猫のモモタ

緒方宗谷

文字の大きさ
上 下
258 / 502
俺たち最強、カウボーイハウスの仲間たちの話

大好きすぎて大嫌い

しおりを挟む
 最近、迷子の猟犬の女の子が、1匹カウボーイハウスに迷い込んできました。
 ビーグルより一回り小さくて、クリクリしたもこもこケア。白、茶、黒の三毛がチャームポイントの、とっても可愛い女の子です。
 ワイヤー・フォックス・テリアで、名前はルビーちゃんというそうです。
 でも来たばかりだし、ビーグル犬ではないので、みんなと打ち解けられずに1匹で端っこにお座りしていました。
 かわいそうに思ったモモタは、みんなに仲間にいれてあげたらどーお?と訊いてみます。
 「うーん、どうしようかなぁ」
 「どこかにご主人様がいるはずだよなぁ」
 みんな顔を見合わせて、考えあぐねている様でした。
 そんな中、六太が言います。
 「別に入れなくてもいいんじゃないか?」
 それを聞いて、モモタが言いした。
 「どうして?猫の僕は入れてくれたじゃない」
 確かにそうだと、みんなで話し合います。
 でも、はっきりと言わないだけで、みんな入れたくない様子です。
 ビーグルたちは、口々に言いました。
 「あの犬入れるのか?」
 「ビーグルの仲間にいらないよ」
 「そうだよ、第一大きさが違う」
 「名前の雰囲気も違う」
 「毛並みもね」
 そんな中、三太が視点を変えて言いました。
 「でも強そうだ。戦力になるよ、入れようよ」
 そうすると、みんなが口々に言いました。
 「寒さに強そう」
 「大きいから獲物が怯む」
 「めっちゃ可愛い」
 最後にデレデレしたテン太に、ルビーちゃんを入れたくない六太が嚙みつきました。
 六太は、もともと輔チームのリーダーでしたから、とても強いのです。
 一太に次ぐNO.2でした。ですから、みんな怖がりました。
 最初は嚙まれたくなくて、みんな何も言わなくなったけれど、嚙まれた犬たちは離れたところに集まって、「やり過ぎだよ」とヒソヒソ話すようになりました。
 六太は、もともとみんなに慕われていました。
 面倒見が良くて、大きな獲物も取れるので、憧れの的でした。
 なのに今は1匹ぽっち。ビーグルであることに自信があり過ぎて、結局ビーグルからも爪弾きになってしまいました。
 仲間意識が強すぎると、逆に仲間外し意識も強くなるんだなぁ、と思うモモタでした。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

月神山の不気味な洋館

ひろみ透夏
児童書・童話
初めての夜は不気味な洋館で?! 満月の夜、級友サトミの家の裏庭上空でおこる怪現象を見せられたケンヂは、正体を確かめようと登った木の上で奇妙な物体と遭遇。足を踏み外し落下してしまう……。  話は昼間にさかのぼる。 両親が泊まりがけの旅行へ出かけた日、ケンヂは友人から『旅行中の両親が深夜に帰ってきて、あの世に連れて行く』という怪談を聞かされる。 その日の放課後、ふだん男子と会話などしない、おとなしい性格の級友サトミから、とつぜん話があると呼び出されたケンヂ。その話とは『今夜、私のうちに泊りにきて』という、とんでもない要求だった。

こちら第二編集部!

月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、 いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。 生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。 そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。 第一編集部が発行している「パンダ通信」 第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」 片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、 主に女生徒たちから絶大な支持をえている。 片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには 熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。 編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。 この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。 それは―― 廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。 これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、 取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。

おなら、おもっきり出したいよね

魚口ホワホワ
児童書・童話
 ぼくの名前は、出男(でるお)、おじいちゃんが、世界に出て行く男になるようにと、つけられたみたい。  でも、ぼくの場合は、違うもの出ちゃうのさ、それは『おなら』すぐしたくなっちゃんだ。  そんなある日、『おならの妖精ププ』に出会い、おならの意味や大切さを教えてもらったのさ。  やっぱり、おならは、おもっきり出したいよね。

スペクターズ・ガーデンにようこそ

一花カナウ
児童書・童話
結衣には【スペクター】と呼ばれる奇妙な隣人たちの姿が見えている。 そんな秘密をきっかけに友だちになった葉子は結衣にとって一番の親友で、とっても大好きで憧れの存在だ。 しかし、中学二年に上がりクラスが分かれてしまったのをきっかけに、二人の関係が変わり始める……。 なお、当作品はhttps://ncode.syosetu.com/n2504t/ を大幅に改稿したものになります。 改稿版はアルファポリスでの公開後にカクヨム、ノベルアップ+でも公開します。

トウシューズにはキャラメルひとつぶ

白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
児童書・童話
白鳥 莉瀬(しらとり りぜ)はバレエが大好きな中学一年生。 小学四年生からバレエを習いはじめたのでほかの子よりずいぶん遅いスタートであったが、持ち前の前向きさと努力で同い年の子たちより下のクラスであるものの、着実に実力をつけていっている。 あるとき、ひょんなことからバレエ教室の先生である、乙津(おつ)先生の息子で中学二年生の乙津 隼斗(おつ はやと)と知り合いになる。 隼斗は陸上部に所属しており、一位を取ることより自分の実力を磨くことのほうが好きな性格。 莉瀬は自分と似ている部分を見いだして、隼斗と仲良くなると共に、だんだん惹かれていく。 バレエと陸上、打ちこむことは違っても、頑張る姿が好きだから。

「羊のシープお医者さんの寝ない子どこかな?」

時空 まほろ
児童書・童話
羊のシープお医者さんは、寝ない子専門のお医者さん。 今日も、寝ない子を探して夜の世界をあっちへこっちへと大忙し。 さあ、今日の寝ない子のんちゃんは、シープお医者んの治療でもなかなか寝れません。 そんなシープお医者さん、のんちゃんを緊急助手として、夜の世界を一緒にあっちへこっちへと行きます。 のんちゃんは寝れるのかな? シープお医者さんの魔法の呪文とは?

イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~

友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。 全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。

ゆめじゃないゆめ [連載版]

itaeya
児童書・童話
夢か幻か-大人も子供も引き込まれる、不思議な森へようこそ。 主人公のさとちゃんが歩き進む森。 そこで待ち受けていたのは、友達のまこちゃんや大好きなお母さんとの出会い。 そして、最後に待ち受けていたのは…。 さとちゃんが居る世界は一体、夢なのか現実なのか。 それぞれがさとちゃんに伝えるメッセージは、大人にも子供にもきっと大切なもの。 温かなものが心に残る一冊です。 ★絵本ひろばにて公開中の絵本"ゆめじゃないゆめ"の連載版です。 https://ehon.alphapolis.co.jp/content/detail/345

処理中です...