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命を懸けるネズミの話
自分と同じくらい大切に思えたら
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最近、いつも追いかけっこをして遊ぶネズミに会えていなかったモモタは、とても心配になって探していました。
「ネズミさん!どうしたの?怪我してるじゃない!!」
ようやく見つけたネズミは、怪我をしていてヘロヘロです。
モモタのそばまでたどり着けずに倒れたネズミに駆け寄って、縁側まで連れて行ってあげました。
とても大きな怪我だったので、モモタは看病してあげることにしたのです。
「僕はもうだめだ」
「そんなことないよ、がんばってよ」
弱音を吐くネズミを何とか勇気づけようとしますが、力なくふせっていて、元気を取り戻しません。
「モモタ、僕の事食べてくれないか」
「え?何で僕が?お友達を食べるなんてできないよ」
「僕は、このまま死んで朽ちてしまうのが嫌なんだよ。
僕たちは何かを食べなければ生きていけない、それは君も分かるだろう?
生まれた時はとても小さいのに、大人になると、すごく大きくなる。
という事は、僕たちの体は、食べたものでできてるんだよ。
僕は君になって、一緒に虹を見に行きたいんだよ。
僕を置いてかないでおくれよ」
ネズミは泣きながら、モモタに懇願します。
「どうか、お願いを聞いておくれ。
僕は、他のどの猫にも食べられたくないし、土になりたくもないんだよ。
君と一緒に生きて生きたんだ」
モモタは断りました。
「もし僕が食べても良いよって言ったら、ネズミさんは安心して、死んでしまうでしょう?なら僕は食べないよ、だって僕は生きてほしいもの。
だから一生懸命元気になってよ」
周りにはネズミを狙う猫たちの殺気がありました。
ですから、モモタはネズミさんに寄りそって、何日も一緒にいました。
怪我が癒え始めたある日、ネズミが言いました。
「なんだよ、僕死にそびれたよ。
せっかく感動的な死に方だったのに」
「僕は、生きてて良かったって思うよ、また追いかけっこしようね」
「そうだな、甦った僕は速いぞ、きっと捕まらないぞ」
「僕だってもっと速くなるよ」
「もし僕を捕まえたら、今度は本当に食べておくれよ」
「良いよ、黒くて苦い粒も残さず食べてあげるよ」
モモタにはたくさんのお友達がいますが、命がけの約束をしたお友達は初めてでした。
「ネズミさん!どうしたの?怪我してるじゃない!!」
ようやく見つけたネズミは、怪我をしていてヘロヘロです。
モモタのそばまでたどり着けずに倒れたネズミに駆け寄って、縁側まで連れて行ってあげました。
とても大きな怪我だったので、モモタは看病してあげることにしたのです。
「僕はもうだめだ」
「そんなことないよ、がんばってよ」
弱音を吐くネズミを何とか勇気づけようとしますが、力なくふせっていて、元気を取り戻しません。
「モモタ、僕の事食べてくれないか」
「え?何で僕が?お友達を食べるなんてできないよ」
「僕は、このまま死んで朽ちてしまうのが嫌なんだよ。
僕たちは何かを食べなければ生きていけない、それは君も分かるだろう?
生まれた時はとても小さいのに、大人になると、すごく大きくなる。
という事は、僕たちの体は、食べたものでできてるんだよ。
僕は君になって、一緒に虹を見に行きたいんだよ。
僕を置いてかないでおくれよ」
ネズミは泣きながら、モモタに懇願します。
「どうか、お願いを聞いておくれ。
僕は、他のどの猫にも食べられたくないし、土になりたくもないんだよ。
君と一緒に生きて生きたんだ」
モモタは断りました。
「もし僕が食べても良いよって言ったら、ネズミさんは安心して、死んでしまうでしょう?なら僕は食べないよ、だって僕は生きてほしいもの。
だから一生懸命元気になってよ」
周りにはネズミを狙う猫たちの殺気がありました。
ですから、モモタはネズミさんに寄りそって、何日も一緒にいました。
怪我が癒え始めたある日、ネズミが言いました。
「なんだよ、僕死にそびれたよ。
せっかく感動的な死に方だったのに」
「僕は、生きてて良かったって思うよ、また追いかけっこしようね」
「そうだな、甦った僕は速いぞ、きっと捕まらないぞ」
「僕だってもっと速くなるよ」
「もし僕を捕まえたら、今度は本当に食べておくれよ」
「良いよ、黒くて苦い粒も残さず食べてあげるよ」
モモタにはたくさんのお友達がいますが、命がけの約束をしたお友達は初めてでした。
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