猫のモモタ

緒方宗谷

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怖いもの知らずな日本猿の話

見下す姿勢が成長を止める

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 猿たちは、毎日毎日畑を荒らしにやってきます。
 おじいちゃんは、自分達が食べるためにお野菜を作っているのに、サルたちに食べられてばかりでは、自分達の食べる分がなくなってしまうと思って、サルたちを追い返す策を考えました。
 モモタが見ている前で、たくさんのロケット花火を用意しています。そして、畑の数か所に柱を立てて、センサーを取り付けました。
 もし猿がやってきたら、センサーが作動して、ロケット花火が発射される仕組みです。
 おじいちゃんは妙案が思いついたと思って、自分で自分を褒めています。
 ひゅるるるるぅぅ~・・・パーン!!
 猿たちがびっくりして逃げていくのをお部屋の中から見ていたおじいちゃんは、とても大喜びです。
 ですが、しばらくすると、音になれたサルたちは、大きな音を立てて空ではじけるロケット花火に目もくれず、パクパクむしゃむしゃ、お野菜を食べるようになりました。
 おじいちゃんに「こらー!!」と追いかけられて茂みに入った猿たちは、叫びます。
 「バカにんげーん、お尻ペンペン、真っ赤だペン」
 おじいちゃんはカンカンになって、今度は畑をトゲトゲの針金の柵で囲いました。
 モモタがお鼻でトゲトゲを触ってみると、とっても痛い。これなら猿たちも来れないだろうな、と思いました。
 そうとは知らずにやって来た猿たちは、柵を登ろうとしてチクッ!
 「痛い!」
 チクチクッ
 「痛痛ぁい!」
 みんなびっくりして、柵には登らなくなりました。それをお家の中で見ていたおじいちゃんは、「ようし、やったっ」と手をたたいて喜びました。
 ですが、猿たちが柵の外でウロウロしていたのは、初めだけ。トゲとトゲの間に手足を引っ掛けて、悠々上って中に入るようになりました。
 でも、いちいちトゲを気にして上り下りしていたら、「こらー!」と追いかけてくるおじいちゃんに捕まるだろうな、とモモタは思いました。
 ですがそうはなりません。どうしてだろう? とモモタが見に行くと、柵の下に穴を掘ってあって、トンネルが出来ていたのです。
 これなら、追い詰められても猿たちは捕まらずに逃げられます。
 「もう、許さねえぞ」と怒り心頭のおじいちゃんは、今度はトゲトゲのない柵を立てて、柵の下にコンクリートを流しました。
 猿たちは笑いました。
 「なんだ、こんなの。トゲがあった前の方が、まだましじゃないか」
 ですが今度は、さすがのサルも度肝を抜かれました。 
 ビリビリビリビリ
 雷がほとばしって、猿の骨が透けたり透けなかったりして、真っ黒こげ。煙を吹かしながらやぶの中に逃げていきます。
 人間とお猿の知恵比べ、やっぱり人間が勝ちましたとさ。


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