猫のモモタ

緒方宗谷

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しつこいハエの話

悪い気持ちは広がって、最後は自分が溺れちゃうよ

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 旅行の帰りを利用して、新しい旅行をしていたモモタは、久しぶりに山に遊びに来ました。
 「そうだ、僕、この旅行で色々美味しい物をたくさん食べたから、ハエさんにもお土産を持って行ってあげようっと」
 そう言って、モモタはお気に入りの樫の木の根元に行って、ウンチをしました。
 ですが、あのしつこいハエは、一向に姿を見せません。
 「変だなー、ここでウンチをすれば、すぐに飛んでくると思ったのになぁ」
 しつこくされるのは嫌でしたが、あれだけしつこくされて、急にしつこくされなくなると、なぜか寂しく感じます。
 「あっ、ハエさん」
 ブーンと聞こえてきたので振り返りますが、そこには別のハエが飛んでいます。
 「ねえ、ハエさん、前に僕にしつこくしたハエさん知ってる?」
 「知らないなー」
 「この樫の木に住んでたんだよ」
 「この木には、だいぶ前からハエは住んでいないよ。
  だから、僕のお家にしたんだ」
 モモタは不思議に思って、辺りを探してみました。
 「ああ、あのハエじゃったら、ワシャ知っておるぞよ」
 緑色に光るおじいちゃんのハエが言いました。
 「どこにいるの?美味しいウンチをしたから、お土産にあげたいんだ」
 「あのハエは、もうだいぶ前に、食べられてしもうたかのー」
 モモタは、びっくりして理由を尋ねました。
 「お前さんが去ってから間もなく、あいつは姫スズメバチにぞっこんラブだったんじゃ。
  毎日毎日、それはしつこくしつこく追いかけまわしてのー、それはたいそう嫌われておったんじゃぁ。
  仲良くしてくれない姫スズメバチの女の子に業を煮やしたハエは、ついにウンチを投げつけるようになってしもうた。
  ところがある時、ハエがウンチを投げつけたところ、姫スズメバチに思いを寄せていた大スズメバチにウンチがペチャ。
  怒った大スズメバチに、ハエはお団子にされて、食べられてしもうたのじゃぁ」
 「悪い心に食べられちゃうと大変だ」
 モモタは怖くなって震えました。

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