猫のモモタ

緒方宗谷

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しつこいハエの話

同じじゃないから、楽しいのに

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 モモタがお魚を取って食べようとすると、ハエがウンチをポイ。
 「僕はウンチを食べないよ」
 「このウンチは、コロコロしていておいしんだよ。
  向こうの穴に住んでるウサギがしたやつだから、栄養満点なんだ」
 モモタが野ネズミを取って食べようとすると、ハエがウンチをポイ。
 「僕はウンチを食べないよ」
 「なんでも好き嫌いせずに食べないと、大きくなれないぞ。
  モモタのためを思って言っているんだから、聞くべきだ」
 モモタが小魚を取って食べようとすると、ハエがウンチをポイ。
 「今日は人間のウンチが手に入ったんだ。
  釣り人が、河原で出したできたてホヤホヤ。
  良い物たくさん食べているから、とても力が付くんだぞ」
 「僕はウンチを食べないよ」
 「そんなこと言わないで、ウンチを食べてよ。
  僕は、僕が好きなウンチを君にも食べてほしいんだ」
 モモタはいやいやをします。
 「無理にでも食べるべきだぞ」
 ハエの口調は、段々と強くなっていきます。
 「なんてことだよ、君は僕たちの信頼関係を壊したんだ、こんな酷い事ってあるか」
 蝶々たちがいるお庭に向かうモモタの背中に、ハエは大声で文句を浴びせます。
 「君は、そんな最低な猫なんだな。
  良いんだな?そんな風に思っても!」
 そう思われるのは嫌でしたが、モモタはどうしようもなかったので、お庭に逃げ込みました。
 振り向くと、ハエはついてきません。モモタは、安心して揚羽蝶と遊ぶことにしました。
 「僕、アゲハちゃんと一緒にいるときがこんなに幸せだなんて、思ったことなかったよ。
  アゲハちゃんて、意外と良い蝶々だね」
 「あら、何か失礼な言い方に聞こえるけど、私と結婚したいってことでしょ。
  揚羽蝶と猫は結婚できないけれど諦めないで、私を好きになったってことは、あなたは揚羽蝶になるってことだから」
 いつも通り、話が飛ぶアゲハちゃんです。
 蝶々さんたちと一緒にいるときは、ハエは近寄ってきません。
 モモタは、良いお友達がいっぱいいて良かったなぁ、と思いました。
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