猫のモモタ

緒方宗谷

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高速道路

相手次第で変わるもの

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 小さな汽車のような形をした車は、サービスエリアに停まりました。
 モモタは、長いこと車に揺られていたので、大きく背伸びをして、お友だちを探しました。
 すると、駐車場の植え込みの中から、大きなため息が聞こえます。
 モモタが草の合間を覗いてみると、1匹のアリの女王様が考え込んでいました。
 「どうしたの?アリの女王様?」
 「あら猫ちゃん、実はね、困ったことが分かっちゃたの。
  わたしには、1000匹のアリが仕えてくれているんだけれど、300匹くらいがぐーたらで、ちっとも働いてくれないのよ」
 モモタも一緒に考えます。
 「そうだ、その300匹だけに、特別なお仕事をあげてみたら?
  そうしたら、自分たちだけでしないといけないから、一生懸命働くんじゃない?」
 「あら、それは妙案ね」
 女王様は、喜んでその案を取り入れて、ぐーたらアリたちにお仕事を命じます。
 300匹のアリたちは、巣の中から出てきて、女王様に、アメが落ちているから取ってきて、と言われた方角を見やります。そして言いました。
 「お前ら行ってこいよ」
 「嫌だよ、面倒くさい。お前が行ってこいよ」
 みんながみんなで押し付け合います。
 しばらくすると、彼らのそばを列なして歩いていた働きアリに、ぐーたらアリたちが言いました。
 「なあ、お前たち、あっちにあるアメとって来いよ。
  あのアメさえあれば、当分おやつには困らないぞ」
 「えー、もう、しょうがないなぁ」
 働きアリたちは渋りましたが、しつこく行け行け、と言われて、仕方なく取りに行きました。
 ぐーたらアリたちは、働きアリが持って帰ってきたアメを持って、女王様のところに行きました。
 初めは喜んだ女王様でしたが、後になってズルが分かってカンカンです。
 怒った女王様は、300匹を追い出してしまいました。
 ぐーたらアリは、口々に文句を良い合いましたが、後の祭りです。
 300匹は、仕方なく自分達で巣を作りはじめます。
 モモタはそれを見て、「あんなにサボり魔だったのに、みんな働き者になってるー!」とびっくりしました。
 ですが、同じアリしか出たり入ったりしていません。えっほ、えっほ、と土を掘って出てくるアリに、モモタは訊きました。
 「他のみんなはどうしたの?」
 巣のお部屋を増やしたり、赤ちゃんをあやしたりしているよ。
 モモタは、「本当は働き者だったのなら、初めから働いていればよかったのに」と笑います。
 すると、アリはため息をついて言いました。
 「みんながみんな働いているわけじゃないよ。
 90匹ほどゴロゴロしているアリがいるんだ」
 よく見ていると、働いているアリたちの言う通りです。
 100匹ちょっとしか働いていません。土を抱えて出てくるアリの中には、いるはずのアリたちが一部いません。
 もし、その90匹が追い出されたら、どうなってしまうのでしょうか。

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