166 / 502
海辺のお友達
破ることも大事なこと
しおりを挟む
岩場で面白い生き物がたくさんいるのに気が付きました。以前ヤドカリが背負ったイソギンチャクです。
水から出ている子は丸まって硬いのに、水に浸かっている子は、ふさふさの髪の毛みたいなのをユラユラさせています。
目も顔も手足もありません。そんなお友達とお話するのは初めてなので、モモタはずっと眺めていました。
「あーあ、もし私が泳げたら、あの水平線の向こうまで泳いで行くのになぁ」
「行けば良いじゃない」
「行けるわけないわ」
「そんなことないよ、サメさんの話だと、海の底は砂浜らしいよ、歩いていけるよ」
イソギンチャクは、モモタの言うことを聞き流してそっぽを向いて言いました。
「あーあ、もし私に足があったら、しょっぱくない水を飲みに川まで行ってみるのになぁ」
「行けば良いじゃない。
海は川と繋がっているから、水から出なくてもいけるんだよ」
イソギンチャクは、モモタに言い返しました。
「いい加減な事ばかり言わないでよ!私には手も足もないし、岩にくっついているから、ここから動けないの。
良いわね、猫さんは!だって自由にどこにだって行けるんだから」
「そんなことないよ、僕も君と変わらないよ。
だって、水の中には入れないし、お空だって飛べないもん」
「でも、むこうの山には行けるでしょ?」
イソギンチャクは、ずっと文句を言い続けています。それを理由に、なんて自分は不幸なんだと言います。そこでモモタは言いました。
「それは違うと思うよ、岩にくっついてて離れないってことを理由にして、動こうとしないんだ。
だって、岩からヤドカリのお家に引っ越すところを見た事あるもん」
「そうできるイソギンチャクがいるからって、みんなが出来るとは限らないわ。
私は出来ないイソギンチャクなの、そう言う私なの。
どうして同情してくれないの?ひどいわ、そういうこと言って私を傷つけるなんて」
夢を叶えてあげようとアドバイスしてあげたのに、モモタは怒られてしまいました。
何を言っても出来ない出来ないとしか言いません。結局何もする気は無いようです。
モモタは教えてあげました。
「君はもう水平線の向こうまで行っているよ。
だって、むこうの水平線から見たら、こっちも水平線の向こうだもの」
イソギンチャクは理解してくれませんでした。
水から出ている子は丸まって硬いのに、水に浸かっている子は、ふさふさの髪の毛みたいなのをユラユラさせています。
目も顔も手足もありません。そんなお友達とお話するのは初めてなので、モモタはずっと眺めていました。
「あーあ、もし私が泳げたら、あの水平線の向こうまで泳いで行くのになぁ」
「行けば良いじゃない」
「行けるわけないわ」
「そんなことないよ、サメさんの話だと、海の底は砂浜らしいよ、歩いていけるよ」
イソギンチャクは、モモタの言うことを聞き流してそっぽを向いて言いました。
「あーあ、もし私に足があったら、しょっぱくない水を飲みに川まで行ってみるのになぁ」
「行けば良いじゃない。
海は川と繋がっているから、水から出なくてもいけるんだよ」
イソギンチャクは、モモタに言い返しました。
「いい加減な事ばかり言わないでよ!私には手も足もないし、岩にくっついているから、ここから動けないの。
良いわね、猫さんは!だって自由にどこにだって行けるんだから」
「そんなことないよ、僕も君と変わらないよ。
だって、水の中には入れないし、お空だって飛べないもん」
「でも、むこうの山には行けるでしょ?」
イソギンチャクは、ずっと文句を言い続けています。それを理由に、なんて自分は不幸なんだと言います。そこでモモタは言いました。
「それは違うと思うよ、岩にくっついてて離れないってことを理由にして、動こうとしないんだ。
だって、岩からヤドカリのお家に引っ越すところを見た事あるもん」
「そうできるイソギンチャクがいるからって、みんなが出来るとは限らないわ。
私は出来ないイソギンチャクなの、そう言う私なの。
どうして同情してくれないの?ひどいわ、そういうこと言って私を傷つけるなんて」
夢を叶えてあげようとアドバイスしてあげたのに、モモタは怒られてしまいました。
何を言っても出来ない出来ないとしか言いません。結局何もする気は無いようです。
モモタは教えてあげました。
「君はもう水平線の向こうまで行っているよ。
だって、むこうの水平線から見たら、こっちも水平線の向こうだもの」
イソギンチャクは理解してくれませんでした。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
子猫マムと雲の都
杉 孝子
児童書・童話
マムが住んでいる世界では、雨が振らなくなったせいで野菜や植物が日照り続きで枯れ始めた。困り果てる人々を見てマムは何とかしたいと思います。
マムがグリムに相談したところ、雨を降らせるには雲の上の世界へ行き、雨の精霊たちにお願いするしかないと聞かされます。雲の都に行くためには空を飛ぶ力が必要だと知り、魔法の羽を持っている鷹のタカコ婆さんを訪ねて一行は冒険の旅に出る。
フラワーキャッチャー
東山未怜
児童書・童話
春、中学1年生の恵梨は登校中、車に轢かれそうになったところを転校生・咲也(さくや)に突き飛ばされて助けられる。
実は咲也は花が絶滅した魔法界に花を甦らせるため、人の心に咲く花を集めに人間界にやってきた、「フラワーキャッチャー」だった。
けれど助けられたときに、咲也の力は恵梨に移ってしまった。
これからは恵梨が咲也の代わりに、人の心の花を集めることが使命だと告げられる。
恵梨は魔法のペンダントを預けられ、戸惑いながらもフラワーキャッチャーとしてがんばりはじめる。
お目付け役のハチドリ・ブルーベルと、ケンカしつつも共に行動しながら。
クラスメートの女子・真希は、恵梨の親友だったものの、なぜか小学4年生のあるときから恵梨に冷たくなった。さらには、咲也と親しげな恵梨をライバル視する。
合唱祭のピアノ伴奏に決まった恵梨の友人・奏子(そうこ)は、飼い猫が死んだ悲しみからピアノが弾けなくなってしまって……。
児童向けのドキワクな現代ファンタジーを、お楽しみいただけたら♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる