猫のモモタ

緒方宗谷

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山の上のお友達

似ているどうしは好きどうし

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 モモタが山に遊びに行くと、アゲハちゃんはお出かけ中でした。そこで、なにか面白い事が無いかキョロキョロしていると、アリの行列の中に他の虫がいるのに気が付きました。
 「へぇ、不思議、自分からご飯になりに来るなんて、アリたちにはありがたい虫だね」
 そういうモモタに、この虫は慌ててシー!シー!とします。
 「?ご飯じゃないの?ご飯じゃないのに、何で君はアリの行列に並んで巣に行こうとするの?」
 アリじゃない虫が、モモタを呼んで行列から離れました。
 「大声で僕の事を話さないでくれよう、バレちゃうじゃないかよう」
 「ばれる?何が?」
 「僕はハネカクシと言って、アリのふりをして暮らしているのさ」
 モモタは笑いました。なぜならハネカクシは、ハサミムシの様な姿をしていたからです。とても寸胴で、アリの様にくびれていません。
 「可笑しいの、全然似ていないじゃない」
 「目を瞑って、僕を嗅いでごらんよう、誰だと思うか言ってごらんよう」
 モモタは、言われるがままにそうしてみてびっくりです。
 「えぇ!?不思議!蟻がいる!!」
 「そうだろう?僕がありに思えてきただろう?」
 「でも見た目でばれるじゃない。
  目を開けたらアリじゃないってわかっちゃうよ」
 そういうモモタに、ハネカクシは自慢げに教えてくれました。
 「世の中には目で見る事がすべてじゃない事もあるんだよ。
  君は目で世界を見ているのかもしれないけれど、僕たちは臭いで世界を見ているんだ。
  手触りで世界を見ている友達もいるよ」
 モモタは、色々な世界を見たいと思っていたので、ハネカクシについて勉強する事にしました。
 「いやー、今日もご苦労様、たくさんご飯が捕れたんだろう?僕が運んであげるから、少し渡しなよ」
 ハネカクシはそう言ってアリを労います。
 「いやー、悪いね、今日は遠くまでご飯を捕りに行ってとても疲れているんだ、助かるよ」
 モモタが手伝ってあげてエライなぁと思っている矢先、ハネカクシは受け取ったご飯を食べてしまいました。
 「ねぇ、ねぇ、おにーちゃん、お腹が空いたよう、ご飯わけてよう」
 「しょうがないなぁ、さあ、たんとお食べ」
 子供のフリしてご飯をねだるハネカクシの可愛さに、アリは困りながらも嬉しそうにご飯を分けてあげました。
 ハネカクシは1日中そうして過ごした後、言いました。
 「ああ、お腹いっぱい、そろそろお家に帰っておねむの時間だな」
 「一日中ご飯をねだっていたけど、いつ働いているの?」
 「働かないよう、だって働きアリたちがいくらでもご飯を持って来てくれるから」
 モモタはびっくりしました。
 「アリさんたちは、どうして君を住まわせてあげているんだろう」
 「そりゃ、気付いていないからだよう」
 それ、だましているだけじゃない、と思うモモタでした。




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