猫のモモタ

緒方宗谷

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おせっかいな蜜蜂の話

1たす1は1.75

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 ある日、蜜蜂の巣から新しい女の子が出てきて、働き始めました。
 まだまだたくさんの赤ちゃんがいますから、やることが山盛りで大変です。
 教える担当は、みっちゃんが任されました。
 巣から飛び立ったばかりの女の子は、まだうまく飛べませんが、初めから出来る以上の事を色々教わっています。
 みっちゃんはみっちゃんで、色々お仕事をしながらなので大変です。
 それでも新人に手取り足取り色々言ってあげるので、モモタは、みっちゃんはすごいんだなぁ、と思いながら見ていました。
 近くのあぜ道でお花が一斉に咲くと、更に忙しくなります。
 さすがの言いたがりなみっちゃんも言いきることが出来ません。
 仕方がないので、他の仕事をしていた働き蜂を呼んで、教えるように言いました。
 「フォロー入ってあげて」
 やってきた働き蜂は、みっちゃんと違って全部一度にやらせようとはしません。
 飛び方と花へのとまり方だけを教えました。
 出来る範囲の仕事だけをさせて、出来ないところは働き蜂がしてあげています。
 モモタは、教えるのが上手いなぁ、と思いました。
 みっちゃんは別の仕事で行ったり来たりしながら、2匹をチラチラ見ていました。
 ですが、我慢できないみっちゃんは口を挟みます。
 「全部その子にやらせてあげて」
 そう言われた働き蜂は、仕方がないので蜜を取るのも花粉を取るのも巣の材料を作るのも赤ちゃんごはんを作るのも針の刺し方も、みんなみっちゃんの言うままに教えます。
 働き蜂が何か教えると、みっちゃんがいちいち口を出すので、新人は大混乱。何をしていいか分かりません。
 花粉をこねるように言われて手に花粉を取りますが、蜜を取る様にも言われています。
 右手で花粉、左手で蜜を取ってしまい、どうしていいか分かりません。
 ドンドン作業が遅れていきます。それを挽回するために、さらにみっちゃんはああでもないこうでもない、と言いました。
 せっかく呼んだ働き蜂なのに、すぐそばにいる2匹を繋ぐ連絡役にしかなっていません。
 そうこうする内に陽がくれてきて、みっちゃんは自分の仕事も終わりそうにないのに気が付きました。
 そこで、みっちゃんは働き蜂に言いました。
 「私はこっちの仕事をするから、これやってください」
 みっちゃんは、働き蜂に自分の仕事をお願いしたのです。それが終わるまで新人は放りっぱなしです。
 それでも終わりそうにないので、見かねた別の働き蜂がやって来て、新人蜂に教えてあげます。
 立て直しにまだ時間がかかると思ったみっちゃんは、自分の仕事に戻った最初の働き蜂に、2匹を手伝うように言いました。
 新人蜂の仕事ははかどりましたが、今度は最初の働き蜂の仕事がほったらかしです。
 また別の働き蜂がやって来て、放ってある仕事を手伝います。
 そうすると、今やって来た3匹目のお仕事がすすまないので、別の働き蜂が手伝いにきました。
 そうやって別の働き蜂が別の仕事を手伝ってあげた結果、最後に手伝いに来た働き蜂のお仕事が遅れ始めたので、みっちゃんが手伝ってあげました。
 モモタは、(みんなで、そんなに右往左往するなら、別のお仕事に口出すのやめたら?)と思いましたが、みっちゃんはとても満足気な笑顔で汗をぬぐっていたので、とても言えませんでした。





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