猫のモモタ

緒方宗谷

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動物園のお友達

助け合いって、望まなくても報われるよ

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 モモタは、お気に入りの場所を見つけました。
 この辺りのオリには、鳥しかいません。とても珍しくて美味しそうな鳥たちでした。
 そのオリの一つに、たくさんの小鳥がひしめいています。
 中を覗くと、ママたちがいっぱい卵を産んで、楽しそうにヒナを育てていました。
 モモタが見ていると、オスたちは、あっちのママのところに餌を持って行ったり、こっちのママのところに餌を持って行ったりしています。
 「どうして、好きなママのところにご飯を持って行かないの?」
 「何言ってるの、みんな好きなママだよ」
 「うっそだー、一度にたくさん好きになれないでしょう?
  それに、あの子は君の子なの?匂いが全然違うじゃない」
 「どうだろうね、そうかもしれないし、違うかもしれない。
  でも、ご飯をあげずにイクメンになれないよりはましだよ。
  君は赤ちゃんを育てたことないだろう?やってみると、とても大変なんだ。
  とてもじゃないけど、2羽だけじゃやっていけないよ」
 モモタが見渡すと、ママたちは色々なオスと仲良くしています。
 パパたちも色々なメスと仲良くしていました。
 「一番大好きな子とずっと一緒にいるのも良いけれど、みんなと仲良く過ごすのも良いものだよ。
  そういう生活には、ここはまさに天国だよね。
  人間がたくさんご飯をくれるし、オスもメスもたくさんいるし、僕たちを食べちゃうモモタも入って来れない。
  まさに、いたれりつくせりだよ」
 モモタが見渡すと、確かにみんな幸せそう。子供たちもぴよぴよ楽しげに鳴いています。 
 たくさんの鳥の群れを見たことはありますが、こんな大家族は見たことありません。他の動物園にも親戚がいるそうです。
 モモタは言いました。
 「夫婦だけで育てていると、餌を持ってくるオスは1羽でヒナとママと自分の分を捕らなきゃならないもんね」
 「そうさ、子育てが大変だと、産みたくなくなっちゃう。
  でも自分の子供を育てるって、本来楽しい事なんだ。
  自分のって言うのは、血の繋がりも関係ないよ、自分のって思える環境の事なんだ」
 モモタは、奪い合っているか知らんぷりしているお友達をたくさん見てきたので、とても良い家族だなぁ、と思いました。

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