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世渡り上手なフェレットの話
怒られたって残る価値
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ガサゴソガサゴソ、お姉さんがいぬ間に、ムロン君が冷蔵庫をあさってしまいました。
その音を聞きつけたお姉さんは、すぐにキッチンにやって来て、ムロン君を怒ります。
カゴに入れられたムロン君のそばに座ったモモタは、訊きました。
「なんでそんなことしたの?
食べ物が台無しじゃない。
ムロン君が食べようとしたものだけ取ればよかったんじゃないの?」
「取れなかったのさ。上の方だったし、奥の方だったし」
「それなら我慢すべきだったでしょ?
それか、お姉さんにおねだりすればよかったんだよ」
「おねだりはしたよ。でもくれなかったんだ。
だって、あのお魚、お姉さんのおつまみだもの」
「そうなの?ご主人様のおつまみつまんじゃだめじゃない」
「だって、食べたかったんだもん」
「だからって、悪いことしたらいけないよ」
「もう怒られたからいいだろ?」
「怒られればいいってもんじゃないよ。
怒られること自体悪いことだよ」
「なんで?」
「なんでって・・・」
モモタは答えられません。
「あのおつまみとても美味しいんだ。しかもたまにしないんだよ。
今食べないと、次いつ食べるチャンスがあるか分からないよ。
あー美味しかったなぁ。とてもうま味が詰まっていて、噛めば噛むほど味が染み出すんだ」
ムロン君は、おつまみの味を思い出して、マッタリしています。
モモタは唾を飲みました。でも頭を横に振って、頑張って言いました。
「でも、怒られてつらかったでしょ?」
「全然。だって、怒られている間も、マッタリ幸せ気分だったもん」
「怒られてもいいから悪いことするなんておかしいよ」
「別に悪いことしたいわけじゃないよ。
やりたいことが悪いことだっただけだよ」
「いつも冷蔵庫をあさらないじゃない。
なら、そのおつまみがあるときだって、我慢できるでしょ?」
「我慢できるかできないかじゃないよ。
我慢すべきじゃないんだよ」
「どう言うこと?」
「あんな美味しいものを我慢するくらいなら、怒られた方がマシ。
他のだったら、怒られてまで食べなくてもいいんだけどね」
モモタには分かりません。
「怒られても食べたいものは確かにあるけれど、怒られたら、やっぱり後悔するなぁ」
「ああ、それは後悔すべきだね。
次からしないように気をつけなきゃ」
「なんで?同じじゃない。ムロン君も我慢しなきゃ」
「後悔している時点で、間違っているんだよ」
「悪いと言う気持ちがないの?」
「あるよ。ご主人様には悪いことしたなぁって思うけれど、成功してよかったなぁとも思っているよ。だって幸せなんだもの」
やっぱりモモタには分かりませんでした。
その音を聞きつけたお姉さんは、すぐにキッチンにやって来て、ムロン君を怒ります。
カゴに入れられたムロン君のそばに座ったモモタは、訊きました。
「なんでそんなことしたの?
食べ物が台無しじゃない。
ムロン君が食べようとしたものだけ取ればよかったんじゃないの?」
「取れなかったのさ。上の方だったし、奥の方だったし」
「それなら我慢すべきだったでしょ?
それか、お姉さんにおねだりすればよかったんだよ」
「おねだりはしたよ。でもくれなかったんだ。
だって、あのお魚、お姉さんのおつまみだもの」
「そうなの?ご主人様のおつまみつまんじゃだめじゃない」
「だって、食べたかったんだもん」
「だからって、悪いことしたらいけないよ」
「もう怒られたからいいだろ?」
「怒られればいいってもんじゃないよ。
怒られること自体悪いことだよ」
「なんで?」
「なんでって・・・」
モモタは答えられません。
「あのおつまみとても美味しいんだ。しかもたまにしないんだよ。
今食べないと、次いつ食べるチャンスがあるか分からないよ。
あー美味しかったなぁ。とてもうま味が詰まっていて、噛めば噛むほど味が染み出すんだ」
ムロン君は、おつまみの味を思い出して、マッタリしています。
モモタは唾を飲みました。でも頭を横に振って、頑張って言いました。
「でも、怒られてつらかったでしょ?」
「全然。だって、怒られている間も、マッタリ幸せ気分だったもん」
「怒られてもいいから悪いことするなんておかしいよ」
「別に悪いことしたいわけじゃないよ。
やりたいことが悪いことだっただけだよ」
「いつも冷蔵庫をあさらないじゃない。
なら、そのおつまみがあるときだって、我慢できるでしょ?」
「我慢できるかできないかじゃないよ。
我慢すべきじゃないんだよ」
「どう言うこと?」
「あんな美味しいものを我慢するくらいなら、怒られた方がマシ。
他のだったら、怒られてまで食べなくてもいいんだけどね」
モモタには分かりません。
「怒られても食べたいものは確かにあるけれど、怒られたら、やっぱり後悔するなぁ」
「ああ、それは後悔すべきだね。
次からしないように気をつけなきゃ」
「なんで?同じじゃない。ムロン君も我慢しなきゃ」
「後悔している時点で、間違っているんだよ」
「悪いと言う気持ちがないの?」
「あるよ。ご主人様には悪いことしたなぁって思うけれど、成功してよかったなぁとも思っているよ。だって幸せなんだもの」
やっぱりモモタには分かりませんでした。
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