100 / 502
山の上のお友達
似ているどうしは好きどうし
しおりを挟む
モモタが山に遊びに行くと、アゲハちゃんはお出かけ中でした。そこで、なにか面白い事が無いかキョロキョロしていると、アリの行列の中に他の虫がいるのに気が付きました。
「へぇ、不思議、自分からご飯になりに来るなんて、アリたちにはありがたい虫だね」
そういうモモタに、この虫は慌ててシー!シー!とします。
「?ご飯じゃないの?ご飯じゃないのに、何で君はアリの行列に並んで巣に行こうとするの?」
アリじゃない虫が、モモタを呼んで行列から離れました。
「大声で僕の事を話さないでくれよう、バレちゃうじゃないかよう」
「ばれる?何が?」
「僕はハネカクシと言って、アリのふりをして暮らしているのさ」
モモタは笑いました。なぜならハネカクシは、ハサミムシの様な姿をしていたからです。とても寸胴で、アリの様にくびれていません。
「可笑しいの、全然似ていないじゃない」
「目を瞑って、僕を嗅いでごらんよう、誰だと思うか言ってごらんよう」
モモタは、言われるがままにそうしてみてびっくりです。
「えぇ!?不思議!蟻がいる!!」
「そうだろう?僕がありに思えてきただろう?」
「でも見た目でばれるじゃない。
目を開けたらアリじゃないってわかっちゃうよ」
そういうモモタに、ハネカクシは自慢げに教えてくれました。
「世の中には目で見る事がすべてじゃない事もあるんだよ。
君は目で世界を見ているのかもしれないけれど、僕たちは臭いで世界を見ているんだ。
手触りで世界を見ている友達もいるよ」
モモタは、色々な世界を見たいと思っていたので、ハネカクシについて勉強する事にしました。
「いやー、今日もご苦労様、たくさんご飯が捕れたんだろう?僕が運んであげるから、少し渡しなよ」
ハネカクシはそう言ってアリを労います。
「いやー、悪いね、今日は遠くまでご飯を捕りに行ってとても疲れているんだ、助かるよ」
モモタが手伝ってあげてエライなぁと思っている矢先、ハネカクシは受け取ったご飯を食べてしまいました。
「ねぇ、ねぇ、おにーちゃん、お腹が空いたよう、ご飯わけてよう」
「しょうがないなぁ、さあ、たんとお食べ」
子供のフリしてご飯をねだるハネカクシの可愛さに、アリは困りながらも嬉しそうにご飯を分けてあげました。
ハネカクシは1日中そうして過ごした後、言いました。
「ああ、お腹いっぱい、そろそろお家に帰っておねむの時間だな」
「一日中ご飯をねだっていたけど、いつ働いているの?」
「働かないよう、だって働きアリたちがいくらでもご飯を持って来てくれるから」
モモタはびっくりしました。
「アリさんたちは、どうして君を住まわせてあげているんだろう」
「そりゃ、気付いていないからだよう」
それ、だましているだけじゃない、と思うモモタでした。
「へぇ、不思議、自分からご飯になりに来るなんて、アリたちにはありがたい虫だね」
そういうモモタに、この虫は慌ててシー!シー!とします。
「?ご飯じゃないの?ご飯じゃないのに、何で君はアリの行列に並んで巣に行こうとするの?」
アリじゃない虫が、モモタを呼んで行列から離れました。
「大声で僕の事を話さないでくれよう、バレちゃうじゃないかよう」
「ばれる?何が?」
「僕はハネカクシと言って、アリのふりをして暮らしているのさ」
モモタは笑いました。なぜならハネカクシは、ハサミムシの様な姿をしていたからです。とても寸胴で、アリの様にくびれていません。
「可笑しいの、全然似ていないじゃない」
「目を瞑って、僕を嗅いでごらんよう、誰だと思うか言ってごらんよう」
モモタは、言われるがままにそうしてみてびっくりです。
「えぇ!?不思議!蟻がいる!!」
「そうだろう?僕がありに思えてきただろう?」
「でも見た目でばれるじゃない。
目を開けたらアリじゃないってわかっちゃうよ」
そういうモモタに、ハネカクシは自慢げに教えてくれました。
「世の中には目で見る事がすべてじゃない事もあるんだよ。
君は目で世界を見ているのかもしれないけれど、僕たちは臭いで世界を見ているんだ。
手触りで世界を見ている友達もいるよ」
モモタは、色々な世界を見たいと思っていたので、ハネカクシについて勉強する事にしました。
「いやー、今日もご苦労様、たくさんご飯が捕れたんだろう?僕が運んであげるから、少し渡しなよ」
ハネカクシはそう言ってアリを労います。
「いやー、悪いね、今日は遠くまでご飯を捕りに行ってとても疲れているんだ、助かるよ」
モモタが手伝ってあげてエライなぁと思っている矢先、ハネカクシは受け取ったご飯を食べてしまいました。
「ねぇ、ねぇ、おにーちゃん、お腹が空いたよう、ご飯わけてよう」
「しょうがないなぁ、さあ、たんとお食べ」
子供のフリしてご飯をねだるハネカクシの可愛さに、アリは困りながらも嬉しそうにご飯を分けてあげました。
ハネカクシは1日中そうして過ごした後、言いました。
「ああ、お腹いっぱい、そろそろお家に帰っておねむの時間だな」
「一日中ご飯をねだっていたけど、いつ働いているの?」
「働かないよう、だって働きアリたちがいくらでもご飯を持って来てくれるから」
モモタはびっくりしました。
「アリさんたちは、どうして君を住まわせてあげているんだろう」
「そりゃ、気付いていないからだよう」
それ、だましているだけじゃない、と思うモモタでした。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
こわがりちゃんとサイキョーくん!
またり鈴春
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞にて奨励賞受賞しました❁】
怖がりの花りんは昔から妖怪が見える
ある日「こっち向け」とエラソーな声が聞こえたから「絶対に妖怪だ!!」と思ったら、
学校で王子様と呼ばれる千景くんだった!?
「妖怪も人間も、怖いです!」
なんでもかんでも怖がり花りん
×
「妖怪は敵だ。すべて祓う」
みんなの前では王子様、
花りんの前では魔王様!!
何やら秘密を抱える千景
これは2人の人間と妖怪たちの、
ちょっと不思議なお話――✩.*˚
お弁当ミュージカル
燦一郎
児童書・童話
学校の行事で六年生の「ぼく」は一年生のユウトとペアで遠足にでかける。
ぼくはお弁当を作ってくれる人がいないのでコンビニ弁当。
ユウトはおかずの種類が豊富な豪華な弁当。
ユウトの前でコンビニ弁当を開きたくなくて、お腹が痛いといって寝てしまう。
夢の中で見たのはお弁当ミュージカル。
弁当の惣菜が歌をうたったり、踊ったりする。
ぼくはそのミュージカルを見て、お弁当への感謝の気持ちを持つ。
♪ぼくの母さん生きている
ぼくが優しい気持ちを持ったとき
そこに母さんいるんだよ
お店の弁当に優しさを
ユウトの弁当に優しさを
ぼくは心に 誓います♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる