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何も見てこなかったハマグリの話
傾けるべき声に耳を傾けて
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遊び疲れたモモタがお家に帰ろうとしたとき、夕日に向かってたそがれているハマグリを見つけました。
ふだんは砂の中にいるハマグリなのに、砂浜に出て貝殻を開けているなんて不思議です。とても珍しかったので、モモタは話しかけてみました。
「ねえハマグリさん、何してるの?」
「?・・・ハマグリか・・・、僕ハマグリに見えるかい?」
「うん、見えるけど、違うの?」
ハマグリは、ため息をついて続けます。
「僕はね、若い頃はがむしゃらにパクパクしようとしていたんだ、とても素敵なハマグリになろうと思ってね。
でも僕小さいだろう?当時はもっと小さくってね、あさりと見分けがつかなかったんだよ。
それがとても恥ずかしくてね、妻も子もこんな僕を恥ずかしく思っているんじゃないかって思って、一生懸命パクパクしようとしたんだ」
「奥さんが、そう言ってたの?」
「いんや、妻はいつもこう言っていよ。『お互いの貝殻をコツコツしあって楽しもう』って。
でもご飯を捕って来るのに忙しくて、僕はいつも後で後でって言っていたんだ。
そうこうする内に、妻はどこかに行ってしまった。
逃げられたんじゃない。命が尽きてどこかに行ってしまったんだ。僕とコツコツして遊ぶのを夢見ながら。
僕は妻を幸せにしてやれなかったんだ。恨んでいるきっと恨んでいる」
ハマグリはおいおい泣いています。
モモタは慰めようとして言いました。
「でもそれでみんな大きくなれたんでしょ?奥さんだって、旦那さんが立派になって嬉しかったと思うよ」
「もしそうなら、僕はこんなところで1匹ぽっちになんてなっていないよ。
僕は何かに怯えていたんだ。海の中はみんなと水で繋がっているから、外にいるよりいろいろ聞こえてくるんだよ。
悪く言われるのが嫌で、そう言われないようになろうって思ったんだ」
「家族の声は聞こえなかったの?」
「そうなんだ、そこなんだよ、聞こえていたんだ。でも耳を傾けなかった。
なんて僕はバカなんだ。なんで気付けなかったんだろう?大切なのは家族であって、周りじゃないって。
僕達を知りもしない周りのために、周りが悪く言わない家族を目指したんだ。
本当は、家族のために家族が幸せになれる家族を目指すべきだったのに」
ハマグリはさらに強く泣き始めました。
「妻子を顧みなかったんだ。子供達もみんな出て行ってしまった。僕を恨んでる。みんな僕を恨んでいるよ」
モモタは慰めてあげる事が出来ませんでした。
ふだんは砂の中にいるハマグリなのに、砂浜に出て貝殻を開けているなんて不思議です。とても珍しかったので、モモタは話しかけてみました。
「ねえハマグリさん、何してるの?」
「?・・・ハマグリか・・・、僕ハマグリに見えるかい?」
「うん、見えるけど、違うの?」
ハマグリは、ため息をついて続けます。
「僕はね、若い頃はがむしゃらにパクパクしようとしていたんだ、とても素敵なハマグリになろうと思ってね。
でも僕小さいだろう?当時はもっと小さくってね、あさりと見分けがつかなかったんだよ。
それがとても恥ずかしくてね、妻も子もこんな僕を恥ずかしく思っているんじゃないかって思って、一生懸命パクパクしようとしたんだ」
「奥さんが、そう言ってたの?」
「いんや、妻はいつもこう言っていよ。『お互いの貝殻をコツコツしあって楽しもう』って。
でもご飯を捕って来るのに忙しくて、僕はいつも後で後でって言っていたんだ。
そうこうする内に、妻はどこかに行ってしまった。
逃げられたんじゃない。命が尽きてどこかに行ってしまったんだ。僕とコツコツして遊ぶのを夢見ながら。
僕は妻を幸せにしてやれなかったんだ。恨んでいるきっと恨んでいる」
ハマグリはおいおい泣いています。
モモタは慰めようとして言いました。
「でもそれでみんな大きくなれたんでしょ?奥さんだって、旦那さんが立派になって嬉しかったと思うよ」
「もしそうなら、僕はこんなところで1匹ぽっちになんてなっていないよ。
僕は何かに怯えていたんだ。海の中はみんなと水で繋がっているから、外にいるよりいろいろ聞こえてくるんだよ。
悪く言われるのが嫌で、そう言われないようになろうって思ったんだ」
「家族の声は聞こえなかったの?」
「そうなんだ、そこなんだよ、聞こえていたんだ。でも耳を傾けなかった。
なんて僕はバカなんだ。なんで気付けなかったんだろう?大切なのは家族であって、周りじゃないって。
僕達を知りもしない周りのために、周りが悪く言わない家族を目指したんだ。
本当は、家族のために家族が幸せになれる家族を目指すべきだったのに」
ハマグリはさらに強く泣き始めました。
「妻子を顧みなかったんだ。子供達もみんな出て行ってしまった。僕を恨んでる。みんな僕を恨んでいるよ」
モモタは慰めてあげる事が出来ませんでした。
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