135 / 502
いつでもどこでも平常心のタヌキの話
あなたのためよは嘘だらけ
しおりを挟む
モモタは、川の小さなお魚を捕まえようと、構えてお尻を振りふししていました。
ですが、水に入るところを想像すると、おっかなびっくり、腰が引けてしまいます。どうしても躊躇して、肉球を出せません。
「捕まえられそうだったけど、水にぬれるのはやだなぁ」
「ヤな気持ちは、なかった事に出来ますよ」
振り向くと、いつの間にかおかしなタヌキさんがいました。
「どうやってなかったことに出来るの?だって、冷たい水には浸かっちゃってるんだよ」
「こんど、村でお肉をもらっておいでなさい。
ドブンとして嫌な気持ちになったら、急いで出てきて、お肉を食べれば良いでしょう」
「どうして、それでいやな気持ちをなしに出来るの?」
「お肉を食べると幸せな気持ちになれるでしょ?ヤな気持ちを埋め合わせするんです。
幸せな気持ちは無くなりますけど、嫌な気持ちも無くなりますよ」
「そうだけど、何もないなら、初めからしなくても良いんじゃない?」
「おバカさんですねー、お魚が残るじゃあーりませんか」
そうかと気が付いた瞬間、モモタは頭のモヤモヤが晴れた気分です。
次の日、タヌキに言われたとおりに、お肉をもらって同じ小川にやってきました。
「お、さっそく来ましたね、モモタ君。
では早速、あそこの流れがよどんでいるところに、お魚がいますから、やってごらんなさい」
「よーし」
モモタは、お尻をフリフリ真剣に構えて、魚めがけてピョイッと飛びかかりました。
ジャボ―――ン!!
「ひゃー!冷たーい!」
モモタはぶるぶる震えながら、小魚を1匹くわえて岸に上がって来るなり、タヌキを見て叫びました。
「あれ?タヌキさん、なんで僕のお肉食べちゃったの!?
ひどいよ、僕のこのヤな気持ちは、どうすればいいのさ!!」
「安心しなさい、ほら、そこ」
タヌキが鼻を指す方を見ると、小さなお肉のかけらが落ちています。
「たったこれだけ?」
たった1口のお肉では、とてもじゃないけれど、ヤな気持ちをなかった事に出来ません。
「それでもお魚があるでしょう?それを食べれば、きっと満足できますよ。
なぜならば、君が君自身の力で取ったお魚なのですからね」
確かにその通りです。こんなに美味しいお魚は初めてです。クリのように甘みがあって、海のお魚とは違う美味しさで。
「お肉は勉強料ですよ。
私は、君のためにしたのですよ」
「う――ん・・・」
どうも、騙されているような気がするモモタでした。
ですが、水に入るところを想像すると、おっかなびっくり、腰が引けてしまいます。どうしても躊躇して、肉球を出せません。
「捕まえられそうだったけど、水にぬれるのはやだなぁ」
「ヤな気持ちは、なかった事に出来ますよ」
振り向くと、いつの間にかおかしなタヌキさんがいました。
「どうやってなかったことに出来るの?だって、冷たい水には浸かっちゃってるんだよ」
「こんど、村でお肉をもらっておいでなさい。
ドブンとして嫌な気持ちになったら、急いで出てきて、お肉を食べれば良いでしょう」
「どうして、それでいやな気持ちをなしに出来るの?」
「お肉を食べると幸せな気持ちになれるでしょ?ヤな気持ちを埋め合わせするんです。
幸せな気持ちは無くなりますけど、嫌な気持ちも無くなりますよ」
「そうだけど、何もないなら、初めからしなくても良いんじゃない?」
「おバカさんですねー、お魚が残るじゃあーりませんか」
そうかと気が付いた瞬間、モモタは頭のモヤモヤが晴れた気分です。
次の日、タヌキに言われたとおりに、お肉をもらって同じ小川にやってきました。
「お、さっそく来ましたね、モモタ君。
では早速、あそこの流れがよどんでいるところに、お魚がいますから、やってごらんなさい」
「よーし」
モモタは、お尻をフリフリ真剣に構えて、魚めがけてピョイッと飛びかかりました。
ジャボ―――ン!!
「ひゃー!冷たーい!」
モモタはぶるぶる震えながら、小魚を1匹くわえて岸に上がって来るなり、タヌキを見て叫びました。
「あれ?タヌキさん、なんで僕のお肉食べちゃったの!?
ひどいよ、僕のこのヤな気持ちは、どうすればいいのさ!!」
「安心しなさい、ほら、そこ」
タヌキが鼻を指す方を見ると、小さなお肉のかけらが落ちています。
「たったこれだけ?」
たった1口のお肉では、とてもじゃないけれど、ヤな気持ちをなかった事に出来ません。
「それでもお魚があるでしょう?それを食べれば、きっと満足できますよ。
なぜならば、君が君自身の力で取ったお魚なのですからね」
確かにその通りです。こんなに美味しいお魚は初めてです。クリのように甘みがあって、海のお魚とは違う美味しさで。
「お肉は勉強料ですよ。
私は、君のためにしたのですよ」
「う――ん・・・」
どうも、騙されているような気がするモモタでした。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
悪女の死んだ国
神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。
悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか.........
2話完結 1/14に2話の内容を増やしました
10歳差の王子様
めぇ
児童書・童話
おれには彼女を守るための鉄則がある。
大切な女の子がいるから。
津倉碧斗(つくらあおと)、小学校1年生。
誰がなんと言おうと隣に住んでる幼馴染の村瀬あさひ(むらせあさひ)は大切な女の子。
たとえ10歳の差があっても関係ないし、 どんなに身長差があったってすぐに追いつくし追い越せるから全然困ったことじゃない。
今は小学生のチビだけど、 中学生、高校生になっていつかは大人になるんだから。
少しづつ大人になっていく2人のラブコメディでありラブストーリーなちょっと切ないお話。
※こちらは他サイト様で掲載したお話を加筆したものです。
ダブルス!
澤田慎梧
児童書・童話
【夢を奪われた相棒の為に、少年は新たな世界に挑む】
バドミントンの強豪ペアだったアツシとエイジは、小学生最後の大会で悔しい負けを喫した。
「中学に入ったら今度こそ全国を目指そう」と固く誓い合う二人だったが、ある不幸に見舞われエイジが選手生命を奪われてしまう。
失意の中、単身中学のバドミントン部に入部したアツシだったが、エイジのいない練習の毎日は色あせてしまっていた。
そんなある日、アツシは偶然にフル・ダイブ型対戦ゲーム「ダブルス!」の全国大会の存在を知る。
「これならば再びエイジと全国を目指せるのでは?」と考えたアツシは、eスポーツ部を創設すべく奔走し始めるが――。
※この作品は近未来を描いたフィクションです。実在の団体・人物とは関係ございません。
※「カクヨム」様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる