120 / 502
世界の中心、揚羽蝶の話
選ぶと嫌いも好きになる
しおりを挟む
蜜集めをサボっていた黄蝶が、楽しそうに蜜を集めるアゲハちゃんを眺めていました。
「何で、あなた達って、楽しそうにご飯を集めていられるのかしら。
生きるための大事なお仕事なのに、遊んでいるように見えて、良くないわ」
たっぷりと蜜デートを楽しんだ揚羽蝶の2匹と、野ネズミを捕まえてきたモモタが、バルコニーの日陰でお昼ご飯を食べようとしたときに、黄蝶が話しかけてきたので、おしゃべりしながらご飯を食べる事にしました。
「ご飯を集めて盛り付けるのが趣味よ。
生きるとこが趣味も兼ねているのよ」
「うん、僕もそうだよ」とモモタも言って続けます。
「ヒュッて動くのを見ると、つい追いかけちゃんだ」
「良いわね、趣味が生活だなんて」
「あら、あなたもそうすればいいでしょ?」
「出来ないわ、それに、生活で遊ぶなんてよくないわ」
「どうして?どうして生活を楽しむのが悪いの?
アゲハちゃんも紋黄蝶も楽しそうに生きることをしてるよ」
「生きることは頑張ってするものでしょう?」
モモタの話にため息をついて答える黄蝶に、アゲハちゃんが言いました。
「頑張って楽しめばいいじゃない。」
「でも、趣味を生活に出来るとは限らないわ」
「出来ないとも限らないでしょう?それでもできないって言うんなら、生活を趣味にしてしまえばいいのよ」
逆になっただけで、同じことを言っています。
「あの花と、その花と、この花と、むこうと、そっちと、あっちと、こっちのお花で、蜜を集めたいのはあるの?」
「ないわ、どれも好きな味じゃないもの」
「じゃあ、一番好きじゃなさそうのはどれ?」
「そっちのかなぁ」
「じゃあ、一番好きじゃなさそうでなさそうなのはどれ?」
「あの花かなぁ」
黄蝶が渋々選ぶと、アゲハちゃんは言いました。
「じゃあ、一番好きじゃなさそうな花の蜜は飲めなくても、あれ1輪だけなら飲めるでしょう?」
そう語りかけながら、黄蝶の手を引いて、お花に飛んで行きます。
「じゃあ、このお花は他のよりおいしいそうってことよね。
あら、美味しいじゃない、黄蝶ちゃんも飲んでみなさいよ」
一口飲んだ黄蝶は首をかしげます。アゲハちゃんが一緒にいたアゲハ君に訊きました。
「アゲハ君もおいしいと思うでしょ?」
「そうだね、とても美味しいよ」
「みんな、このお花の蜜おいしいわよ、おすそ分けし得てあげるから、いらっしゃい」
集まってきた子供の紋黄蝶に蜜を取ってあげたアゲハちゃんは、みんなに美味しいか訊きました。
「10輪中、ナンバーワンの美味しさよ、美味しいでしょ?」
「うん、本当おいしいよー」
ワイワイとピクニックをするみんなの前で、美味しくないと言えない黄蝶は、2番目3番目に好きじゃなさそうでなさそうな花の蜜も飲んでいきます。
そのうち、みんなでワイワイしているのが楽しくて、美味しく感じるようになってきました。
モモタは気が付いて、思いました。
「あれあれ?いつの間にか、黄蝶の女の子の困りごとが解決してるじゃない。
いつどうやって解決したのかなぁ」
やっぱり蝶々は魔法が使える様です。アゲハちゃんが使っているのは、言葉のマジックでした。
「何で、あなた達って、楽しそうにご飯を集めていられるのかしら。
生きるための大事なお仕事なのに、遊んでいるように見えて、良くないわ」
たっぷりと蜜デートを楽しんだ揚羽蝶の2匹と、野ネズミを捕まえてきたモモタが、バルコニーの日陰でお昼ご飯を食べようとしたときに、黄蝶が話しかけてきたので、おしゃべりしながらご飯を食べる事にしました。
「ご飯を集めて盛り付けるのが趣味よ。
生きるとこが趣味も兼ねているのよ」
「うん、僕もそうだよ」とモモタも言って続けます。
「ヒュッて動くのを見ると、つい追いかけちゃんだ」
「良いわね、趣味が生活だなんて」
「あら、あなたもそうすればいいでしょ?」
「出来ないわ、それに、生活で遊ぶなんてよくないわ」
「どうして?どうして生活を楽しむのが悪いの?
アゲハちゃんも紋黄蝶も楽しそうに生きることをしてるよ」
「生きることは頑張ってするものでしょう?」
モモタの話にため息をついて答える黄蝶に、アゲハちゃんが言いました。
「頑張って楽しめばいいじゃない。」
「でも、趣味を生活に出来るとは限らないわ」
「出来ないとも限らないでしょう?それでもできないって言うんなら、生活を趣味にしてしまえばいいのよ」
逆になっただけで、同じことを言っています。
「あの花と、その花と、この花と、むこうと、そっちと、あっちと、こっちのお花で、蜜を集めたいのはあるの?」
「ないわ、どれも好きな味じゃないもの」
「じゃあ、一番好きじゃなさそうのはどれ?」
「そっちのかなぁ」
「じゃあ、一番好きじゃなさそうでなさそうなのはどれ?」
「あの花かなぁ」
黄蝶が渋々選ぶと、アゲハちゃんは言いました。
「じゃあ、一番好きじゃなさそうな花の蜜は飲めなくても、あれ1輪だけなら飲めるでしょう?」
そう語りかけながら、黄蝶の手を引いて、お花に飛んで行きます。
「じゃあ、このお花は他のよりおいしいそうってことよね。
あら、美味しいじゃない、黄蝶ちゃんも飲んでみなさいよ」
一口飲んだ黄蝶は首をかしげます。アゲハちゃんが一緒にいたアゲハ君に訊きました。
「アゲハ君もおいしいと思うでしょ?」
「そうだね、とても美味しいよ」
「みんな、このお花の蜜おいしいわよ、おすそ分けし得てあげるから、いらっしゃい」
集まってきた子供の紋黄蝶に蜜を取ってあげたアゲハちゃんは、みんなに美味しいか訊きました。
「10輪中、ナンバーワンの美味しさよ、美味しいでしょ?」
「うん、本当おいしいよー」
ワイワイとピクニックをするみんなの前で、美味しくないと言えない黄蝶は、2番目3番目に好きじゃなさそうでなさそうな花の蜜も飲んでいきます。
そのうち、みんなでワイワイしているのが楽しくて、美味しく感じるようになってきました。
モモタは気が付いて、思いました。
「あれあれ?いつの間にか、黄蝶の女の子の困りごとが解決してるじゃない。
いつどうやって解決したのかなぁ」
やっぱり蝶々は魔法が使える様です。アゲハちゃんが使っているのは、言葉のマジックでした。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
悪女の死んだ国
神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。
悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか.........
2話完結 1/14に2話の内容を増やしました
ぼくの家族は…内緒だよ!!
まりぃべる
児童書・童話
うちの家族は、ふつうとちょっと違うんだって。ぼくには良く分からないけど、友だちや知らない人がいるところでは力を隠さなきゃならないんだ。本気で走ってはダメとか、ジャンプも手を抜け、とかいろいろ守らないといけない約束がある。面倒だけど、約束破ったら引っ越さないといけないって言われてるから面倒だけど仕方なく守ってる。
それでね、十二月なんて一年で一番忙しくなるからぼく、いやなんだけど。
そんなぼくの話、聞いてくれる?
☆まりぃべるの世界観です。楽しんでもらえたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる