60 / 502
いつもと同じが一番の羽アリの話
特別なんて特別じゃないよ
しおりを挟む
今日、モモタは姫ちゃんとお散歩です。
最近たくさんの羽アリが空を飛んでいて、姫ちゃんは楽しそうです。
姫ちゃんは、男の子ウォッチング。
「あら、あの羽アリ、なかなか格好良いわ」
モモタが見ると、きりっとした感じの羽アリです。
姫ちゃんが別の羽アリを指差します。
「あっちの羽アリは強そうね、お家の巣にはいないタイプ」
モモタが見ると、もりっとした感じの羽アリです。
来る日も来る日も、姫ちゃんはモモタのおでこで、男の子ウォッチングをしていました。
モモタは、羽アリの見た目の良しあしは分かりませんが、ちょっとした匂いの違いで良し悪しを判断して言いました。
「向こうの羽アリは優しそうだよ」
「どれ?本当ね、でもナヨナヨしてるわ」
「じゃあ、そこにいるのは?素早そうだよ」
「ナヨナヨはしてないけど、優しくなさそう」
姫ちゃんは、話しているうちにだんだん興味を失っていきました。
毎日そうです。初めは色々な羽アリに興味津々なのですが、少しすると考えていることがあっちに行ったりこっちに来たりし始めます。
今日は、まだ実の生っていない葡萄の木があるお庭を見つけて、思いをはせていました。
そんなこんなのある日の昼下がり、モモタの背中に1匹の羽アリの男の子が舞い降りました。
「こんにちは、お散歩の邪魔してごめんね」
そう言う男の子に、姫ちゃんは快くモモタの背中をかしてあげて訊きました。
「あら、こんにちは、どこから来たの?」
「僕、鈴木さんちから来たんだ。
ちょっと疲れちゃったから、休ませて」
鈴木さんちからここまで、7、800メートルあります。そう思った姫ちゃんは、「普通ね」と言って、続けて訊きます。
「あなたのご担当は何かしら」
「分かんないけど、たぶん働きアリだと思うよ」
「どうして?」
「働きアリはご飯を探しに行くのがお仕事でしょう?
ごはん巡りのツアーって、楽しいでしょ?」
男の子は、持っていたお菓子のかけらを姫ちゃんに分けてあげて、そう言いました。
「普通のアリはみんなそうよね、私も同じよ」
男のは、何を聞いても普通のことしか言いません。モモタは、姫ちゃんはこの男の子にも興味を持たないんだろうなぁ、と思いました。
ですが、2匹での帰り道で姫ちゃんが言います。
「あの羽アリの男の子、良い子だったわね」
「本当?意外だね」
「そう?」
「うん、普通だから、姫ちゃん興味ないかと思ったよ。
どうして良い子だって思ったの?」
「なんか、普通な感じなんだもん」
普通が無難なんでしょうね。
最近たくさんの羽アリが空を飛んでいて、姫ちゃんは楽しそうです。
姫ちゃんは、男の子ウォッチング。
「あら、あの羽アリ、なかなか格好良いわ」
モモタが見ると、きりっとした感じの羽アリです。
姫ちゃんが別の羽アリを指差します。
「あっちの羽アリは強そうね、お家の巣にはいないタイプ」
モモタが見ると、もりっとした感じの羽アリです。
来る日も来る日も、姫ちゃんはモモタのおでこで、男の子ウォッチングをしていました。
モモタは、羽アリの見た目の良しあしは分かりませんが、ちょっとした匂いの違いで良し悪しを判断して言いました。
「向こうの羽アリは優しそうだよ」
「どれ?本当ね、でもナヨナヨしてるわ」
「じゃあ、そこにいるのは?素早そうだよ」
「ナヨナヨはしてないけど、優しくなさそう」
姫ちゃんは、話しているうちにだんだん興味を失っていきました。
毎日そうです。初めは色々な羽アリに興味津々なのですが、少しすると考えていることがあっちに行ったりこっちに来たりし始めます。
今日は、まだ実の生っていない葡萄の木があるお庭を見つけて、思いをはせていました。
そんなこんなのある日の昼下がり、モモタの背中に1匹の羽アリの男の子が舞い降りました。
「こんにちは、お散歩の邪魔してごめんね」
そう言う男の子に、姫ちゃんは快くモモタの背中をかしてあげて訊きました。
「あら、こんにちは、どこから来たの?」
「僕、鈴木さんちから来たんだ。
ちょっと疲れちゃったから、休ませて」
鈴木さんちからここまで、7、800メートルあります。そう思った姫ちゃんは、「普通ね」と言って、続けて訊きます。
「あなたのご担当は何かしら」
「分かんないけど、たぶん働きアリだと思うよ」
「どうして?」
「働きアリはご飯を探しに行くのがお仕事でしょう?
ごはん巡りのツアーって、楽しいでしょ?」
男の子は、持っていたお菓子のかけらを姫ちゃんに分けてあげて、そう言いました。
「普通のアリはみんなそうよね、私も同じよ」
男のは、何を聞いても普通のことしか言いません。モモタは、姫ちゃんはこの男の子にも興味を持たないんだろうなぁ、と思いました。
ですが、2匹での帰り道で姫ちゃんが言います。
「あの羽アリの男の子、良い子だったわね」
「本当?意外だね」
「そう?」
「うん、普通だから、姫ちゃん興味ないかと思ったよ。
どうして良い子だって思ったの?」
「なんか、普通な感じなんだもん」
普通が無難なんでしょうね。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
月神山の不気味な洋館
ひろみ透夏
児童書・童話
初めての夜は不気味な洋館で?!
満月の夜、級友サトミの家の裏庭上空でおこる怪現象を見せられたケンヂは、正体を確かめようと登った木の上で奇妙な物体と遭遇。足を踏み外し落下してしまう……。
話は昼間にさかのぼる。
両親が泊まりがけの旅行へ出かけた日、ケンヂは友人から『旅行中の両親が深夜に帰ってきて、あの世に連れて行く』という怪談を聞かされる。
その日の放課後、ふだん男子と会話などしない、おとなしい性格の級友サトミから、とつぜん話があると呼び出されたケンヂ。その話とは『今夜、私のうちに泊りにきて』という、とんでもない要求だった。
こちら第二編集部!
月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、
いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。
生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。
そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。
第一編集部が発行している「パンダ通信」
第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」
片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、
主に女生徒たちから絶大な支持をえている。
片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには
熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。
編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。
この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。
それは――
廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。
これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、
取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。
おなら、おもっきり出したいよね
魚口ホワホワ
児童書・童話
ぼくの名前は、出男(でるお)、おじいちゃんが、世界に出て行く男になるようにと、つけられたみたい。
でも、ぼくの場合は、違うもの出ちゃうのさ、それは『おなら』すぐしたくなっちゃんだ。
そんなある日、『おならの妖精ププ』に出会い、おならの意味や大切さを教えてもらったのさ。
やっぱり、おならは、おもっきり出したいよね。
スペクターズ・ガーデンにようこそ
一花カナウ
児童書・童話
結衣には【スペクター】と呼ばれる奇妙な隣人たちの姿が見えている。
そんな秘密をきっかけに友だちになった葉子は結衣にとって一番の親友で、とっても大好きで憧れの存在だ。
しかし、中学二年に上がりクラスが分かれてしまったのをきっかけに、二人の関係が変わり始める……。
なお、当作品はhttps://ncode.syosetu.com/n2504t/ を大幅に改稿したものになります。
改稿版はアルファポリスでの公開後にカクヨム、ノベルアップ+でも公開します。
トウシューズにはキャラメルひとつぶ
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
児童書・童話
白鳥 莉瀬(しらとり りぜ)はバレエが大好きな中学一年生。
小学四年生からバレエを習いはじめたのでほかの子よりずいぶん遅いスタートであったが、持ち前の前向きさと努力で同い年の子たちより下のクラスであるものの、着実に実力をつけていっている。
あるとき、ひょんなことからバレエ教室の先生である、乙津(おつ)先生の息子で中学二年生の乙津 隼斗(おつ はやと)と知り合いになる。
隼斗は陸上部に所属しており、一位を取ることより自分の実力を磨くことのほうが好きな性格。
莉瀬は自分と似ている部分を見いだして、隼斗と仲良くなると共に、だんだん惹かれていく。
バレエと陸上、打ちこむことは違っても、頑張る姿が好きだから。
「羊のシープお医者さんの寝ない子どこかな?」
時空 まほろ
児童書・童話
羊のシープお医者さんは、寝ない子専門のお医者さん。
今日も、寝ない子を探して夜の世界をあっちへこっちへと大忙し。
さあ、今日の寝ない子のんちゃんは、シープお医者んの治療でもなかなか寝れません。
そんなシープお医者さん、のんちゃんを緊急助手として、夜の世界を一緒にあっちへこっちへと行きます。
のんちゃんは寝れるのかな?
シープお医者さんの魔法の呪文とは?
イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~
友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。
全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。
ゆめじゃないゆめ [連載版]
itaeya
児童書・童話
夢か幻か-大人も子供も引き込まれる、不思議な森へようこそ。
主人公のさとちゃんが歩き進む森。
そこで待ち受けていたのは、友達のまこちゃんや大好きなお母さんとの出会い。
そして、最後に待ち受けていたのは…。
さとちゃんが居る世界は一体、夢なのか現実なのか。
それぞれがさとちゃんに伝えるメッセージは、大人にも子供にもきっと大切なもの。
温かなものが心に残る一冊です。
★絵本ひろばにて公開中の絵本"ゆめじゃないゆめ"の連載版です。
https://ehon.alphapolis.co.jp/content/detail/345
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる