猫のモモタ

緒方宗谷

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我が道を行く黒丸の話

誰かの声でぶれないで

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 少し離れたところでリッちゃんを見上げながら、ウジたちがやいやい騒いでいました。
 リッちゃんは涼しい顔して行ったり来たりしています。
 リッちゃんは無視していましたが、それでもウジたちは、大きな声でおしゃべりをしています。
 「今度みんなでごはんしようよ。
  格好良い黄色スズメバチやくまん蜂も呼んでさ。
  スマートな大黒アリも来るってさ。
  でも蜂の数が足りないんだ。
  誰か可愛い蜂いないかな。
  自由参加だから、誰でもみんな来て良いよー」
 明らかにリッちゃんに言っているようなので、モモタはリッちゃんに訊きました。
 「あのウジたち、リッちゃんに言ってるんじゃないの?」
 「うん、そうね、でもわたし興味ないわ」
 「格好良い蜂さんたちとお友達になれるチャンスなのに?」
 「あはは、あんなウジたちに、そんなお友達いるはずないわ。  
  あの子たち、わたしたちがねたましくて、うんこまみれにしたいのよ」
 「そうなの?」
 「一度うんこの中に入ったら最後、うんこの中から出られなくなるわ。
  羽をうんこ色に染められるし、足にもうんこをつけられて飛べなくなってしまうの。
  わたしは、花から花へと飛び回って蜜をなめる蜂なのに、飛べないハエとして一生過ごさせたいのね」
 「飛べない?あの子たちだっていつかはハエになって飛び回るよ」
 「そうね、でもハエはどんなに頑張ってもハエでしかないわ」
  黄金に輝く蜜は、選ばれた虫しか舐めることが出来ないのよ、
  ハエはハエらしくハエをやっていれば良いのよ」
 そんなことを言われているなんて露にも思わないウジたちは、りっちゃんに呼びかけて言いました。
 「良いなー、美味しそうな蜜持ってるじゃん、俺たちにも分けておくれよう」
 「うふふ、大きくなったら自分で取んなさい、独力でね♡」
 そう言い終えて、リッちゃんはモモタに言いました。
 「身の程をわきまえないといけないわ。ウジはウジらしくビチビチうんこに溺れてのた打ち回っていれいれば良いの。
  ハエになったらなったで、ハエならハエらしく一本野ぐそに埋まっていれば良いのよ」
 きれいで可愛いのに結構ヒドイこという蜂でした。



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