。
その1つに、色々な種類の牛を飼っている牧場がありました。
モモタが行ってみると、乳牛と赤べこと短角牛が一つの柵の中で葉っぱをむしゃむしゃしていました。
黒と白の乳牛たちが言いました。
「私たち、今お腹に赤ちゃんがいるし、子供たくさんいるからいっぱい食べないとね」
「そうよね、頑張っていっぱい食べましょうね」
沢山お乳を出そうと、乳牛たちは休まずどんどん葉っぱを食べていきます。
するとどうでしょう。彼女たちは沢山子供を生んで、お乳もいっぱい出して、数が増えていきました。
その様子を見て、このままだと乳牛に葉っぱを全部食べられてしまう、と思った赤べこは、急いで草をむしゃむしゃ食べはじめました。
元気モリモリ、いつもより子供を産みました。
それを見た短角牛は、このままでは子供に食べさせる草が無くなっちゃう、と思って、草をむしゃむしゃ食べました。
草が少なくなっても子供を育てられるように、お乳をたくさん出すためです。
短角牛の子供たちに草は十分生きわたりませんでしたが、たくさんお乳が出たので、干し草が配られるまでの間、お乳で過ごすことが出来ました。
それぞれの牛が増えたので、牧場の人は喜びました。
牧場の人が怒らなかったので、牛達は調子に乗って、次の年も新芽の牧草を我先にと食べてしまいました。
モモタは心配になって言いました。
「そんなにムシャムシャしてると、今年も葉っぱなくなっちゃうよ?」
すると、牛たちが言います。
「なくならないわ、それより何よ、私たちに飢え死にしろっていうのかしら?」
「ひどいわ、わーんわーん、私たちに惨めに暮らせっていうのね?
子供もいるし妊婦もいるのに、そんな残酷な子と言わないで!」
モモタは良かれと思って一言言っただけなのに、避難の嵐にあってしまいました。
何も言えなくなったモモタは気が付いていました。
広い牧場はどこを見渡しても緑の大地なのに、ここだけ黒い土ばかりが目立ちます。
牛達が草を探してウロウロウロウロ、いくら探しても草が見つからないので、頭をあげてようやく気が付きました。
最初に頭をあげた短角牛が叫びます。
「あやー、ご飯が全部なくなっちゃったよ」
乳牛も叫びます。
「ご主人様ー、干し草くださーい」
牛達はモウモウ鳴きました。その鳴き声を聞いてやって来た牧場の人は言いました。
「去年、お前たちが牧草をみんな食べてしまったから、干し草を作れなかったんだぞ。
だから、もうあげる草が無いんだよ」
去年とは一転、生めよ増やせよだった牛パラダイスは、残った根っこを奪い合うサバイバル。
「目の前の欲に眩んで誰かの分まで取ろうとすると、こんな事になるんだね」
ガリガリにやせ細ってお乳の出ない牛達を見て、モモタはそう思いました。
健太郎君が目指した地平線とは逆の地平線の方は、どこまで行っても地平線でしたが、その代り幾つかの牧場がある様です。
その1つに、色々な種類の牛を飼っている牧場がありました。
モモタが行ってみると、乳牛と赤べこと短角牛が一つの柵の中で葉っぱをむしゃむしゃしていました。
黒と白の乳牛たちが言いました。
「私たち、今お腹に赤ちゃんがいるし、子供たくさんいるからいっぱい食べないとね」
「そうよね、頑張っていっぱい食べましょうね」
沢山お乳を出そうと、乳牛たちは休まずどんどん葉っぱを食べていきます。
するとどうでしょう。彼女たちは沢山子供を生んで、お乳もいっぱい出して、数が増えていきました。
その様子を見て、このままだと乳牛に葉っぱを全部食べられてしまう、と思った赤べこは、急いで草をむしゃむしゃ食べはじめました。
元気モリモリ、いつもより子供を産みました。
それを見た短角牛は、このままでは子供に食べさせる草が無くなっちゃう、と思って、草をむしゃむしゃ食べました。
草が少なくなっても子供を育てられるように、お乳をたくさん出すためです。
短角牛の子供たちに草は十分生きわたりませんでしたが、たくさんお乳が出たので、干し草が配られるまでの間、お乳で過ごすことが出来ました。
それぞれの牛が増えたので、牧場の人は喜びました。
牧場の人が怒らなかったので、牛達は調子に乗って、次の年も新芽の牧草を我先にと食べてしまいました。
モモタは心配になって言いました。
「そんなにムシャムシャしてると、今年も葉っぱなくなっちゃうよ?」
すると、牛たちが言います。
「なくならないわ、それより何よ、私たちに飢え死にしろっていうのかしら?」
「ひどいわ、わーんわーん、私たちに惨めに暮らせっていうのね?
子供もいるし妊婦もいるのに、そんな残酷な子と言わないで!」
モモタは良かれと思って一言言っただけなのに、避難の嵐にあってしまいました。
何も言えなくなったモモタは気が付いていました。
広い牧場はどこを見渡しても緑の大地なのに、ここだけ黒い土ばかりが目立ちます。
牛達が草を探してウロウロウロウロ、いくら探しても草が見つからないので、頭をあげてようやく気が付きました。
最初に頭をあげた短角牛が叫びます。
「あやー、ご飯が全部なくなっちゃったよ」
乳牛も叫びます。
「ご主人様ー、干し草くださーい」
牛達はモウモウ鳴きました。その鳴き声を聞いてやって来た牧場の人は言いました。
「去年、お前たちが牧草をみんな食べてしまったから、干し草を作れなかったんだぞ。
だから、もうあげる草が無いんだよ」
去年とは一転、生めよ増やせよだった牛パラダイスは、残った根っこを奪い合うサバイバル。
「目の前の欲に眩んで誰かの分まで取ろうとすると、こんな事になるんだね」
ガリガリにやせ細ってお乳の出ない牛達を見て、モモタはそう思いました。
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