猫のモモタ

緒方宗谷

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愛を語るペルシャ猫の話

言葉の理由を見る視力

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 とても大きなお家が、いくつも並んでいます。
 どこのお家のお庭で遊ぼうかと考えながら、モモタは塀の上を歩いていました。
 「あら?見慣れない猫ちゃんね?」
 モモタが声の方を見ると、出窓の内側に、ふわふわで青みがかった毛色のペルシャ猫がいます。
 「わっ、なんて可愛い猫ちゃんなの!」
 一目ぼれでした。
 それからというもの、モモタは毎日毎日、ペルシャ猫のマリーちゃんに会いに行きました。
 「マリーちゃん、お魚のソーセージを貰ったから、一緒に食べようよ」
 モモタは、昨日もらったおやつを食べずに我慢して、丘の上まで持って来て言いました。
 「ごめんなさいね、わたし、ご飯食べたばかりで、お腹が空いていないのよ」
 せっかく持ってきたのにガッカリです。
 ですがモモタは諦めません。可愛いマリーちゃんにゾッコンでしたから、毎日毎日プレゼントを持って、出かけて行きました。
 「マリーちゃん、今日はお魚を持ってきたんだ。
  とってもおいしいから、良かったらどうぞ」
 「あら、嬉しいわね、ありがとう。
  でも、遠慮するわ」
 「どうして?下のお魚屋さんでもらってきた、ピチピチのヒラメだよ」
 マリーは、ニッコリとほほ笑んでくれはしましたが、やっぱりもらってはくれませんでした。
 「どうしてもらってくれないの?僕、マリーちゃんの事が好き好き大好きで、居ても立ってもいられないんだ」
 しょんぼりするモモタに、マリーは優しく言います。
 「わたしにプレゼントをくれるのは、わたしのためにではないの。
  あなたのためにわたしにくれるのよ。
  だから、わたしは貰えないわ。あなたご自身でお食べになって」
 「僕にために、君にあげてるの?」
 モモタには、マリーが何を言っているのか分かりません。
 「あなたはわたしに愛してほしいのでしょう?そう思ってくれるのは、とても嬉しいわ」
 そう言い終わると、マリーはご主人様のところに呼ばれて行きました。




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