猫のモモタ

緒方宗谷

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世界の中心、揚羽蝶の話

先を見通す目があると、幸せがある方へ飛んでいける

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 暑い夏がやってきました。モモタは、白くて綺麗なセミが空から出てくるのを見せてもらおうと早起きして、山に出かけました。
 「おはよう、モモ君、ちょうどセミさんがお目覚めだよ、見てごらん」
 アゲハ君の言葉に嬉しくなったモモタは、早くセミを見ようとかけて行きます。
 「わぁ、本当?どこにいるの?」
 モモタが見上げると、うんしょうんしょと角ログを登る茶色い虫がいます。
 「なーにあれ?まさかあれがセミじゃないでしょう?」
「あはは、あの姿のセミを見るのは初めてなのかい?セミはあの姿で7年おねんねするんだよ」
 別荘の軒下まで登ってきたセミは、しばらくじっとしています。
 空が白み始めました。さあいよいよです。茶色い背中が割れて、ちょっこりと白い肌が見えてきました。
 とても弱々しいのに、まだかすかな太陽の光を浴び始めた体は、とても輝いています。ついにカラから出てきたセミは、ゆっくりと飛び立つ準備をし始めました。
 そこにアゲハちゃんがやって来てご挨拶。
 「あらセミさん、ようやくお目覚めね、とても久しぶりだわ」
 「本当、久しぶりだわ、良く私のこと覚えていてくれたわね」
 アゲハちゃんが声をかけると、セミの女の子も返事をしました。
 アゲハちゃんは、モモタの頭にとまって、おしゃべりを始めます。
 「もちろんよ、土のお布団が浅すぎて、震えていたのを助けたんですもの。
  後にも先にも、土を掘ってかけるなんて1回だけよ」
 モモタは、まだ柔らかそうな緑色のセミを見ていて気が付きました。
 「もし、前にお家を建てるところを探していた蜜蜂があそこに巣を作っていたら、けんかになってきっと刺されていたよ」
 そばにいたアゲハ君が言いました。
 「アゲハちゃんって、意外に良い子なんだよ」
 「本当だね、アゲハちゃんの良いところ色々教えてよ」
 アゲハ君は教えてくれません。
 「誰かから聞くよりも、自分で見つけた方が感動すると思うよ」
 モモタは、アゲハ君の言う通りだと思いました。

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