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ずっと犬生敵だらけ、黒犬の話
自分に見せる相手への態度
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小さな丘の裏の斜面のそばにあるボロボロの空き家に、1匹の黒犬が住んでいました。
「グルルルル~、ワン!ワン!ワン!」
いつもいつも吼えています。何で吼えているのか分かりません。だって1匹ぽっちで吼えているのですから。
モモタは怖くて近づきません。前に一度この空家そばを通った時に、吠えて追い立てられたことがあったので、もう2度と近づかない、と決めました。
ですがある日、遠くに見える空き家が視界に入った時、空き家を見るスピッツの女の子がいるを見つけました。
丘の裏の急斜面なところには、空き家意外のお家はありません。スピッツの女の子は首輪をしていますから、野良ではないようです。
飼い犬なのに誰ともいません。モモタは不思議に思いました。女の子の首輪にはお家用のリードがついていたからです。
モモタが行って見てみると、リードの先には杭がついていました。無理やり地面から抜いて、ここまで来たようです。
女の子は、いろいろ迷った素振りを見せていったり来たりしてから、意を決したように背筋を伸ばして、怖そうな黒犬のところに行きました。
「ねえ、ひびき君、わたしの話を聞いて」
「うるせー!近寄るな」
黒犬のひびき君は、せっかく話しかけてくれた女の子を怒鳴りつけ、グルルルル、と唸ったり吠え猛りながら、自分の尻尾を追いかけてぐるぐる回っています。
「あのね、あなたが追いかけてるの、意地悪な何かじゃないのよ、あなたのシッポなのよ」
「嘘つくな!俺のシッポが、俺のお股をパタパタ叩くわけねーだろ」
怒ったひびき君は、鋭い牙を見せて女の子を追い回します。
女の子に追いつけなくて1匹で戻ってきた黒犬に、木の上で見ていたモモタが言いました。
「ねえ、せっかく可愛い女の子が教えてくれたのに、いじめるなんてひどいよ」
「何だ!お前も言うか!俺の事をバカにしやがって!」
そう言い終わるや否や、黒犬は走ってモモタのいる木の下まで来て吠えました。
「ひびき君は、そんなだから1匹ぽっちなんだよ。
吠えるのやめてよ、やめたら絶対あの子お友達になってくれるよ」
逃げる間がなくて、木から下りられなかったモモタは、恐る恐る真下で吼えるひびき君に言いました。
ですが、言えばいうほどひびき君は激しくまくし吠えます。
木を下りたら食べられちゃいそうなので、ひびき君があきらめて空家に帰るまで、モモタは木の上で縮こまっていることにしました。
「やっぱり話しかけなければ良かったなぁ」
結局夜まで木の上で震えていたモモタでした。
「グルルルル~、ワン!ワン!ワン!」
いつもいつも吼えています。何で吼えているのか分かりません。だって1匹ぽっちで吼えているのですから。
モモタは怖くて近づきません。前に一度この空家そばを通った時に、吠えて追い立てられたことがあったので、もう2度と近づかない、と決めました。
ですがある日、遠くに見える空き家が視界に入った時、空き家を見るスピッツの女の子がいるを見つけました。
丘の裏の急斜面なところには、空き家意外のお家はありません。スピッツの女の子は首輪をしていますから、野良ではないようです。
飼い犬なのに誰ともいません。モモタは不思議に思いました。女の子の首輪にはお家用のリードがついていたからです。
モモタが行って見てみると、リードの先には杭がついていました。無理やり地面から抜いて、ここまで来たようです。
女の子は、いろいろ迷った素振りを見せていったり来たりしてから、意を決したように背筋を伸ばして、怖そうな黒犬のところに行きました。
「ねえ、ひびき君、わたしの話を聞いて」
「うるせー!近寄るな」
黒犬のひびき君は、せっかく話しかけてくれた女の子を怒鳴りつけ、グルルルル、と唸ったり吠え猛りながら、自分の尻尾を追いかけてぐるぐる回っています。
「あのね、あなたが追いかけてるの、意地悪な何かじゃないのよ、あなたのシッポなのよ」
「嘘つくな!俺のシッポが、俺のお股をパタパタ叩くわけねーだろ」
怒ったひびき君は、鋭い牙を見せて女の子を追い回します。
女の子に追いつけなくて1匹で戻ってきた黒犬に、木の上で見ていたモモタが言いました。
「ねえ、せっかく可愛い女の子が教えてくれたのに、いじめるなんてひどいよ」
「何だ!お前も言うか!俺の事をバカにしやがって!」
そう言い終わるや否や、黒犬は走ってモモタのいる木の下まで来て吠えました。
「ひびき君は、そんなだから1匹ぽっちなんだよ。
吠えるのやめてよ、やめたら絶対あの子お友達になってくれるよ」
逃げる間がなくて、木から下りられなかったモモタは、恐る恐る真下で吼えるひびき君に言いました。
ですが、言えばいうほどひびき君は激しくまくし吠えます。
木を下りたら食べられちゃいそうなので、ひびき君があきらめて空家に帰るまで、モモタは木の上で縮こまっていることにしました。
「やっぱり話しかけなければ良かったなぁ」
結局夜まで木の上で震えていたモモタでした。
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